昨年末から創元ファンタジイを次々に読み、その勢いで乾石智子のファンタジーに突撃。そして没入。もう、帰ってきたくない(笑)。ずっとこの世界に遊んでいたい。3月には『竜の医師団』3巻が発行になるし、それまではファンタジー祭り続行だな。それにしても、羽住都氏の装画が美しい。
読んだ本の数:10
読んだページ数:3775
ナイス数:686
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著者氏はどこかの後書きで「魔導合戦も書いて見たい」とおしゃってたか。とにかく壮大な兄弟喧嘩。「魔導師の月」で闇を飲み込んだライサンダーの子孫たち。時代がさがること数百年後のコンスル帝国、イザーカト兄弟は魔導師の9人兄弟。末っ子がデイサンダー。ライサンダーのフィブラは、遺言で「9番目の末子」に伝えられた。真ん中のお兄ちゃんリンターがとても素敵で、思わず惚れた。ナハティは、兄弟が多いとどうしても貧乏くじを引く僻みっぽいのが生まれてしまう悲劇である。そんなナハティがデイスのために黙々と刺繍するシーンが切ない。
読了日:01月29日 著者:乾石 智子

以前からちょこっと興味があったのだけど、ご縁があったので大人買い(笑)しかし、フォントサイズがあちこちバラバラ。小さい字は読みにくい。老眼がああああっ。こないだ読書用近近眼鏡を新調したのに! ついに密林でペンダントルーペをポチった。っていうのはさておき、主人公は人ならぬものが見えるが故に家族に疎まれた日本人の女の子。競売で彼女を競り落としたのはねじれ角・骨頭の「本物の魔法使い」曰く、彼女を弟子にする。しかも嫁にもする? せっかくの男前の変身を「うさんくさい」と言ってしまう(笑)チセの旅の始まりはここから。
読了日:01月26日 著者:ヤマザキコレ

何かに追われるようにして一気に読了。まだ1月だけど年ベス確定。鐘の残響に浸るような時間をしばし揺蕩う。乾石智子は書物の魔導師だろう。いきなり物語世界に引きずり込まれて、主人公と一緒に動乱と苦悩の中を引き回される。悲惨な民族浄化ともいえる虐殺の中にも、生活の喜びや出会いや愛があり、一方で憎しみの連鎖があり、思惑の交差があらゆる悲劇をもたらす。静かなイリアン。ロベランの無残。絶望の中でも諧謔味がある大魔導師デリン、老雪ツバメの老いらくの恋まで。この物語の後、平和で三民族が融和した国が出来るのだろうか。
読了日:01月24日 著者:乾石 智子

『夜の写本師』でシルヴァインが惨殺されたすぐ後のキアルス。苦しみ悶えながら酒に逃げ、酔った勢いで貴重な『タージの歌謡集』を燃やしてしまう。以降、タージの歌謡集の復元が彼の使命になる。一方、太古の闇〈暗樹〉が時の権力者の手に渡るところに居合わせてしまったレイサンダー。キアルスが復元を試みる本が実は〈暗樹〉を封じる方法を記した本だと分かり、二人は協力して暗樹に対抗する。キアルスとレイサンダーの性格の対比と二人の友情、軍人ムラカンの正義と潔さ、緻密な世界観と幻視の情景。どんどん引き込まれ一気に読了。面白かった!
読了日:01月20日 著者:乾石 智子

千年の呪いと転生の復讐譚。表現が映像的で、シリアスな絵柄の漫画のコマが脳裏に挟まるような感覚で読了。死闘に次ぐ死闘で何回も主人公が殺され、中には気が重くなるような醜悪な魔術も登場する。しかし最後にカリュドウが辿りついたのは全き愛。悪を悪で終わらせず、母を慕い魂を引き裂かれた少年の孤独な魂と結び付ける終盤は、とても日本的だと感じた。アンジストの為した悪の帳尻あわせとしては、殺された人間が割にあわない気がしないでもない。カリュドウやケルシュが魅力的で、こののちカリュドウが育てて行く少女の行く末も気になりつつ。
読了日:01月16日 著者:乾石 智子
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著者のこれまでの想いや苦悩がとことん反映されているんだろうな、と感じる登場人物たち。現代日本と大正・昭和初期を行き来しながら、呪物を探しつづける朱鷺とその兄(犬姿)が、高校生の美弥が巻き込まれた呪いを読み解き、昇華させる。全体のストーリーがさらりとしているのに反比例して、個人個人の内面の想念は重苦しい。朱鷺が完全にノンデリさんなのがそこはかとなくおかしい。いちおうファンタジー括りだけど、ホラーでも通じそう。著者の言いたいこと、描きたいことは判る。だけど共感には一歩足らず。ただ朱鷺の行く末がとても気になる。
読了日:01月14日 著者:佐藤さくら
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1〜3巻で情勢と個人の内面は深化し、この4巻ではそれらが全て一つの潮流となって、新たな夜明けを迎える。レオンはずいぶん落ち着いて、自分の道を見いだしている・・・と思いきや、やっぱりぐらぐらしていて。今作では、レオンの亡き師であるセレスが残した禁術を巡り、レオンが巻き込まれ、ゼクスが追いかける。レオンは具体的な成果はなにも上げない感じなのに、しっかりと大きな事態を動かしている。歴史が大きく動いて、ひとつの節目を迎える。実際にそこに一つの世界があるかのような濃密な世界観がすごい。書き上げた著者に拍手。
読了日:01月12日 著者:佐藤 さくら
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ざっと全ページをめくって、細かく調べたいときのためにだいたい何が収録されているか確認。それにしてもカラー、写真、イラストたっぷりでめくっていて楽しい。文学史どころか日本史の復習にも。
読了日:01月10日 著者:足立直子,二宮美那子,本廣陽子
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前半は、軍部が全力でデグさんを擁護する査問会@茶番劇。それを受けてのデグさんがついに真っ正面から奪取にいった「後方勤務」それにおののくレルゲンさんとゼー閣下。デグさんと閣下のド緊迫した応酬と一人胃痛なレルゲンさん。やっぱりいいひとだ。そんなに頑張って獲得したかに思えた後方勤務は時限、しかもたったの2ヶ月。ここから帝国は泥沼の『国家総力戦』へ。今巻も読み応えありました。
読了日:01月10日 著者:東條 チカ
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弱い者の側に立って戦う、というのは人としての矜持。タイトルは「魔道の矜持」だけれど、自分の中の芯となるものを求め続けて、ついにこの矜持を持つに至ったのは魔道士ではないノエでありガンドでもある。魔道士対普通の人々の対立や差別を描いてきたこの作品は、この巻で、人間性の対立を描き出した。良書である。王道冒険ファンタジーとしても、とても面白いです。
読了日:01月08日 著者:佐藤 さくら
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