2016年12月31日土曜日

0015-17 マルドゥック・スクランブル

書 名 「マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕
    「 マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion〔完全版〕
    「マルドゥック・スクランブル The 3rd Exhaust 〔完全版〕
著 者 冲方 丁 
出 版 ハヤカワ文庫 2010年10月

2016年12月30日金曜日

0014 司政官 全短編

書 名 「司政官 全短編」 
著 者 眉村 卓 
出 版 創元SF文庫 2008年1月 

  Kindleで読み始め後から文庫を入手したらびっくりな厚さ。本の厚さを感じさせないくらい引き込まれた。
 歴代の司政官の苦悩、孤独、焦燥、決断がテーマなので、物語的にはこれからだよね、というところでブッツリお話が終わってしまったりする。(余韻がある、ともいえる。)
 主人公は全員ストイックで有能な官僚。ある意味直線的な生き方しかできない。ラストに登場する女性の巡察官が「逃げればいい」と言い放っても、それを受け入れるなんて無理無理!
 組織や制度と自分を同一視してそれを体現しようと孤軍奮闘する主人公達が哀しい。
 私は制度設計とか、組織構成がどうしても気になってしまって、司政官制度には構造的欠陥があるよな〜、と思ってしまうところがやや残念なところではある。お話としては「長い暁」と「扉のひらくとき」が好き。

「司政官としての全権限と全責任において命令する」

 組織の末端ともいえる立場ではあるけど、重い責務があり、果たすべき責任がある。その決断に幸いあれかし、と願う。

2016年12月23日金曜日

0013 放課後地球防衛軍(1)なぞの転校生

書 名 「放課後地球防衛軍(1)なぞの転校生」 
著 者 笹本 祐一 
出 版 ハヤカワ文庫 2016年11月

 まだまだ導入部。一冊読んで何も始まっていない。「星のダンス」くらいポンポン話が転がっていくくらいのテンポ感の方が好きだなあ。
 でも星雲賞を狙う勢いで書くそうなので、期待して続刊を待ちます。こういう自分の隣に宇宙がありそうなこの作家さんのSFは好きです。自分の町の漁協とか農協に地球防衛軍の支部とかあって、リアルタイムでSFしたいな〜と思う。

2016年12月15日木曜日

0011-12 コフィン・ダンサー

書 名 「コフィン・ダンサー 上」「コフィン・ダンサー 下」
著 者 ジェフリー・ディーヴァー 
翻訳者 池田真紀子氏 
出 版 文春文庫 2003年5月

ディーバーに慣れたのか、こちらの方が前作よりも真っ当な(笑)推理小説だったからか?最後まで安心して楽しめた。オマケに話中で心に傷を負ったサックスもベルもちゃんと救済する親切設計。ラスト、黒幕を撃ったのは誰なんだ!まさかトム?カッコ良すぎじゃないか!と一瞬勝手にときめいてしまってから、ベルさんだと判り、そりゃそうだよなと納得したり。最後の最後までどんでん返しを堪能した。それにしてもライム。恋多き男だねえ。

2016年12月14日水曜日

0009-10 ボーン・コレクター 上・下

書 名 「ボーン・コレクター 上」「ボーン・コレクター 下」
著 者 ジェフリー・ディーヴァー 
翻訳者 池田真紀子
出 版 文春文庫 2003年5月

 究極の安楽椅子探偵。ライムのひねくれ具合に魅了されてしまった。こんなのが現実に自分の隣にいたら耐えがたいかもしれないと思うのだけど、それでも誠実で(ある意味)素直な人だと思えてしまうところが、小説だなあ、と。「ボーンコレクター」という名前が唐突に出てきたのには若干驚いた。唐突すぎない?もっと骨のネタを積み重ねて、ライムか捜査班が命名するものとばかり思っていたよ。登場人物皆々、キャラが立っていて素敵。一番のお気に入りは、クーバーとドビンズだな。ライムへのさりげない気遣いや優しさがしみる。
ラスト、まさかの肉弾戦に笑ってしまう。真犯人はこいつだったのか〜!とかの驚きよりもただただライムの顎の強さに唖然(笑)。これだけ緻密にストーリー組み立ててきて、最後の最後に考察も検証も投げ捨てる展開の思い切りの良さに、その衝撃も込みで感服した。ライムの歯が折れないで良かった。ライムとサックスの未来に幸多からんことを!

2016年12月7日水曜日

0008 殺し屋を殺せ

書 名 「殺し屋を殺せ」 
著 者 クリス・ホルム 
翻訳者 田口俊樹 
出 版 早川書房 2016年11月

 凝った設定と緻密な描写だけで、最後まで持って行った感じ。
 3人の殺し屋とFBIが、なんの絡みもひねりもなく一点を目指して突進し4者激突大破!というか。終盤はスピード感があって一気によめたが、設定が凝ってる割に人物像が単純で、特に主人公、心に傷を負った元特殊部隊、とかいいつつ純朴で単純で健康なアメリカ男そのものだ。それにチャーリーの取って付けたようなレズ描写って必要なんだろうか?
 お気に入りのレスターとガーフィールドはあっさり殺されちゃって残念である。でも派手で映像化向きだと思う。それを意識して書いてるんだろうな、とも感じる。映画化されたら見ると思う。ってか、第二作があるのか。これ。
 ヘンドリクスはレスターがいないと何もできないんじゃなかろうか?と妙に心配になる。次作では、もうちょっと屈折して渋い男になってくれることを期待する。(多分無理だと思う。)

 彼を、世界(?)四大殺し屋に数えてあげるべきかでは、意見の分かれるところ。グレイマンほどの、どんな危機も何とか乗り越える驚異の戦闘能力があるわけではなく、ヴィクターの偏執狂的周到さがあるわけでもなく、ケラーさんの訳のわからん破壊力があるわけでもない。どことなく普通の人っぽいんだよな、ヘンドリクスは。

 読み友さんの分類によれば、ケラーのほんわか系ではなく、ヴィクターのクールストイック系でもなく、グレイマンのお人好し系とのこと。お人好しに関しても、グレイマンほど底が抜けてない。もう少しがんばりましょう的な愛されキャラ?