発表
作品名
邦題
シリーズ
注記
1986
The Flood
1987
Knots and Crosses
紐と十字架
リーバス警部第1作
文庫
1988
Watchman
1991
Hide and Seek
影と陰
リーバス警部第2作
文庫
1992
Tooth and Nail
リーバス警部第3作
Strip Jack
リーバス警部第4作
A Good Hanging and Other Stories
短編集
1993
Witch Hunt
ジャック・ハーヴェイ名義
The Black Book
リーバス警部第5作
1994
Bleeding Hearts
ジャック・ハーヴェイ名義
Mortal Causes
リーバス警部第6作
1995
Blood Hunt
ジャック・ハーヴェイ名義
1996
Let it Bleed
血の流れるままに
リーバス警部第7作
文庫
1997
Black and Blue
黒と青
リーバス警部第8作
文庫
1998
The Hanging Garden
首吊りの庭
リーバス警部第9作
ポケミス
1999
Dead Souls
死せる魂
リーバス警部第10作
ポケミス
2000
Set in Darkness
蹲る骨
リーバス警部第11作
ポケミス
2001
The Falls
滝
リーバス警部第12作
ポケミス
2002
Resurrection Men
蘇る男
リーバス警部第13作
ポケミス
Beggars Banquet
貧者の晩餐会
短編集
2003
A Question of Blood
血に問えば
リーバス警部第14作
単行本
2004
Fleshmarket Close
獣と肉
リーバス警部第15作
単行本
2005
Rebus's Scotland: A Personal Journey
2006
The Naming of the Dead
死者の名を読み上げよ
リーバス警部第16作
ポケミス
2007
Exit Music
最後の音楽
リーバス警部第17作
ポケミス
2008
Doors Open
2009
A Cool Head
The Complaints
監視対象:
マルコム・フォックス第1作
文庫
Dark Entries
2011
The Impossible Dead
偽りの果実
マルコム・フォックス第2作
文庫
2012
Standing in Another Man's Grave
他人の墓の中に立ち
リーバス警部第18作
マルコム・フォックス第3作ポケミス
2013
Saints of the Shadow Bible
寝た犬を起こすな
リーバス警部第19作
マルコム・フォックス第4作ポケミス
2015
Even Dogs in the Wild
リーバス警部第20作
マルコム・フォックス第5作2016
Rather Be the Devil
リーバス警部第21作
マルコム・フォックス第6作
2018年6月30日土曜日
イアン・ランキン 作品一覧
2018年6月29日金曜日
0125−26 黒と青 上・下
書 名 「黒と青 上」 「黒と青 下」
原 題 「Black and Blue」1997年
著 者 イアン・ランキン
翻訳者 延原 泰子
出 版 早川書房 2006年9月
初 読 2018/06/29
前作の後始末?で、エジンバラでいちばん過酷な勤務地「クレイグミラー署」に異動(左遷)させられているリーバス。とはいいつつも、同僚とはなかなか良さそうな関係を築いて、感じは悪くない。
過去の連続殺人犯「バイブル・ジョン」と現在の模倣犯「ジョニー・バイブル」、それに海上石油プラント勤務の男の転落殺害、過去にリーバスが捜査に深く関わった殺人事件が、なんだかつながって行きそうな上巻。
いよいよ過去の事件の再調査が始まることになり窮地に立たされるリーバス、だがなぜそこで逃げる?(笑) いや〜、想定外の行動だったワ。
P.172「何も騙そうとか・・・もういい」リーバスはくるりと後ろを向いて階段を降りていった。暖かい陽光に包まれた外の世界が、ふいに美しく見えた。すべてに意味がある。・・・・
全体的に殺伐としているのに、突然詩的になっちゃうんだよね、この人は。このリーバスの感性が初心なのだ。リーバスの視線をなぞって周りの人物を見ると、人物像が揺らいでアンクラムがいい人に見えたり憎らしくなったり。リーバスの見方が場当たり的なのか、よく言えば、先入観や自分の判断にこだわりが少なくて状況を柔軟に捉えているというか。これも彼を優秀な警察官にしている特質なんだろう。
「アンジ―・リデルという名前の女性だった」「美しい目をしていた」。
以前に逮捕したこともある、殺人の被害者の売春婦にリーバスは路上で紅茶と食事をおごっていた。あまり表にでることはない優しさと、人の生業ではなく本質をとらえる鋭さはボッシュとも似ている。
過去の犯罪と現在の犯罪、過去の過ちと現在の悔悛が複雑に絡み合い、親子、夫婦、恋人さまざまな人間模様も入り混じって混沌としている。主人公を中心にしてきれいに整理されたストーリーを読み慣れていると、この混沌がちょっと辛く感じるが、きっと現実もそういうものだろうと思う。難を言えば、ゲデスがレイ・スロウンを特定したのに確保に至らなかったのでスペーヴンに恨みを抱いた、という経緯は、ちょっと無理がないか?と思わんでもない。俺の感がそう言ってる!っていわれてもなあ。
今回は、友人のジャック・モートンがリーバスにひっついていたので、彼を通してリーバスの精神のあり方が結構わかりやすかったように思う。これまでも酒量がハンパなかったが、彼の禁酒禁煙が続くことを祈る。
ああそーだ!なんとも煮え切らない終わり方だけど、バイブル・ジョンとの決戦の時はこれから訪れるのか?
2018年6月22日金曜日
0124 暗闇にひと突き
書 名 「暗闇にひと突き」
著 者 ローレンス・ブロック
翻訳者 田口 俊樹
出 版 早川書房 1990年9月
初 読 2018/06/22
若い女性が狙われて、全身をアイスピックでめった刺しにされて殺された。バーバラ・エッティンガーは、その6人目の被害者だった。だとされていた。アイスピックを隠し持った男が3週間前に逮捕されるまでは。
男は犯行を自白したが、バーバラの殺人だけは否認し、アリバイも立証されたのだ。
バーバラは通り魔による偶発的殺人の被害者から、周到に計画された残忍な犯行の被害者に変わってしまった。
当時バーバラ事件の初期調査を担当し、現在は警察を去っていたスカダーは、バーバラの父の依頼を受けて、真相究明に乗り出す。
事件の真相は唐突にやってくるが、それよりも、スカダーの生き様が染み通る。
スカダー、良いですね。呑んで歩いて呑んで考えて呑んで寝て、また呑む。絶対アル中だと思う。なのにこのダンディズム。最後は女を手放し、また呑むのだ。
2018年6月15日金曜日
0123 インターンズ・ハンドブック
書 名 「インターンズ・ハンドブック」
著 者 シェイン・クーン
翻訳者 高里 ひろ
出 版 扶桑社 2018年4月
初 読 2018/06/15
インターンを装って企業に入り込み、企業トップを暗殺する暗殺者。それを業務とするHR社の社員にしてトップエリート(つまり暗殺者)。25歳の引退を前にして、後進に業務を手ほどきする手引書を作成する、という体裁で事態は始まる。設定が面白い。スピードを付けて一気読み推奨。
淡々とでも陶酔気味に自分語りをする殺し屋。
孤児だったのを引き取られ、殺し屋とするべく育てられる。そして、その道のトップエリートに。殺しだけではない。一流企業に入り込むためのスキルだって必要なのだ。そうはいっても、これが手引書で終わるわけがない。
凄腕のくせに次から次へと襲撃されて殴られ折られ縛られて。。。コイツホントに大丈夫?と思うけどさ。
サクサクと話が進むのだが、ディーヴァーを読み慣れたこの脳は、いつどんでん返しされるか気が気では無い。
頭のなかを、引っかけパターンが駆け巡る。
実はアリスはターゲットを誤認させるための壮大な罠とか?
FBIの メールヘッドとかいかにも怪しいし、いや実は海兵隊やらマフィアもボブが放った「殺し屋を殺せ」的な?
読んでいて気が休まらない(笑笑)。
そして終盤!そうきたか!そしてそう行くか!!
もう、どーか読んで下さい!謹呈
(突っ込みどころ満載なんだけど、許してやるぜ!って気になりまっす。そして、シェイン・クーンの新刊は、創元推理文庫から出ている『謀略空港』 これも読まねばなるまいよ。)
2018年6月9日土曜日
0122 深夜プラス1〔新訳版〕
書 名 「深夜プラス1〔新訳版〕」
ファンの多い名著を新訳で。
著 者 ギャビン・ライアル
翻訳者 鈴木 恵
出 版 早川書房 2016年4月
初 読 2018/06/09
やや軽い文章だが、軽妙な会話と小洒落た表現が小気味良い。旧訳も読んでみたい。
鉄の肺とか若い人には分からないかもしれない。
最後のハーヴィーへの仕打ちなど、少し理屈っぽい所もあるが、ケインはいい男だ。
彼女の所に戻って幸せになってほしいと切に思う。1960年代、要塞がボタン一つで破壊出来る時代になっても大戦時のレジスタンスの戦い方を引きずる男達。結局利用されて殺し合いをさせられて、苦い思いを噛みしめながらも、戦争が残した呪縛からは逃れられない。この不器用さと諦観と、情のあつさにこっちも胸が熱くなる。
2018年6月5日火曜日
0121 差別原論 新書367 (平凡社新書)
書 名 「差別原論」
著 者 好井 裕明
出 版 平凡社 2007年4月
初 読 2018/06/05
マーカー引きながら久しぶりの真面目読書。部落差別、性差別、障害者・・・とテーマを変えながら私に内在する「カテゴリー」を問いつつ進む。面白かったのは、第四章の「確認」「糾弾」といった闘争型ではない対話の創造。
たとえ、相手の考え方が差別で歪んだものであったとしても、人の心をこじ開けるような手法は相手の心に傷も残すし、人は痛みから本能的に遠ざかろうと、自分を守ろうとする。
そのような痛みを強いず、かつ核心に歩み寄る対話で、より創造的な関係性を構築しようという「営み」に大いに共感する。
例えば駅前で声高に体制批判を繰り広げる人々。
その思想が如何に正しくても、世の中を振り上げた拳で二分するようなスタンスが自分の性に合わない、と思ってしまうのは、自分が年取って保守化したからなのかと思う今日この頃だったのだが(もっとも、そうやって駅前で活動している方々は大抵が私よりもご高齢だ。)私が「闘争」に対置したかったのは、まさにこのような「対話型啓発」だったのか。
「軽やか」で「カッコイイ」乙武さんとか、まさに時代が作り上げた他者のイメージに乗せられてる著者にクスリとしつつ、著者が語る「普通」のイメージが内包するものがいかに普通でないか、もっと深く問いたい部分は、著者の本をもっと沢山読んでみるべきなんだろうな、と思う。
それにしても、某愛がなにかを救う番組を評価する声を周囲で聞いたことがないんだけど、あの番組が「すばらしい!」「感動した!」と思っている人ってやっぱりいるんだよね??
毎年、今年の司会者は〜、とかランナーが〜とか話題になりはじめる時期からすでにウンザリするのだが。
2018年6月3日日曜日
0119−20 死の天使ギルティネ 上・下
書 名 「死の天使ギルティネ 上」「死の天使ギルティネ 下」
これは、待っていた『パードレはそこにいる』の続刊。
著 者 サンドローネ・ダツィエーリ
翻訳者 清水 由貴子
出 版 早川書房 2017年6月
前巻が非常にそそられる終わり方をしていたので、期待を高めて待っていた。
だがしかし。思っていたのと様相が違う。あれ、ダンテはどこにいったの?一緒にいないの?
上巻、コロンバが復職しているものの、人間雷管状態で、捜査に出向く先々で想像を絶する事件に巻き込まれる。これはもう、仕事に向いてないとしか思えない。ギルティネもまた痛々しいが、これが下巻でどう転がっていくやら想像もつかない。3部作の真ん中とはいえ、もう何がなんだかよく判らないままラストに突っ込む。
これ最終話翻訳されてからまとめて一気読みしたほうが良いと思った。
ギルティネの話はこれで終わり?それともまだ引っ張るの?
第一部の風呂敷もでかかったが、今作は前回を上回るスケールの大きさが手に余る。
上巻ではダンテがギルティネの存在に気付くくだりが唐突すぎて違和感がぬぐえず、ストーリーに没入しそびれる。
肝心なところが薬まみれダンテの直感だけだ。そこ、もう少し証拠付けるとか丁寧にしといたほうが良くないか?全体のイメージを決するよ?と心の声。
それにしてもまるで犯罪に引き寄せられるように行く先々でトラブルの中心につっこむCC。まるで磁石に近づいたせいで自分も磁石になっちゃったみたい。
いい男すぎて怪しかった奴はやっぱり、の展開となる。
ダンテのCCへの片思い(?)があわれ。個人的には、サンティーニが好き。もー、このでっかすぎる風呂敷を、第3部でどうやって綺麗にたたんでくれるのか、とりあえず次の最終章刊行を待つ!
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