著 者 鈴峯紅也
出 版 徳間書店 2017年3月
文 庫 551ページ
初 読 2024年4月11日
ISBN-10 4198942145
ISBN-13 978-4198942144
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/120045580
警視庁公安J。3冊目にして最大の悲劇がJ分室を襲う。・・・と、鈴峯節を真似てみたが、〜にして、という使い方はこっちのほうが正しいような気がするな。ってのはさておき、そう、これは有ってはならない。そんなことって!!と驚愕すること必至の第3巻。無情です。何が起こったのかは、ええ、どうぞ読んで下さい。
今作は沢山の死者と自殺者が出るが、純也の「助ける」と「見送る」の境界線が那辺にあるのか、いまいちよくわからない。それと、今回も思ったのは純也はやはり父親似であること。この親子は良く似ている。似ているからこそ相容れないのか。主人公の存在にどこまで説得力を持たせられるか、が読んでいて興醒めするかしないかの境目。この作品の場合は、かなりの力業だけど、なんとかギリギリ、純也のリアリティを保っている。純也だけでなく、3人の部下や、師団長、その他の脇キャラもうまくキャラ立ちしているのが効いている。
さて、《冒頭その1》
ダニエルからの電話、もしくはメール、または手紙。ひょっとしたらモノローグ。私はこういうはた迷惑な男は嫌いだが、純也の師であり、親兄弟にも勝る影響力を持った人間であることは間違いない。まだ終わらないこのシリーズのオーラスで、純也とダニエル・ガロアの対決を見ることになるのかならないのか。気になるところ。
《冒頭その2》
怪しげな中国人組織。名前の読み方を覚えられない自身があるので、とりあえずメモる。
爺夫 イェフ一夫 イーフ二夫 アルフ三姫 サンジイ四夫 フウフ五夫 ウーフ六夫 リュウフ七姫 チージイ八夫 バーフ九夫 ジョウフ
今作は、中国の黒孩子がテーマ。戸籍を持たない闇の子が、どのように遇されてきたのか。中国共産党内の腐敗、人身売買・臓器売買、密漁・密輸、私兵集団、虚実ない交ぜ。これだけのことをやったらさすがに日本国内でも足が付くんじゃ? とくに妙齢の女性の誘拐は、さすがに無理があろう。だが、とにかく今作も面白かったのは間違いない。
それにしても、純也が分室を出て、晴れて「表の部署」に配属になったり、警視正以上に昇進したりする日がいつか来るのだろうか、などと考えたりして。父親が政治家引退する時がきたら、、、かな? いつまでも日陰に置いておいたら、かえって アブナイ気がするんだけどな。
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