著 者 ジェイムズ・P・ホーガン
翻訳者 池 央耿
出 版 早川書房 1980年5月
話中の時点は2027〜9年だから、今からちょうど10年後。
読んでいて今の現代を生きていることが悔しくなる程の未来の科学技術の描写。最先端の科学者達を駆使してのSF的謎解きはまるで鑑識物の推理小説を読んでいる様だが、圧巻はハントがガニメデで木星と対峙する情景だった。まるで自分がそこにいるような厳粛な気分にさせられた。SFの醍醐味を感じた瞬間でもあった。
冒頭コリエルが巨人と形容されていることを読者は知っているが、話中の人々はもちろん知らない。どう回収するんだ!とやきもきしながら、途中の伏線も一向に回収される気配のないまま舞台は地球、月、木星へと移る。
謎そのものは、日記が解読されたあたりでだいたい見当がついた。でもどのように伏線が絡んでくるのか?どこに「巨人」が絡んでくるのか?興味は尽きずに終盤へいったと思ったら、あれま、回収しなかったよ。これは続巻を読む必要があるのね。
それにしても、作者ホーガンのこの知識量と想像力。敬服する。
余談だが、最後まで読んで、佐藤史生の「夢みる惑星」を思い出した。「星船」で地上に降り立った人びととコリエルが重なる。
【2018.1.1 追記】
私が伏線だと思っていた冒頭の「巨人」については、日本語翻訳上の偶然の出来事だと詩 音像(utaotozo)さんがご指摘されてました。
詩さんのレビューはこちら→ https://bookmeter.com/reviews/64237196
こういうことは、一人で読んでいてはなかなか気づけません。読み友の皆様に感謝してます。