原 題 「Hell or High Water Book 2 LONG TIME GONE」2013年
著 者 S.E.ジェイクス
翻訳者 冬斗 亜紀
出 版 新書館 2016年9月
文 庫 421ページ
初 読 2023年2月3日
ISBN-10 4403560288
ISBN-13 978-4403560286
読書メーター https://bookmeter.com/books/11105019
で、最初にまずワタシは開眼したよ。この本は、シリアスだと思って読んじゃいけなかったんだ!
冒頭数ページにわたるトムのラブレターは、きゃーっと本を投げるレベルで恥ずかしい。日記を書くことも手紙を書くことも恥ずかしすぎてできないワタシには、これを読むのはもはや羞恥プレイに近い。36のいいオトコが女子高生みたいなメールをイラスト入りで毎日一通、122日! それに絆されるプロフェットもどうかと思うがな! ロマンチストで甘々な二人なのだ。お互いのうなじをなでる描写だけで、もう、とろけるように愛が溢れてる。
元シールズやら、元海兵隊やら、CIAやらFBIやら、民間軍事会社の傭兵やら、イスラム国家の核開発っぽいお膳立てなんて実にAAっぽいのに。
ストーリーはミステリー基調なのに。
中身は、あつあつべたべたのゲイ・ロマンス以外のなにでもなく。
それなのに、舞台はハリケーン吹き荒れる魔境ルイジアナ(笑)
バイユーで育ったんだというトムに、某別シリーズのおかげで爆笑の予感しかしないのはどうしてくれようか。
カトリーヌ以来最大のハリケーン直撃を前に、故郷のルイジアナで避難を拒んで頑なに自宅に居続ける叔母を案ずる思いを、トムはどこにいるかも知れぬプロフ宛てのメールに書き綴る。
そしてプロフは、来れないはずのトムの代わりに、勝手にルイジアナのトムの叔母宅に手伝いに乗り込むという、謎の行動力を発揮。
デラ叔母さんの家には70代のロジャーとデイブというゲイカップルが下宿していて、お互いに手を繋いでプロフェットの前に登場。
(トムとプロフの出会い頭の熱々SEXを悠々と鑑賞するロジャーとデイブの会話は実に楽しい。バイユーには老人がよく似合うな。)
トムとプロフはお互いに相手を近寄らせまいと牽制しつつ、だけど求め求められ、激情にかられたそのSEX描写がとてもきれいだ。
にしても、ルイジアナで、バイユーで、傭兵で、ゲイで、ガチムチで甘々の肉弾戦だよ。なんともまあ、濃い。濃厚とんこつ背脂多めで、お腹いっぱいでもう二度と頼まなくていいや、と思ったのになぜか一週間後にまた食べたくなってるラーメンみたいだ。
今作では、ルイジアナのトムの故郷で鉢合わせした二人が、トムの過去にとことん向き合う。虐待され、疎外され、差別されて傷ついたトムが過去に向き合うのをとことん支援するプロフェットは神々しいほど。一方のトムはプロフェットにアリゲーターを素手で捕縛する技を披露し、プロフェットドン引き(笑)。
トムの生まれ故郷への帰還がもたらした危機は、あまりにもあっさりと終わったけど、まあ、ミステリーメインの作品じゃあないから仕方ない。
登場人物が、グレイマン級だったり、ザック並みだったりするんで、思わずAA方面の展開を期待しそうになるのをすかっと肩透かしされたりもするけれど。
とにかく、これはロマンス作品なんだと自分に言い聞かせて読み切る。
今作は、とにかくプロフェットの優しさが際立ってます。それに、なんとも素敵なプロフの本名や、彼の秘められた仕事や過去が、ついにトムに明かされる。これだけの大風呂敷ってことは、ここまでが序章。あとはいくらでも、何冊でも引っ張れそう。
ついでに書いておくと、こいつらアメリカ人は緊縛プレイするときもダクトテープだ。
ダクトテープ万能。
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