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2026年2月11日水曜日

0578—80 傭兵の男が女神と呼ばれる世界1〜3 (アンダルシュノベルズ)

書 名 「傭兵の男が女神と呼ばれる世界1」
出 版 アルファポリス 2020年9月
単行本 304ページ
初 読 2026年2月4日
ISBN-10 4434278754
ISBN-13 978-4434278754
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/133260505

 引き続き野原耳子さん作品。
 これまた異色も異色なBLでビックリ! 有り得なさそうなものを取り合わせてブッ込んで面白くしました!って感じだけど、これがとにかく面白い。断然面白い。
 なにしろ、無骨な傭兵だ。AK47抱えてジャングルを縫い、手榴弾放り投げる戦士。元自衛官。既婚・子供あり。(ただし訳あり)
 そんな、男臭く、汗臭く、ジャングルの泥まみれ、砂漠の砂まみれみたいな迷彩服の男が、なんと異世界に飛ばされる。それも女神として!! つーか、異世界側が女神がやってくるという神のお告げ?に従いお出迎えしたら、現れたのがこいつ、尾上雄一郎だった。もう、名前からして男臭い(笑)。尾上(おがみ=男神?)は女神に掛けてるのかナ?
 雄一郎の抵抗も虚しく、女神として召喚されたんだから、男だろうがおっさんだろうが、お前は女神なんだ、と異世界側には強弁(笑)されてしまう。お前のこの世界での使命は、軍を率いて「正しき王」を勝利させること、そして「正しき王」の子を産んで国母となること(!)。自衛隊上がりの傭兵だから軍を率いて・・・の方はなんとかなるにしても、「国母となれ!」は37歳中年男に無茶振りもいいところである。
 しかもこの異世界は王位簒奪戦の真っ最中で、自分の目の前のひ弱な泣き虫少年が王位簒奪の憂き目にあっている正当な王位継承者「正しき王」であると言われ、なにもかもが納得いかないうちにいきなり砲撃にさらされ、やむを得ず戦闘開始。
 技術的には連発銃が戦力になりつつあり、大砲は戦力化されており、航空機以前の世界観。ドライセ銃からスペンサー銃をイメージすればイイ感じかな? 世界史年代的にいえば19世紀中頃、アメリカ南北戦争くらいの軍装を思い浮かべればだいだい合ってる? まるっきり甲冑、ロングソードってわけでもなさそうなところが、元陸自・傭兵の尾上雄一郎が戦闘指揮能力を発揮できそうな絶妙な塩梅である。
 そしてあれよあれよというまに、元の世界に帰るためにもとりあえず「王の子」を産むことを納得させられ、夜ごとの3Pになだれ込む。激しい。いろんな意味で激しい。

 一巻目は、異世界召喚からの戦闘。雄一郎が初夜(?)で犯され、徐々に「正しき王」ノアと「仕え捧げる者」テメレアに絆されつつ、まずは反乱軍に侵攻された王城を奪還するところまで。昼は過酷に戦い、夜は夜とてベッドの上で男2人に侵略される、男・尾上雄一郎37歳の戦記であるとともに、全てを失い絶望した男が何を思い、何を取り戻していくのか、そんな雄一郎の内面からも目が離せない。(こんなBLがあるとは・・・・目から鱗が落ちそうな一冊である。)


書 名 「傭兵の男が女神と呼ばれる世界2」 2021年7月
単行本 299ページ
初 読 2026年2月7日
ISBN-10 4434291106
ISBN-13 978-4434291104
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/133284932

 反乱軍の居場所を探るために偵察に出した兵とテメレアが戻らない。唯一戻った女性士官のイヴリースの背中には矢が突きたっていた。
 その方面には、女神を信奉する部族の街があったはずなのに、なぜ? テメレア奪還のために出撃する雄一郎である。そして、なんと雄一郎の他にも、もう一人の「女神」がこっちの世界に現れていた。ノア側とノア兄側、それぞれが「女神」を擁し、隣国の最新兵器も登場して戦局はいよいよ厳しい。そこで、雄一郎側は、ノア兄側と同盟している隣国ゴルダールの内乱を誘発する策にでる。
‎ 
 元いた世界で妻と子供を失い、すべてに絶望し、心なんぞ死滅したような雄一郎の、その実は細やかな心情が描写されるのが良し。死にかけたり・生き返ったり・倒れて寝込んだり、それなのにやっぱり犯され喘がされ、戦争よりもベッドの上が激しい。シャグリラの実という、女体化を促進する実を摂取しているうちに、なんとなくヒゲが薄くなり、体が柔らかくなってきた。そして、2人の夫?愛人?恋人?を求めずにはいられない体になりつつある。しかし、王位継承のための戦争はまだまだ混沌として続く。雄一郎の外套の襟元にとめられたピンの赤い石(サザレ)が不穏。それを留めたゴートはいずこに? まだまだ波乱の気配を漂わせながら、話は3巻へ


書 名 「傭兵の男が女神と呼ばれる世界3」 2022年5月
単行本 515ページ
初 読 2026年2月8日
ISBN-10 4434303244
ISBN-13 978-4434303241
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/133362698

 隣国ゴルダールの前王の双子の子を見つけだし、現ゴルダール王を打ち破り、ジュエルドとゴルダールに平和な未来をもたらすことを約束したノア一行。行く先々でアオイが現れるが、このアオイの造形とか、アオイの位置づけなんかは結構チープな感じがする。まあ、悪役として分かりやすくはあるが、もうちょっと魅力的な悪役でもいいような気がする。ともあれ、雄一郎の過去の出来事が、ついに雄一郎の口から語られる。そして、ゴートの裏切りによって、腹を刺されて凍った湖に落ちた雄一郎は、再び死線を越えて現代の日本に。

 この作品では、戦争が平和な世界を築くための「必要悪」として語られるけれど、第二次大戦の記憶が遠ざかり、そして近隣の大国中国をはじめ、東欧、南米と全世界がキナ臭くなってきた今、戦争や犠牲を、そういうふうに単純化してしまってよいのか、という読み手(私)の思いを、作中の雄一郎自身が、受け入れ難く思っているところにも共感できたりする。雄一郎はやむを得ず戦うことを選ぶが、本当は、妻と子供を爆死という悲惨な形で失った雄一郎の嘆きが全てなんじゃないか? とも思う。
 令和が次の殺戮の女神の時代でありませんように、なんて、選挙の野党の惨状を見ながら考える。今が、ヒットラーが国民選挙で選ばれ、ナチスが台頭した時代と同じでないと、だれが言える?
 こんな感じで、読んでる自分の気持ちが現実と物語世界を行き来しつつ、「黒の女神」雄一郎の勇姿を追う。
 女神隊を鼓舞する雄一郎なんて、ほんとヤバい。せめてもの救いは、雄一郎が自覚を持っていて、戦争に酔っていない現実感覚を持っていることだ。そして、なにはともあれ、大量の戦争の犠牲者の屍を礎として、平和なジュエルドの、ノア王の治世はもたらされる。


 私としては、子供を産んでからの雄一郎が大好きだ。結果として(番外編までいれると)7人の子持ちになっちゃうわけだが、相変わらず一人称は「俺」でぞんざいな口調なのに、子供達からは「母様」と呼ばれ、母として根気強く子供達を育てる雄一郎を好ましく思う。なんていうか、戦争が終わってしまえば軍人の出番はなく、内政も外交もノアとテメレア任せで、雄一郎はせいぜい暇つぶしの盗賊退治の他は、母親業しかやることなくなっちゃったんだろうとも思ったりするが。

 番外編については、賛否両論ありそうだけど、ゴートの執着と雄一郎の未練は私的には「アリ」だと思った。『雄一郎がどれだけ自分を憎んでも、疎んでも、それでも僕もテメレアも雄一郎を見捨てない。雄一郎がどんなことをしても最後には許す。雄一郎が好きだから。誰よりも大事だから』というかつての言葉を、ちゃんと守る2人の夫であった。私としては、自分自身でも受け止めきれない妻と娘の悲劇の痛手を抱えつつ、ゴートの喪失に寄り添い、ゴートの行き場のない怒り(裏切り行為)も受け止め、ずっとゴートを側に置き続けた雄一郎の懐の深さを、事実もろともゴートにぶつけたいと切望したよ。ノアとテメレアは、ゴートに言っちゃえばよかったのに!(そしたらきっと、ゴートは再起不能なまでに打ちのめされたと思うよね。) さて、誰の子になるかはワカランが、雄一郎に8人目の子が生まれないかどうかは、神のみぞ知る??? ちょっと期待してしまったり・・・・

 久しぶりに読後も主人公が頭の中を歩き回る感じを味わっている。だいぶ雄一郎に入れ込んだ。読後数日たっても、まだ物語世界から抜き出せきれていない。私は本当に傷ついた男が好きなんだよなあ。。。。。

2026年1月25日日曜日

0575—76 バッドエンドを迎えた主人公ですが、僻地暮らしも悪くありません 上・下 (ピスタッシュ・ノヴェルス)


書 名 「バッドエンドを迎えた主人公ですが、僻地暮らしも悪くありません 上・下」
著 者 仁茂田 もに       
出 版 新書館 2025年9月・11月
単行本 上巻 320ページ/下巻 336ページ
初 読 2024年?月(アルファポリスにて)
ISBN-10 上巻 4403221432/下巻 4403221483
ISBN-13 上巻 978-4403221439/下巻 978-4403221484
読書メーター
 上巻:https://bookmeter.com/reviews/132968692
 下巻:https://bookmeter.com/reviews/132968718

 引き続きハッピーエンドしか読みたくない病を発症中。
 仁茂田もにさんは、そんなときに安心して読める、好きな作家さんのおひとりである。最初に読んだのが、「Ω令息は、αの旦那様の溺愛をまだ知らない 」で、それ以降、電子書籍版や、pixivや「なろう」やアルファポリスにアップされている作品も好んで読んでいる。
 とくに気に入っているのが、「王と王妃」と「七年前に助けた子どもが、勇者になって求婚してきた」。この2作品は、電書化されていなくて商業出版ベースに乗ってないので、読みかえしたくなったときには、pixivファンボックスやなろうに出かけて再読している。

 この「バドエン主人公」は、アルファポリスで連載されていたときに追いかけて読んでいた。今回商業出版バージョンを入手したのは、Amazonからオススメされて、つい読み返したくなったからだ。お気に入りの作家さんを買って応援するのは読者の勤め。心を込めて?ポチる。 

 後書きによれば、「今流行りのキャッチーなものを書いてみよう」と思って書かれた作品とのこと。「今女子に流行りの日記ってものを書いてみようと思って書いたんだよ」という紀貫之/土佐日記の冒頭を思い出した。(笑)

  主人公が転生したのは過激BLゲームの中。登場人物は男だけ、なんなら世界中男しかいない設定。世界は平面・天動説。世界の裏側には暗黒の女神の世界があって、世界が破れたら大変なことに。冒頭から始まる断罪劇、チート主人公、超美形な相方で役満。ってか美形しかおらん。ちょこっと出て来るだけのやつは「モブ」で一把一絡げな感じも潔い。振り切れた世界観だから、ただただ楽しもう!と思って楽しんで読む。
 仁茂田もにさんの作品の登場人物たちは、どんなに逆境でも心折れない嫋やかさがあって好きなんだよ。読んでいてすごく癒やされる。「悪役令息」役のジュリアンと再会してからの流れなんかも面白かった。ちょっとフィン隊長が死んでしまうのではないかとドキドキしたよね。アルトが負傷したときも、刺客に襲われた時も、危機一髪でちょっとハラハラしたけれど。それでも誰も死なない大団円。ハッピーエンドをありがとう♥️

2025年11月18日火曜日

0571 捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです3

書 名 「捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです 3」

著 者 カレヤタミエ
出 版 TOブックス 2025年11月
単行本 352ページ
初 読 2025年11月15日
ISBN-10 4867947784
ISBN-13 978-4867947784
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/131573887

 「なろう」サイトですっかり既読ではあるが、書籍にまとまったものを読むのもまた、楽しい。
 つぎつぎと新技を繰り出すのを見るのがたのしいメルフィーナの領地改革ストーリーではあるが、今作はぐっと、御夫君であるオルドランド公爵アレクシスが生きる厳しい世界も描かれる。
 北部に巣くう魔物、プルイーナとその眷属サスーリカと、冬毎に戦い続ける使命と、その能力故に背負った宿命を、メルフィーナもついに知ることに。そんなで、この巻はかなり重い空気をまとっている。ああもう、はやくラブラブカップルになっちゃえよ!

 表紙の青い長髪ののっぽは、『象牙の塔」の第一席の大魔法使いで自称(?)錬金術師のユリウス。この世界?それともユリウスの中?では、魔法使いより錬金術師の方が格上っぽい。

 にしてもメルフィーナ、作中では理知的ですっかり落ち着いた風情だが、若干16歳。ちょっと老成しすぎでは?と思わないでもない。

 あと、これまで、あらゆる取り組みを成功させてきていて、さすがに上手くいきすぎだと思ってしまうんだけど、トラバサミの作成や蒸留酒作りなんかは、さすがに知識や概念だけで一発成功はむりじゃねか?まあ、面白いからいいんだけど。

4巻は来春刊行。うれしい。座して待つ。

2025年6月22日日曜日

0546・0558 捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです(単行本)

書 名 「捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです 1」
著 者 カレヤタミエ
出 版 TOブックス 2025年1月
単行本 352ページ
初 読 2025年2月22日
ISBN-10 4867944211
ISBN-13 978-4867944219
読書メーター
 https://bookmeter.com/reviews/126248779

 「小説家になろう」年間第1位(2024年4月~10月現在)。ついに書籍化! とのこと。
 私は、「小説家になろう」のサイトを徘徊していて、ちょっと気になって読み始めて、あまりに面白いので一気読みした。これだけ面白くて力のある著者さんであれば、それ相応の敬意を表すべき!と思って書籍版も購入。(ちょっと勘違いして(?)、Kindle版もDLした。)

 最近、ぽつぽつとライトノベルを読むようになったが、これは面白い。蘊蓄もなかなかのもの。

 攻略ゲームの中に日本人の女子高生が転生、って設定はあまりにも「なろう系」だし、タイトルも書店の本棚に並んでいたら絶対に他の本と区別がつかないと確信が持てるけど、こういう宝石が埋まってるんだな、あの界隈には!との認識を新たにした。
 侯爵家の令嬢に生まれながら、出生に疑念も持たれて疎まれつつ育ち、結婚年齢に達したとたん公爵家に嫁がされたのに、初対面で「お前を愛するつもりはない」と言い渡される。結婚生活も営むつもりはないから、ほどほどに贅沢して体面を保って勝手に社交でもしながら生活しろ、と夫となった公爵アレクシスに言い放たれるメルフィーナ。そこは絶望するところだが、アレクシスから辺境の領地の領有権をもぎ取り、翌日には領地に向かって出立。荒れた開拓地と貧しい領民を目の当たりにし、持ち前の知識で領地開発と農業改良に乗り出す。
 もちろん、まるで経験のない女子が知識だけで農業はじめて、あまりにもトントン拍子なのは否めないが、メルフィーナの行動力と優しさと、豊富な知識と、内面の深さ、お付きの二人や公爵アレクシス、公爵の護衛騎士のオーギュストなどなど、登場するキャラクターがそれぞれに個性が立っていて、非常に物語を面白くしている。なにしろ、主人公メルフィーナが、公正で真摯で尊い。
 転生ものって、こんなに面白くなるんだ! と目からウロコが落ちた。

 なお、番外編の2本も良し。おちゃらけた見かけのオーギュストが良い味出してるのよね。こういうキャラは大好きだ。(グレイマン・シリーズのザックっぽい。)
 今年中に続刊も出るようなので、(すでに読んでしまってはいるが)楽しみにしている。
 ラノベらしく結構イラストが挿入されているけど、文章そのものにイメージ喚起力があるので、挿絵は自分の中のイメージとぶつかってしまった。もともと、なろうサイト内の作品には挿絵はないので、文書だけで勝負するのも良いのではないかと思う。
 なお、後書きによると、著者のペンネームの「カレヤタミエ」は かれや・たみえでもなく、かれやた・みえ、でもなく「かれやたみえ」なんだそう。読み方ムズいぞ。

 *〜・・・〜**〜・・・〜**〜・・・〜**〜・・・〜**〜・・・〜**〜・・・〜**〜・・・〜*

書 名 「捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです 2」
著 者 カレヤタミエ
出 版 TOブックス 2025年6月
単行本 400ページ
初 読 2025年6月21日
ISBN-10 4867945986
ISBN-13 978-4867945988
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/128632378



「なろう」サイトですでに通読済み。単行本化のお楽しみは、今回はどこまで収録かな?というのと、巻末の付録短編。
 2巻はノーフォーク農法の取り入れの思案からはじまり、メルフィーナ誘拐からの農奴獲得を口実に窮民救済、火鉢の導入と冬支度、メルフィーナが作ったエールは美味く、サウナは極楽。セルレイネの寄宿、ソーセージとベーコンとハム製造、そして砂糖の製造着手まで。相変わらずいちいち記述がマニアックで面白い。そして美味そうです。強いて難癖つけるなら、いくら知識があるとはいえ、実践経験がないのにぶっつけ本番で失敗のないところ、かなあ。でもそこはファンタジーってことで目くじら立てず、楽しもう、という気分に十分になれるだけの説得力はある。
 ブレないメルフィーナにすこしづつ絆されていく公爵様が個人的には密か(でもない)見所。巻末の参考文献も見応えあります。著者さん、よく勉強してるな〜、と思います。




2024年9月17日火曜日

0505 五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました 4

書 名 「五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました  4」
著 者 須王 あや       
出 版 TOブックス  2024年9月
単行本 336ページ
初 読 2024年9月6日
ISBN-10 4867943029
ISBN-13 978-4867943021
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/122918421

 なんと、アップするのを忘れていたので、遅ればせながら記事を上げる。
 異世界転生・年の差・魔法・ラブラブほのぼのファンタジーの4巻目です。愛しく可愛いレティシア5歳と、それはそれは神々しいまでにお美しい王弟殿下17歳の年の差カップル。とはいえレティシアの中の人は27歳元OLだったりするため、さほどの精神年齢の差はない模様。この作品も私の心の絆創膏。

 王太后陛下の勘気を被ったのを口実に、フェリスの領土であるシュヴァリエに引きこもり、年に1回の薔薇祭を楽しむ二人だったが、ちょっとフェリスが王都の様子が気になったりしたため、こっそりお忍びで戻るフェリスにレティシアも同行。そうしたら、なんと、フェリスの目を掠めるように、レティシアが誘拐されてしまい。
 危機一髪ではありますが、とにかくフェリスが圧倒的力量なんでさっさと事態は収束。リリア神の拗れたやきもちが事態を悪化させてる。今後、この調子で登場人物ならぬ神様が増えていくのだろうか。人界も神界もなんだかこれからゴタゴタしそうな予感。

 これからどういう風に展開するんでしょうね? ふんわりラブラブで結婚式まで行くのか、大事件が起こって竜王陛下も顕現してスペクタクルー!って感じになるのも楽しそうですが。続きが楽しみです。(個人的には、フェリス様に竜体になってみてほしい。)

2024年5月5日日曜日

0482〜84 五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました1〜3 (Celicaノベルス)

書 名 「五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました」
著 者 須王 あや     
出 版  TOブックス 2023年7月
単行本(ソフトカバー)400ページ
初 読 2024年3月23日
ISBN-10 4866998911
ISBN-13 978-4866998916
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/119719650

「王弟殿下におかれましては、ご機嫌うるわしう・・・」
 なんと哀れな姫君。
 両親を失って、後ろ盾もなく、たった五歳で、十二歳も年上のディアナの王弟殿下に腰入れなどと・・・。 

 最初の3行で、掴みも最高です。一気に世界に引き込まれます。須王あやさん、文才あるわ。
 1000年前に竜王神が顕現して、当時の王女とともに国を興した大国ディアナ。その竜王陛下の直系子孫で、先祖返りみたいに竜王陛下に生き写しなのに、そのために義母である王太后に疎まれて、とかく生きにくさを抱えて生きてきた王弟殿下のフェリスと、その義母の「陰謀」でフェリスに輿入れすることになった隣国サリアの先王の娘レティシア。5歳と17歳の歳の差婚。歳の差は政略結婚にはありがちだとしても、流石に5歳の花嫁は規格外。おまけにその5歳の中の人は現代日本で27歳で事故死した娘で、17歳の王弟殿下の方は、竜王譲りの美貌と魔力と知性と幼少時からの苦労で老成しまくってる。そんな二重三重のミスマッチがきちんとこの歳の差カップルの中に収まって、レティシアの可愛さに氷と称される鉄壁のガードが崩れて笑い転げるフェリスの喜びや、そんなフェリスが大好きになったレティシアの幸福感が読者に伝染して、なんとも幸せな気持ちになる。いやこれ、かなりの拾い物です。

 初対面で、レティシアに優しくしてくれたフェリスに、

 いい人だ。
 私も、この優しい王弟殿下をお守りしよう。 

 と、心に誓うレティシア。やさしさが溢れて、泣きそうだ。


書 名 「五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました2」
著 者 須王 あや     
出 版  TOブックス 2023年11月
単行本(ソフトカバー)400ページ
初 読 2024年3月24日
ISBN-10 4866999969
ISBN-13  978-4866999968
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/119740245  

 街に流布された悪意ある噂が王太后の逆鱗にふれて、謹慎蟄居を命じられてしまったフェリス。国王陛下の差配でその日のうちに謹慎蟄居は撤回されるも、これを機に、とレティシアを伴って自領にひっこんだ。おりしもフェリスの自領のシュヴァリエは特産の薔薇の盛りで「薔薇祭」が開催され、土地の人々が敬愛する領主の婚姻で祝祭ムードに溢れている。
 そのフェリスのお膝元の街にも、なにやら異国の異分子が紛れ込み、不穏な策動が・・・
 ちょこっと黒フェリスが顔を出して荒事っぽいことも起こったりして、幸福感を扱いあぐねて笑いころげてるばかりでないのもよし。
 レティシアが奪われてしまった愛馬を取り戻せたこともよし。
 この巻も、優しさと労わりと愛情と真心にあふれてます。

書 名 「五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました3」
著 者 須王 あや     
出 版  TOブックス  2024年5月
単行本(ソフトカバー)400ページ
初 読 2024年5月3日
ISBN-10 4867941719
ISBN-13 978-4867941713
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/120499141

3巻目発売。もはや私の心の包帯と化しているこのお話。
 今作はレティシアの幸福を阻まんとする母国サリアの叔母王妃が、よくない企みを発動する。レティシアの愛馬のサイファをサリアに迎えにきたフェリスに対面したサリア王妃は、ろくな知識もないままに厄介者の冷や飯食いの王弟だと思い込んでいたフェリスが、美形で有能な王子だと知る。とたんにレティシアに与えるのが惜しくなって、自分の娘とレティシアの交換を画策。だがしかし、この悪い策謀に対して、伴侶をこよなく愛するディアナ王家の気質を遺憾なく発揮しているフェリス様の怒りが爆発。

「それを書面にせよ。そちの裏切りを、サリアとディアナに知らしめよ。書けぬと言うなら、首は落として、腕だけ残して、腕に命じる」

 もう、このセリフに惚れ惚れしましてん。「腕だけ残して、腕に命じる」ですよ!冷酷これに極まれり。これもまたフェリス様の本性の一部ですよ! 首を落とした後、腕一本だけ残す間に残った部分はきっと粉砕されちゃうんだ。とか書いてないことまで想像してその黒さにぞくぞくしますわ。
 この巻、レティシアの前では優しい白猫をかぶってるフェリスの黒い面も堪能できる。白フェリス?と黒フェリスの塩梅が絶妙です。須王あやさん、上手いよな〜と思いながらしっかり緩急を堪能。なお、男前?な王太后様がすんばらしかった。見直したよ。

何と了見のおかしなサリアの王室よ。  

そもそもディアナの王弟相手に、現王女でなく、やっかい者の姫を寄越そうなんて政治センスのない王室だ。 

もともと常識がないのであろう。 

「……どのみち、もうフェリスはあの娘を気に入った。ディアナの王族が誰かを気に入ったら、それを奪うことなど、サリアの王妃ごときに出来ぬ」

 日頃、なにかと目障りな恋敵の息子に嫌がらせの手を緩めない王太后様だが、さすがの生粋のディアナ娘は、ディアナ王族の特質を見切っている。そして、ディアナの王家としての気概も見せる。フェリスに対してはかなり変な行動をとりがちだが、きちんと賢い王族でもあるところに、初めて高感度がアップした。