2018年2月11日日曜日

0088 銀河英雄伝説  2 野望篇

書 名 「銀河英雄伝説  2 野望篇」 
著 者 田中芳樹 
出 版 創元SF文庫 《初版は徳間ノベルズ 1983年9月》 
初 読 1984年頃?   再 読 2018/02/11 

  読むのが恐い2巻。
 何が起こるか知っているだけに読書スピードが鈍る。
 スタジアムの虐殺、ヴェスタ−ランドの悲劇と来て、極めつけの衝撃。皆殺しの田中の暗黒面が踊る悲劇の一冊。あああ、分かってるのにツライ。
 ラインハルトはなぜオーベに弱んだ?自分に足りない種類の冷酷を持っているからか?これから何回「・・・が生きていたら」とつぶやくことになるんだろう。

 2巻はヤンとキルヒによる捕虜交換式→同盟側クーデターの策動→ヒルダ登場→クーデター勃発→リップシュタット戦役→そして。これから長く彼の不在に耐えなければならないとは。
 レンテンブルグ要塞攻略で、かの?有名な台詞が飛び出す。「きさまらの屍体を鍋に放り込んで、フリカッセを大量につくってやるぞ」p152・・・フリカッセってどんな料理だ?と初読の時には盛り上がったものだ。以下抜き書き。
✓「形式というのは必要かもしれないが、ばかばかしいことでもありますね。ヤン提督」p29・・・キルヒの穏やかな佇まいがもはや懐かしいのは再読ゆえ。
✓「平和というのはな、キルヒアイス。無能が最大の悪徳とされないような幸福な時代を指して言うのだ」p56・・・いや、平和な時代にあっても無能は悪徳だよ。やはり。
✓"彼は解毒剤でなければならなかったのである。必要と意思さえあれば、劇薬にもなれる男だったが。"p89
✓「気の毒にこの横着な男が汗をかいているじゃないか」p201・・この二人の造反者のくだりはどちらも大好き。生きていくにはこういう軽さもむしろ必要。
✓「もうすぐ戦いが始まる。・・かかっているものはたかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利にくらべれば、たいした価値のあるものじゃない」p176 人は国家が無くとも生きていけるが、国家は人なしには存在し得ない。近頃国家主義、愛国主義が頭をもたげていることの警鐘と受止める。
✓"ヤンがスクリーンに視線を向けたまま、右手を肩の線まで挙げた。"p178 この瞬間、ヤンにとっても人間一人々々の命の価値は宇宙塵のように希薄なものにならざるを得ない。歴史を知るものだからこその思いもあろう。 
✓「内憂外患とはこのことだな」p189 !おまえがな!!と叫ぶ。
✓「政治家が賄賂をとってもそれを批判することが出来ない状態を、政治の腐敗というんだ。」p272   フレデリカにゃ悪いが、グリーンヒル大将に終始ムカつく。総司令官の隣にいたクセに、アムリッツァの大敗には自分の責任はないとでも?

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