著 者 庵野 ゆき
出 版 東京創元社 2024年2月
文 庫 320ページ
初 読 2024年12月19日
ISBN-10 4488524109
ISBN-13 978-4488524104
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/124863775
☆ ☆ ☆
書 名 「竜の医師団2」
出 版 2024年3月
文 庫 320ページ
初 読 2024年12月19日
ISBN-10 4488524117
ISBN-13 978-4488524111
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/124910731
書 名 「竜の医師団2」
出 版 2024年3月
文 庫 320ページ
初 読 2024年12月19日
ISBN-10 4488524117
ISBN-13 978-4488524111
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/124910731
2の後書きによると、著者の庵野ゆりさんはアンノさん(現役医師)とユキさん(フォトグラファー)のユニットで、ずっと二人で活動しているそうだ。 二人で交互に添削しあう創作スタイルだから作品の完成度が高いのか! 読者が危なげなく架空の世界で遊べる。キャラが立っていて躍動感があって面白い。実際躍動している(笑)。明るくて軽快な文体で、とても読みやすいのに扱うテーマは深い。
竜の飛翔が気流や天候を作り、竜の潜水が海流を作る。竜の動きが世界を決定づける世界で生活する人間たち。主たる動力は竜の死骸から切り出した竜脂炭を燃やす蒸気機関。そして、その規模はとてつもなくデカい。〈ハウルの動く城〉の空飛ぶ城バージョンよりデカい。なお、脳内の絵柄は宮崎駿アニメで再生された。 作中では竜は生涯成長し続けるそうで、竜の個体は大小あるようだが、最大の最長老の竜ディドウスの場合、多分体長3㎞、羽を広げた長さ7㎞位?。その寝姿は山。そんな巨大な竜と共生する人間社会。竜の生死や健康は、人間の国を滅ぼすほどの大問題。そのため、竜を治療する人間の医師団は国境を越える力を持つ。1巻目はまだまだお膳立て程度。大きく事態が動き、謎がほどけていくのは2巻。
作中で取り上げる医療テーマは現代の医療問題にも絡む。
1巻目に登場する疾病は、胃食道逆流症、疥癬(といってもただの疥癬ではなく、人間でいうところのノルウェー疥癬)、それに認知症がらみの話。疥癬に蝗害を絡めたのが面白い。
2巻目に入ると、より高度な医療問題がテーマになってくる。ディドウスの娘であるドーチェの安楽死は正しかったのか。患者の意志はどのように尊重されるべきなのか。それにナノマシンによる血管内治療とか、幹細胞による移植医療とか。
「治りたい」「生きたい」と、それが叶わないと知った先の「苦しみたくない」「自分の死を自分で選びたい」は個人の生の終端に存在する表裏一体のもの。そして、当事者の意思表示が困難になったときに周囲は何をどう判断するのか。本人の尊厳に名を借りて、欲とか、利害が交じってはいないか。
現実の問題で言うなら、安楽死が合法化された時に何が起こりうるのか。終末期医療や延命治療なんかも織り込まれて、深いな、と思った。
世界最長老の古竜ディドウスはなかなか愛嬌のある「おじいちゃん」だが、亡くなった娘竜のドーチェに向ける想いは、大きすぎて人間の想像は及ばない。ずっと死んだ娘の死骸の傍に寄り添い続けている老竜が愛おしい。読んでいてずっと気になっていたのは、ディドウスの周りでドーチェ由来の竜脂炭が焚かれていること。ううむ。ディドウスは構わないのかな、それ。叶うならば、ディドウスに尋ねてみたい。
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