2023年2月2日木曜日

0409 幽霊狩り ヘル・オア・ハイウォーター(1) (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「幽霊狩り ヘル・オア・ハイウォーター(1)
原 題 「Hell or High Water Book 1 CATCH A GHOST」2013年
著 者 S.E.ジェイクス    
翻訳者 冬斗 亜紀
出 版 新書館 2015年12月
文 庫 425ページ
初 読 2023年1月30日
ISBN-10 4403560245
ISBN-13 978-4403560248
読書メーター 
https://bookmeter.com/books/9944171   
  最初、文体?翻訳?それともストーリー?に馴染めず、目が滑って滑って読書のペースが上がらず困った。どうしてだろう?この手のは苦手なはずはないのに。
 さて、何と言いますか、本場(かどうかはしらんけど)ガチムチの筋肉ゲイが男臭くぶつかり合うM/Mです。うまく言えないけど、若いマスチフとドーベルマンが、牙むき出してじゃれてる(怖い)感じというか。
 本邦のBL系だと、タチ(攻め)とネコ(受け)が固定していたり、なんとなく受け側は女性的に表現されていたり全体的に柔和な感じのするものが多いような気がするのだけど、これはそんなこたあない。
 EE(エクストリーム・エスケープ)社ー民間軍事会社に所属する二人の傭兵、プロフェットとトム・ブードロウ(表紙の向かって左の金髪がプロフ、刺青黒髪がトム)
 片や元Navy SEALs、片や貧困底辺からのし上がった元FBI。最初はエキセントリックなプロフと冷静なトムの組み合わせなのかと思ったが、どちらかというと逆か。プロフの方が冷静。トムの方が頭に血が上りやすい。とはいえ、どっちもどっちで、脛に傷があって、なにやら過去にデカい痛みがあって、口が悪く、協調性がなく、めちゃくちゃ戦闘能力が高くて沸点が低い。似たもの同士。それが上司のフィルの方針で無理矢理バディを組まされて、七転八倒、組んずほぐれつ。思わせぶりな地の文に二人分の悪口雑言で読みにくくてしかたなかったが、二人の関係がややほぐれてきてからはどうにか多少は読みやすくなってくれた。
 とはいえ、少々、文に難があるような気がする。まず、“こんなシーン”でよく出てくるような形容が、前後の脈絡なく安直に使われる。おかげで、人物の印象がちぐはぐで、人物像がうまく固まらない。これは翻訳ではなくて、元の文の問題じゃないかなあ。(良く分からないけど)

 トムが36歳でいい加減落ち着いていてもイイお年頃だけど、はっきり言って若いプロフェットに手の上で転がされてる。
 また、プロフェットと同じ建物に住む謎の諜報員キリアンが、まだどこの誰だか不明だが、イイ感じだ。
 身ごなしや英語の使い方から、おそらくSAS(英国陸軍特殊空挺部隊)出身。どこかのスパイ。同じ建物の上階にプロフが住み、階下にキリアンが住んでいる。面識はないが、お互いがお互いのことを調べ尽くし、相手込みで住んでるビルごと防衛したほうが身辺が安全だとの結論に達したのか、不思議な共生関係が成立している。お互いの留守中に部屋の安全に目配りしたり、こっそり忍び込んでいたずらを仕掛けたり。命を削る銃撃戦の最中にチャットでたのしく会話したりも。
 そんなキリアンが、プロフェットとトムの危機に、救出に乗り出してくる。いやいや、格好よいこと。キリアンの身元が明かされるのが楽しみだ。
 トムについては、まあ幼少時に虐待されていたんだろうな、というところまでしか判らない。コイツの隠れ設定も今後を待つ。
 まあ、いまいち読みにくい作品ではあったものの、とりあえず、邦訳残りの2冊は読むし、4冊目も翻訳されたら読むだろう。

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