2023年2月18日土曜日

番外 10DANCE(1)〜(7) (ヤングマガジンコミックス)

★書誌情報は7巻(最新巻)のものです。
書 名 「10DANCE(1)〜(7)」
著 者 井上佐藤        
出 版 講談社(ヤングマガジンコミックス)
コミック 176ページ
初 読 2023年2月11日
ISBN-10 4065300657
ISBN-13 978-4065300657

読書メーター  
 こういう感じの、がっつり骨格が正確に描き込まれた肉体と絵柄がたいへん好みです。ダンス、バレエ、フラメンコ、フィギュアスケートなんかも大好き。競技ダンス、スタンダードの「帝王」杉木信也が目指すのはテンダンス。ラテンの師として、そしてライバルとして選んだのはラテンの日本チャンピオンの鈴木信也。漢字も仮名も一字違い。唯我独尊な杉木に振り回される鈴木だが、杉木の孤高の魂と、鈴木の原初の生命力は、これからどう交わっていくのか。

 スタンダードとラテン、まったくタイプの違う二種類のダンスがある競技ダンスの世界で、スタンダード5種とラテン5種両方とも踊って競う「10ダンス」。ダンス競技のトライアスロン。世界のスタンダード界で、「帝王」といわれながらも常に二位を強いられている杉木はこの10ダンスに挑む。その為のラテンダンスの師として、また競技のライバルとして選んだのは日本でこそラテン・チャンピオンだが、世界ではまったく無名の鈴木。かつて、鈴木のダンスを見て魂を奪われた杉木は、鈴木に10ダンスを教え合うことを申し込む。
 と、至って生真面目なストーリーなんだが、なんといっても最高に面白いのは、ワルツのリードを鈴木に教えるために、杉木がリーダー(男)、鈴木がフォロー(女役)でワルツを踊るシーン♥️
杉:「相手が雌猿でも僕ならプリンセスにできます」「さ、ホールドしてご覧なさい」「プリンセスに変身するのは今からです」
鈴:「なんかバラ見えてきましたあっ💗」
杉:「そうですか 白鳥とお城が見えてきたらまた教えてください(キリッ」
これ大真面目だから。大好きだ♪
 まだまだ、1巻では相思相愛にはほど遠い感じですが、そちらもおいおいかと。
 番外編『紳士はラティーノがお好き』も大変おもしろいです。日本人ダンサーの杉木サンが、ペンギンの群れかカルガモの親みたいに英国紳士をぞろぞろ引き連れているところが、何気にシュール。
 追伸)カバー下。・・・房子さん。アンタ、日本語の不自由な杉木センセイに一体何をおしえとんのや。

 杉木が出場するワールド・チャンピオンシップ(英国・ブラックプール)観戦で、鈴木は、杉木選りすぐりの人々のテーブルに招待される。スタンダード、ラテンのそれぞれの元チャンピオン、現在は振付師、デザイナーetc。これは杉木による、鈴木の世界デビューのための布石。そして、鈴木は決して一位になれない杉木の孤高の闘いを垣間見る。
 世界一位のジュリオと、二位の杉木の因縁もなかなかのものだが、前しか見ない杉木の潔さが武士っぽくて格好よいです。
 深夜、一人で教室から帰る杉木を追いかけた鈴木は、終電後の深夜の都心の公園で、一人でベーシックを踊る杉木を目撃する。「一緒に踊る?」この次のコマの杉木の笑顔が最高です!
 ついでだが、おまけページ。ラテンのフリフリの衣装に真顔で執着する杉木が・・・・・
 あと追伸)カバー下。お母さん。それは誤解です。

 鈴木&田島のスタンダードの方はなんとか様になってきたようだ。しかし杉木のラテンがどうにもきまらない!? いちおう出来ているようなのに、どうにもラテンぽくない。ワルく「ニヤッ」と本人笑ったつもりでも、王子様の微笑みになってしまうみたい。そこで、アキが考え出したのが「演劇方式」。踊りにエロエロのワルい男のセリフを載せてみよう! それでもどうしても杉木がうまく役にはまらない。ついに鈴木が杉木相手にラテン的ワルい男を実演。男役はとことんワルいし、女役はとことんセクシーな鈴木センセイすごいです。それにつられて杉木センセイもワルい男がついに開眼。 かつての黒いドレスの矢上房子。房子が記憶にのこしていないそのステージの暗い思い出を杉木と共有した鈴木は、ついに深夜の地下鉄で熱いキスを交わした。


 勢いでキスしてしまったものの、どちらも心の準備は出来ていない。思い出して悶絶?する鈴木は、自分は真剣&激情一途だけど、杉木はパブリックスクール出身で男同士のキスなんて珍しくもない、向こうにとってはちょっとしたおふざけなんじゃないか・・・と悩むし、杉木の方は、ああ見えて男性性の権化みたいな鈴木に、自分の思いが受け入れられるわけない、と(精神的に)逃げ回る。これって、いわゆる相片思いってやつ。
 ついにあの杉木が「僕はあなたが欲しい」・・・と告白し、お互いにキスを交わすも、そこからがまた難易度が高い。ここまでは良いとして、お前は男と寝れるのか?と。やっぱり男同士は無理なのか。二人の関係は甚だ危うい。そんなとき、ラテン王者アルベルトと知り合い、アルベルトは鈴木に頂上が遙か上にあることを示す。

 鈴木の父は、日本ラテンダンス界の大物で大会運営側。大枚はたいて世界一位のアルベルト、二位のガブリエルを招聘してのジャパンオープンに出場する鈴木が求められているのは「三位」。しかし、父の立場を裏切り世界に切り込む覚悟の鈴木は、ついに全力で大会に臨む。覚醒したとも言える鈴木は、まさに舞踏神そのもの。かつて杉木が見いだし、世界に導きたいと思わせたその姿が、ついに会衆に晒される。突然の雷雨、そして会場建物への落雷で停電し、真っ暗になった建物の中で、観客は鈴木の体から流れ出るリズムと音楽を聴く。
 杉木と鈴木の極めて精神性の強い恋愛と、男同士のままならなさがとことん切ない。


 杉木の膝の痛みがちょっと不穏だ。二週間休息を取るはずが、杉木はつい、鈴木とのレッスンをいれてしまう。
 ラテンの元王者ルーカス・ガルボの紹介で、アメリカの大富豪マックス・マルダーが鈴木の元に(杉木のへ、か?)襲来!
 マックスは杉木を手に入れる代わりに、鈴木のパトロンとなる契約をする。ついに鈴木はスーパーセレブのパトロンを手にし、金にいとめなく、ダンスに邁進することができる環境を手に入れる。
 また、杉木は、鈴木を元スタンダード王者のノーマン・オーウェンに手渡し、自分は手を引く。これからはダンスを教え合う仲ではなく、10ダンスのライバルになる。別離を前にした二人の夜明けのダンスは、透明で美しい。

 鈴木をノーマンに託した杉木は、自らのラテンのレッスンをガブリエルに依頼。ガブリエルは杉木を鈴木に勝たせるために、鈴木の分析に乗り出す。これに協力したのは、偶然にもパブリックスクール時代の杉木の元ルームメイトのマーニー。二人によって解き明かされる鈴木の脅威のダンス。
 杉木を諦めようとしている鈴木と、妹が結婚してしまい喪失感を持て余すノーマンがお互いで喪失を埋めるために、ついに鈴木があっちの世界に。
 杉木のほうは、鈴木を手放した痛手を、マックスに振り回されることで紛らわす。そんな二人が、日本で開催された国際大会でついに再会して・・・・・!いやあ、ここで、次巻は2024年とか、どんな放置プレイよ。連載はヤンマガWEBです。もう、連載おいかけますよ! 続きは1年後とかないわ〜

0 件のコメント:

コメントを投稿