2020年12月22日火曜日

0239 死んだレモン (創元推理文庫)

書 名 「死んだレモン」 
原 題 「Dead Lemons」2017年 
著 者 フィン・ベル 
翻訳者 安達 真弓 
出 版 創元推理文庫 2020年7月
初 読  2020年12月22日

 読んだ。読み遂げた。
 なんだか感想よりも達成感の方が先にくる。
 中ほどまでは面白かったのだけど、主人公の一人称で、内省も事態の観察も全て主人公視点だし、謎解きまで全て主人公の独壇場だったので、いささか食傷した。
 元刑事の神父様のプロファイリングは独断的でいまいち私にはわかりにくく、カウンセラーとのセッションもやはり理屈っぽくって良く分からない。カウンセリングって受けたことはないけど、あんな風に持論を押しつけるものなのだろうか?

 始めは情けないデッドレモンズ(人生の落伍者)だった主人公が、だんだん心の傷を克服して、という流れは悪くないんだが、ラストはもはやスーパーヒーローだった(苦笑)。
 と、いうか「人生の落伍者」という設定ではあるものの、基本的に元気で健康な男子って感じだ。心も体も傷ついた男、ってのは私の大好物なんだけど、彼はいまいち口に合わない。
 悪役三兄弟の家業も取って付けたよう。
 主人公の現在進行形の危機とそこに至るまでの交互展開はかなり面白かったのだ!
 だけどその危機一髪のクライマックスの段階でまだ本の半分くらいで、こりゃあ三兄弟もハメられただけじゃね?と、透けて見えてくる。
 と、なると本当のサイコパスが誰かは、話の展開でわかっちゃう。うーむ。それでも面白くないわけではないのだが。ちなみに主人公の名前が著者名。これはプロファイリング的にはどうなんだろう?

 ともあれ、ニュージーランド舞台の小説は初めて読んだので、また読んでみたいとは思う。

 私は「ハカ」が好きでよくYouTubeで観るのだけど、マオリも白人も一緒に踊っている動画を見ると、ニュージーランドの多民族文化をもっと知りたくなる。マオリはどのように白人入植者と和解したのか、白人はどのように土着文化を受け入れたのか。そのあたりが気になるので、いずれ勉強してみよう。

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