原 題 「The Old Man 」2017年
著 者 トマス・ペリー
翻訳者 渡辺 義久
出 版 早川書房 2020年9月
初 読 2020年12月18日
今は2頭の大型犬と静かに暮らすそんな男の元にある日暗殺者が送り込まれてくる。
ベトナム戦争に従軍し特殊部隊として訓練され、35年間その能力を保持し続けていた「オールド・マン」が、あくまでも静かに身に降りかかった火の粉を払う。私は気に入ったよ!サクサク読めて面白い。
どうしたって絶対に主人公が勝つ。それも静かにスマートにクレバーに。グレイマン=コート・ジェントリーみたく情に流されたり、ドタバタしたりしない、という確信が持てる。(まあ、コートはあれで良いのだけどさ。笑) 中東に潜入するときだって、まずは語学トレーニングに半年。その間にじっくり人間関係とレジェンドを構築、誰からも疑われず、むしろ求められて、正攻法で入国。すべてが静かに進行する。戦争実録ものを読んだ後のメンタルリハビリには丁度良い。
一緒に逃亡したゾーイや、密かな協力者ジュリアンとの関係は、ぶん投げっぱなしといえなくもないが、自分自身が現実の人間関係には淡泊な方なので、かえって現実味を感じたりもする。ゾーイもジュリアンも、自分の意志で自分の人生を歩んでいる。その一期間が「オールド・マン」と併走したり、クロスしただけ。縒りがほぐれた後で、それを縒り直そうとはしない。でもそれぞれの人生でそういう出会いが大きな意味を持ったりするんだよね。でも、もし続編があるなら、ゾーイはともかく、ジュリアンとの再会シーンは見てみたいような気もする。
ベトナム戦争で戦火を潜ったオールド・マンは、ボッシュやコールやパイクと同世代。いやはや、格好良いのである。惚れるわ〜。
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