2018年9月30日日曜日

0144 IQ

書 名 「IQ 」 
著 者 ジョー・イデ 
翻訳者 熊谷 千寿 
出 版 早川書房 (2018/6/19) 
初 読 2018/09/30 
 
「アイゼイアは怒りも感じていたが、何より感じたのは圧倒的な悲しみだった。」「赦されたわけではないかもしれないが、勘弁くらいはしてほしいね、とアイゼイアは思った。」

 底辺の、黒人、ギャングスタ、ドラッグ、クラックにまみれてメンツと金の為に他人を巻き込んで殺し合い、スラングとセックスまみれで汚泥のような。。。。。

 人生に抗えずに巻き込まれていくのに、なにこのさわやかさ。一冊丸々アイゼイアの若き苦悩の書だけど、面白いのはこれから!て感じが満々。これから兄を殺した犯人捜しが始まりそうだし、ドッドソンも可愛げがあるし。意外にも、料理で読める。ドッドソンのケイジャン料理が美味そう。『料理の鉄人』ってあっちでも放映してたのね(笑)
それにしても、今ブログにレビューを登録していて、これを読んだのが2年も前だということに、愕然としている。私、2年間なにをしていたのかな〜?

2018年9月15日土曜日

0142−43 完全記憶探偵エイモス・デッカー ラスト・マイル 上・下

書 名 「完全記憶探偵エイモス・デッカー ラスト・マイル 上」
     「完全記憶探偵エイモス・デッカー ラスト・マイル 下」 
著 者 デイヴィッド・バルダッチ 
翻訳者 関 麻衣子
出 版 竹書房 2018年6月 
 
 家族の殺害事件の真相を解明し事件に一応の区切りをつけたデッカーは、ボガートの要請に応えてFBIの民間人チームに加わる事にする。超絶な才能があるとはいえ、社会不適応気味なデッカーをカバーしてチームをまとめるボガートがこれまた好い人で。人が能力を発揮するためには、適材適所と緩衝材が必要なんだよなあ、と本筋とは関係ないところで感にいる。
 事件の方は、デッカーの勘と強引な突っ込みでどんどん時間を遡り、真相に近づいてそうには見えるものの、まだまだ裏がありそう。
 予想を裏切るどんでん返しあり、してやったりなミスリードあり、ラストは爽やかに気持ちよく。この話には母の愛が通底してる。そして父強し。
 アメフト野郎共の巨体もかすむ存在感である。ちょっと突っ込みが足りない、というか悪い奴らが少し物足りないというか、組み合わせた一つ一つのエピソードが熟成してないっていうかなんだけど、十分面白い!域に達してる。それぞれのキャラが立っていて、お父ちゃんなんて主役張れるレベルでした。まだまだシリーズ続きそうだから、熟成は今後の課題って事で、次の翻訳も楽しみです。

2018年9月10日月曜日

0140−41 完全記憶探偵 上・下

書 名 「完全記憶探偵 上」「完全記憶探偵 下」 
著 者 デイヴィッド・バルダッチ
翻訳者 関 麻衣子 
出 版 竹書房 2016年12月 
初 読 2018/09/10 



 プロフットボールプレイヤーのエイモス・デッカー。危険タックルで負傷して、完全記憶と共感覚を持つようになる。
 幸せな家庭を築いていたのに、ある日、突然、それを奪われる。惨殺された家族の記憶が薄れることはない。そんな中、発生した事件が町を震撼させる。そして、浮かび上がってくるエイモスの家族の殺害との関連。

 エイモスが犯人と疑われるんじゃないかとヒヤヒヤしながら読む。 ライトな読み口だけど、内容は中々にハード。完全記憶を持つデッカーがあらゆる情報を記憶してから反芻して、真実を導き出す過程が面白い。最愛の妻と娘を殺されて、人生のすべてを失った男でもユーモアのカケラが残ってるのが救い、というか、むしろそれが彼を救ったのか?ともかくも面白かった。ベリンダが哀れだし、そんなに簡単に操作されちゃうものか、とも思うし、真の黒幕の方の描写が足りないような気もするけど、まあいいか、と。新たな仲間を得たエイモスの今後の活躍を期待する。