原 題 「Demolition Angel」2000年
著 者 ロバート・クレイス
翻訳者 村上 和久
出 版 講談社文庫 2002年8月
初 読 2018/05/16
舞台は定番のロス市警。主人公スターキーは爆弾事件で恋人を失い、傷跡と後遺症で重いトラウマを抱えって設定だが、とにかくキャラがイタい。
主食はアスピリンと制酸剤。上巻でまともに口にしたのはレーズン一箱だけ。ちょっとしたことに怒りで拳を振るわせてるところなんか、全然感情移入できない。
他人が自分の思いを汲んでくれないと怒りが湧き起こるなんて、実に自己中である意味アメリカ的?
特別捜査官のペルの行動もまだ底が知れなくてこわいが・・・このペルも明かになにかのトラウマもち。どうにも彼に惹かれるが、スターキーがターゲットになっていることを隠しているのは、彼女を囮に使いたいから? 何をしようとしているのか、ちょっと得体が知れないところが不安をさそう。
チェンとスターキーはこの後C&Pシリーズにも登場していて、スターキーはコールを好きになっちゃったりもしてるが、残念ながら本邦未訳。チェンは『天使の護衛』にも登場。この作品世界のどこかにC&Pもボッシュもいるのかと考えると面白い。ボッシュなんか、市警の廊下ですれ違ったりして、と妄想する。
上巻ラストで以外な展開があり下巻への期待値が一気に高まる。
さて、下巻にさしかかると、共感しづらい女性キャラN0.1のスターキーが、捜査の進展につれてどんどん普通になっていくじゃないですか。
ペルももっと怪しい奴かと思ったら、存外にいい人だった。凝ってひねくったストーリーではないのはいつものクレイス。本質的に悪い奴があまり出てこないのも、やっぱりクレイス。その代わりにスピーディーに読ませてくれて楽しい。
『容疑者』と同じく、上司のケルソーや副本部長もそのお付きのメン・イン・ブラックも、良い感じに身内感が漂っていて、職場の連帯感みたいなの?が感じられるのが良いところ。
それにしても、このタイトル、何とかならなかったんだろうか。ロサンゼルスに、エンジェルが掛詞になってるのかな?にしても、この邦題は。。。。
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