「東京サーガ」年譜に栗本薫と久世光彦も足したらもっと面白い、とのご意見を戴いておりましたが、ちょっと、スペースとテクの問題が解決できなかったので、とりあえず、栗本薫年譜のみ、アップしときます。ちなみにあまりにも面倒だったので、グインサーガは端折っとります。なお、グインサーガ以外もモレはあると思います。該当年における発表順は反映されておりません。勢いで作ったので、まちがいもあるかもしれません。まあ、多少間違えていたって、栗本薫には負けませんけどね。なお、亡くなった2009年より後の出版物はとりあえず載せていません。
なお、コレを作成するにあたって、最初はWikiとAmazonでシリーズごとに検索しておりましたが、あまりにも面倒くさくなってしまい、先達(浜名湖うなぎ様)のレビューリストを参照させて戴きました。伏してお詫びとお礼を申し上げます。
薫サン、これだけ脳内から垂れ流してたら、作品毎の考証なんて、ムリだったろうなあ。と、それはそれで納得できる作品量です。
これも一つの才能ではあったのだろうなあ。
中学生時代に読んだ頃は、とてもすごい作家さんだと思っていた。思えば、「僕らシリーズ」や、「翼あるもの」や、「魔界水滸伝 (第一部)」をリアルタイムで読んでいたのだ。確かにあの頃の薫サンは良かった。せっかちな中学生にとっては、シリーズを2ヶ月に一冊は出版してくれるのもうれしかった。でも、ン十年ぶりに読みに戻ってみて、こんな駄作メーカーに成り下がっていたは考えてもいなかった。(・・・・いや、違うな。グイン・サーガを見捨てた時点で、見切ってはいたんだった。)今だって、シリーズを通しで読みさえしなければ、一つ一つの作品や章の完成度は高かったりすることだってある。
「書く」ための才能を、すべて「早書き」に使い果たしてしまった流行作家である。スタッフもいたろうに、誰も止めることはできなかったのか。推敲や査読や考証が必要だとたしなめることのできる人間は、彼女の周りにいなかったのか。そういうことはいっさい耳にはいらないタイプの人だったのかな?そう思ったほうが妥当かな。
栗本薫の作品世界は、かつては美しい花畑であったものが、災害で荒れ果ててしまったかのような、荒涼感が漂っている。
年 | 栗本薫年譜/発表作品(モレあり) |
1953 | 東京都葛飾区生まれ。 |
1975 | 早稲田大学第一文学部文芸科卒業。 |
1976 | 評論『パロディの起源と進化』(別冊新評『筒井康隆の世界』掲載)で商業誌デビュー |
1977 | 『文学の輪郭』(中島梓名義)で第20回群像新人文学賞評論部門を受賞 |
1978 | 『文学の輪郭』『JUNE』創刊 『ぼくらの時代』第24回江戸川乱歩賞を受賞 |
1979 | 『ぼくらの気持』 グイン・サーガ第1巻『豹頭の仮面』 『真夜中の天使』上・下 |
1980 | 『絃の聖域』第2回吉川英治文学新人賞 『セイレーン』『あずさの男性構造学』『幽霊時代』 |
1981 | 今岡清と結婚。 『優しい密室』『時の石』『女狐』『神変まだら蜘蛛』『エーリアン殺人事件』 『あずさのアドベンチャー`80』『行き止りの挽歌』『鬼面の研究』『にんげん動物園』 『ネフェルティティの微笑』『天国への階段』『魔界水滸伝1』『魔剣1 玄武ノ巻』 『翼あるもの』上・下 |
1982 | 『魔界水滸伝』2〜4 『メディア9』 『神州日月変』上・下 『魔剣2 朱雀ノ巻』『黒船屋の女』 |
1983 | 『魔界水滸伝』5〜6 『レダ』『ライク・ア・ローリング・ストーン』『赤い飛行船』 『シルクロードのシ』『十二ヶ月』『トワイライト・サーガ第1巻『カローンの蜘蛛』 『キャバレー』『道化師と神―SF論序説―』『ベストセラーの構造』 |
1984 | 『ゲルニカ1984年』『美少年学入門』『伊集院大介の冒険』『ぼくらの世界』 『トワイライト・サーガ カナンの試練』『魔境遊撃隊』第一部・第二部 『吸血鬼 お役者捕物帖』『猫目石』上・下『火星の大統領カーター』『花陽炎 春之巻』 『魔界水滸伝』7〜8 |
1985 | 『魔界水滸伝』9〜10『昭和遣唐使3000人の旅』『元禄無頼』上・下 『伊集院大介の私生活』『息子に夢中』 |
1986 | 初めての歌舞伎作品『変化道成寺』上演。 『魔界水滸伝』11『天狼星』『小説道場』Ⅰ・Ⅱ 『死はやさしく奪う』 『地獄島 お役者捕物帖』『作家の肖像』『マンガ青春記』『真夜中の鎮魂歌』 『双頭の蛇』上・下『グルメを料理する十の方法』 |
1987 | 初めて演出を手がけたミュージカル『ミスター!ミスター!!』(中島梓名義)上演。 『魔界水滸伝』12〜13『天狼星 II』『ハード・ラック・ウーマン』『くたばれグルメ』 『ピラミッド・ミステリーを語る』(共著:吉村作治)『さらば銀河』1 |
1988 | 『朝日のあたる家』Ⅰ・Ⅱ 『魔界水滸伝』14〜15 『アンティック・ドールは歌わない ―カルメン登場』 『わが心のフラッシュマン ロマン革命』 Part1 『滅びの風』 |
1989 | 『魔界水滸伝』16『小説道場 Ⅲ『魔都ノート―異形の演劇論』 『魔都 恐怖仮面之巻』『パロスの剣』 |
乳癌のため入院・手術。翌々年、闘病記『アマゾネスのように』(中島梓名義)刊行。 | |
1990 | 『終わりのないラブソング』第1巻 『魔界水滸伝』17〜19『紫音と綺羅』上・下 |
1991 | 『バサラ』第1巻 『終わりのないラブソング 2』 『朝日のあたる家 Ⅲ』 『名探偵は精神分析がお好き(共著:木田恵子』 『コミュニケーション不全症候群』 |
『魔界水滸伝』20 『白銀の神話』 信長の巻 『アマゾネスのように』『終わりのないラブソング』4 | |
1992 | 『六道ヶ辻』第1巻『大導寺一族の滅亡』『シンデレラ症候群』 『終わりのないラブソング』3 『まぼろし新撰組』『新版・小説道場』1 FULL HOUSE 2(同人誌)『白銀の神話』蘭丸の巻 『白銀の神話』運命の巻 |
1993 | グイン・サーガ第50巻『闇の微笑』『白銀の神話』本能寺の巻 『蝶の墓 天狼星Ⅲ』『終わりのないラブソング』5 『野望の夏』 『里見八犬伝』『バサラ』1『蝦蟇/蜥蜴』『家』 |
1994 | 『伊集院大介の新冒険』『バサラ』2・3 『さらしなにっき』『あずさの元禄繁昌記』 『終わりのないラブソング』6 『いとしのリリー』『好色屋西鶴』第一部 『新版・小説道場』3 アンソロジー『名探偵の挑戦状』アンソロジー『密室殺人事件』 『今岡家の場合は―私たちの結婚―』(共著:今岡清) |
1995 | 『真夜中の切り裂きジャック』『終わりのないラブソング』7 『仮面舞踏会 伊集院大介の帰還』『魔女のソナタ 伊集院大介の洞察』 『新・魔界水滸伝』銀河聖戦編1〜2夢『夢見る頃を過ぎても』―中島梓の文芸時評 『好色屋西鶴』第二部 『緑の戦士』『六道ヶ辻 大導寺一族の滅亡』 『終わりのないラブソング』8 『JUNE全集』1 栗本薫/中島梓 『元禄心中記』―天の巻― 『元禄心中記』―地の巻― |
1996 | 個人誌『天狼叢書』創刊。 『グランドクロス・ベイビー』『新・魔界水滸伝銀河聖戦編』3〜4 『怒りをこめてふりかえれ』『終りのないラブソング Tomorrow』 『あなたとワルツを踊りたい』『六道ヶ辻 ウンター・デン・リンデンの薔薇』 FULL HOUSE 3(同人誌) |
1997 | 公式サイト『神楽坂倶楽部』開設。 『緑の戦士 花の騎士るか』『新・天狼星 ヴァンパイア 恐怖の章』 『新・天狼星 ヴァンパイア 異形の章』『レクイエム・イン・ブルー1 蒼の断章』 『レクイエム・イン・ブルー2 銀の序章』『町』『夢幻戦記1『総司地獄変 上』 『新版・小説道場』4 『緑の戦士 緑の星へ!』『六道ケ辻 大導寺竜介の青春』 |
1998 | グイン・サーガ第100巻『豹頭王の試練』 『真・天狼星 ゾディアック 1〜6』 夢幻戦記2『総司地獄変 下』 夢幻戦記3・4『総司斬月剣 上・下』 夢幻戦記5『総司夢幻行 上』 『レクイエム・イン・ブルー 3 黒の間奏』 『レクイエム・イン・ブルー 4 紅の終章』 『タナトスの子供たち ―過剰適応の生態学―』(うなぎさんのレビューが秀逸・必見) |
1999 | 膵臓癌で2度目の癌手術 『タナトス・ゲーム 伊集院大介の世紀末』 『夢幻戦記6 総司夢幻行下』 『夢幻戦記7・8 総司西征譜上・下』『六道ヶ辻 墨染の桜』『ローデス・サーガ 1 南から来た男』上・下(同人誌) 『朝日のあたる家 Ⅳ』 |
2000 | 闘病記『ガン病棟のピーターラビット』(中島梓) 『青の時代 伊集院大介の薔薇』『六道ヶ辻 死者たちの謝肉祭』 『マルガ・サーガ1 凶星』(同人誌)『顔』 『キャバレー2『黄昏のローレライ』 『ローデス・サーガ2―風が丘恋唄1―眠り姫の夜』(同人誌) |
2001 | 『早春の少年 伊集院大介の誕生』『夢幻戦記9・10『総司星雲変上・下』 『通信教育講座Ⅰ』(同人誌)『魔獣の来る夜』共著:高河ゆん) 『MU・GE・N ―総司残照―』上(同人誌) 「朝日のあたる家 Ⅴ」 |
2002 | 『MU・GE・N ―総司残照―』下(同人誌)アンソロジー『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲』 『壁』『水曜日のジゴロ 伊集院大介の探究』 『夢幻戦記11『総司乱菊抄 上』 |
『接吻 ―栗本薫十代短編集―』『通信教育講座Ⅱ』(同人誌)『指』 | |
2003 | 『真夜中のユニコーン 伊集院大介の休日』『黄昏の名探偵』 夢幻戦記12『総司乱菊抄下』 夢幻戦記13『総司紅蓮城上』 |
2004 | 『身も心も 伊集院大介のアドリブ』『聖者の行進 伊集院大介のクリスマス』『六道ヶ辻 たまゆらの鏡―大正ヴァンパイア伝説』『鬼』『とんでもぐるめ―あずさ流極楽クッキング』 |
2005 | 『陽気な幽霊 伊集院大介の観光案内』『女郎蜘蛛 伊集院大介と幻の友禅』夢幻戦記14『総司紅蓮城下』 浪漫之友 創刊号〜3号(同人誌)『タトゥーあり』『大正浪漫伝説 狂桜記』 |
2006 | 『逃げ出した死体 伊集院大介と少年探偵』 『第六の大罪 伊集院大介の飽食』夢幻戦記15『総司無明陣上』 浪漫之友 4号〜7号(同人誌)通信教育講座総集編(同人誌)『流星のサドル』 『闇』 『着物中毒』 |
2007 | 浪漫之友 8号〜11号(同人誌) 大正浪漫伝説『天の陽炎』 『六月の桜 伊集院大介のレクイエム』『樹霊の塔 伊集院大介の聖域』 『YOU DONT KNOW WHAT LOVE IS』上・下(同人誌) |
2008 | 浪漫之友 12号〜15号(同人誌)『木蓮荘綺譚 伊集院大介の不思議な旅』 『嘘は罪』 『ガン病棟のピーターラビット』 『朝日のように爽やかに』(同人誌) 『CRAZY FOR YOU』(同人誌) |
2009 | 5月。膵臓癌のため死去。享年56。 『ムーン・リヴァー』『転移』 浪漫之友16号〜19号(同人誌) 『テンダリー/明るい表通りで』(同人誌) 『NEVER LET ME GO』(同人誌) 『ROUND MIDNIGHT』(同人誌) |