2017年3月22日水曜日

0031 夏への扉

書 名 「夏への扉」 
著 者 ロバート・A・ハインライン 
翻訳者 福島正実
出 版 早川書房 2010年1月

 言わずとしれたSFの名作だけど、実はまったく読んだことなかった。おまけに、この詩的な表紙と詩的なタイトルから、初期の萩尾望都や竹宮恵子の作品みたいな、みずみずしい10代の多感な少年が主人公に違いない、と勝手に思い込んでた(笑)。「ウは宇宙船のウ」とか「トーマの心臓」みたいな。いや〜全然違った!頭だけは良いけどさえないおっさんが猫入りボストンバック片手に右往左往するお話だった。
 タイムトラベルもの、といえばその通りだけど、タイムマシンはあくまで脇役で、緻密なストーリーを完成する為に徹している。始め、冗長な描写に若干うんざりしたけど、後半3分の2を過ぎたあたりから、まさにジェットコースターのような怒濤の展開。なんというかSFを読んだ後の読後感ではなく、ジャンル云々でなく上等な小説。始めは冗長だと思っていたあたりも、後半から伏線だと分かってシンプルだけど複雑に絡んだ一本の線に収束していった。いや、予想外に面白かったです。さすが名作の誉れ高き作品。

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