2024年4月30日火曜日

0477〜81 『望んだものはただ、ひとつ』シリーズ5作

書 名 「望んだものはただ、ひとつ」 シリーズ
著 者 十時(如月皐)     
初 読 2024年3月読書メーター https://bookmeter.com/reviews/120502817 以下 

 十時さんの書く物語は、生真面目で切なくて優しく、きちんと愛情が報われて癒される。だから、たまにふと、思い出して、思い出すと繰り返し読みたくなる。何回も読みたくなる本て、かなり貴重だと思う。政治や政略や戦術の話はわりと稚拙で、ちょっと残念なところはあるのだけどそれを補ってあまり有るものが、ある。残念なのは、漢字の間違いが少なくない。同音異義語の間違いがほとんどなのだが、読んでいると、変換ミスというよりは素で間違えているような気がする。そんなで、最初、別のシリーズを読んだときには、「日本語がとても上手な韓国人作家さんなのか?」とも思った。(たぶん違うと思うけど。) 多少、残念な面はあれど、感性や素性が良い、というか、なんというか品の良さのある作品を書かれるので、かなり推してる。
 いや、同じレベルであっても上手にファンタジーしている作品はたくさんあると思うのだ。
 なんというか、中途半端に具体的なところがかえって作品を毀損してるっていうか、リアリティをもたせようとしたがためにかえって失敗しているのかもしれない。 あと、どうしても(個人的には)表紙が小っ恥ずかしい。しかし、こうして並べて見てみると、イラストはなかなか綺麗で、けっして嫌いではない。なので、ひょっとしてタイトルのフォントのせいか?という気がしてきた。
 あれこれとレビューを書いているとどうしても辛口にはなってしまうんだが、十時さんの創作は基本的に好きだ。主人公の真面目さや、切なさや、登場人物の心の強さがとてもよい。以下各巻。

0477 一作目 望んだものはただ、ひとつー水晶に選ばれた王妃ー
 宰相補佐官として、日々政務に精励するシェリダン。
 国王のアルフレッドは、後宮に50人もの側妃を入れるも、正妃を定めないことが国政の大きな負担になりつつあった。そこで、宰相の意見をいれて国につたわる秘儀「水晶の儀」で王の正妃を定めることに。そしてその儀式で水晶によって王の横に映し出されたのは男性であるシェリダンだった。
 ・・・てところから、拉致されるように王妃の部屋に軟禁され、強引に犯され、あれよあれよというまに王妃に仕立て上げれられてしまう。しかし、王アルフレッドの愛は真実で、だんだんシェリダンも自分の立場を受け入れていく。そして、次第にシェリダンの実家との確執や、シェリダンの心の傷も明らかになっていく。シェリダンがアルフレッドに絆されていく過程をうふふ、と楽しむべし。

0478 二作目 臨んだものはただ一つー迫りくるサーヴェー
 側妃たちからの信頼も得て、正妃としての立場も固まったシェリダン。
 ある日、新たに同盟を結んだサーヴェ公国から使者として公子と公女が来訪。しかし、公女はアルフレッドの正妃となることを目論見、公子はシェリダンを掠め取ろうと画策していた・・・って、シェリダン危機一髪ってのはストーリー的には良いのだが、さすがに大国の王/王妃に対して、弱小国の取れる行動じゃないし、手引きした閣僚が間抜けすぎるし、シェリダンのサーヴェ公国の公害についての分析も、いったいいつの時代を想定しているやら、でかなり微妙なのだ。

0479 三作目 望むものはだたひとつーサチュアの罠ー
 国内の地方視察に赴いたアルフレッドとシェリダン。その地方で精神を病むものが増えているとの事前情報に、視察の目を光らせる。中央に隠れて麻薬「サチュア」を栽培して私欲を肥やしていた州侯は、秘密をシェリダンに見破られるのをおそれてシェリダンに「サチュア」を盛る。シェリダンは中毒に陥って・・・・と、シェリダンの幼少時の心の傷と麻薬が見せる幻覚を絡ませるあたりは上出来なんだけど、中毒になりました→特効薬が開発されました→飲んだ途端に良くなりました、ってのが安直すぎやしないか、と。罪に問われた州侯の二人の異母姉妹(両方ともアルフレッドの側妃)へのシェリダンの対応なんかは、すごく良い。

0480 四作目 望むものはただひとつー狙われた佩玉ー
 まあ、近隣の新興国から周辺の国々が狙われるわけだ。おびき出されて捉えられ、国王が幽閉されて、国を要求される。アルフレッドとその近隣友好国数カ国の王と王妃も騙されて捉えられ・・・て時点で、ありえん。のこのこ友好的ではない国に各国の王がぞろぞろと出向いて、むざむざととらわれるとか、本当に安全保障上ありえん。そして、国元でアルフレッドの帰りを待っていたシェリダンに、佩玉(王権の証?)を要求する使者がよこされ、シェリダンがアルフレッド奪還のために策を立てる・・・・についても、かなりざっくりと安直でいやいやいやいや、流石に・・・・無理じゃないかと。一方で、アルフレッドの兄で、病弱なために早々に政局からリタイアしていた大公が、薬効の甲斐あって政務に復活してきたり、その大公の二人の妻のうち第二夫人が後宮とシェリダンに波乱をもたらしたり、という小技も効いていて、なかなか面白いのだ。シェリダンとアルフレッドの睦みあいにも心癒されるので、それだけで及第ではある。

0481 五作目 望むものはただひとつーリーベスの崩城ー
 シリーズ最終話? 今作は大それた政変などはなく、いわばシェリダンの日常に潜む危機的な。 シェリダンの元に、過去のシェリダンに対する陰謀の咎で城を追われた兄とその妻が助けを求めてやってくる。救いの手を差し伸べたシェリダンに当然恩を仇で返す所業。シェリダンが自身の過去と傷つきにどうやって向き合い決別するのか、という話。陰謀もこの程度のスケールなら安心して読める。たがしかし、兄が愚かすぎてびっくりだ。
  

2024年4月15日月曜日

環境整備 その1ーーMacを新調した

 

 ここ数年来連れ添ってきたiMac late2015。読書メーターを始めた頃には、もう使っていたような気がするから、2016年頃からか? ということはまる8年くらいは使っていたのだから、パソコンにしては長くもったような気もする。昨年だったかのシステムアップデートでついにほぼ動かなくなり、内蔵HDDの遅さが原因とあたりをつけて、起動ディスクを外付けSSDに変え、しばらくはそこそこ走っていたんだが。やはり諸々限界が(私の方に)来て、ついにMacBook airに乗り換えるに至った。職場のWinを持ち帰ったときにモニターを共有したい、とか色々思うところはあった。だがしかし、いざJAPANNEXTの外付けモニターを付けてみると、iMacのディスプレイの美しさには敵わない。やはり捨て難い。しばらくは動画鑑賞用にでもして、置いておくかなあ。。。。

2024年4月12日金曜日

0476 警視庁公安J ブラックチェイン (徳間文庫)

書 名 「警視庁公安J ブラックチェイン 」
著 者 鈴峯紅也
出 版 徳間書店 2017年3月
文 庫  551ページ
初 読 2024年4月11日
ISBN-10 4198942145
ISBN-13 978-4198942144
読書メーター  https://bookmeter.com/reviews/120045580


 警視庁公安J。3冊目にして最大の悲劇がJ分室を襲う。・・・と、鈴峯節を真似てみたが、〜にして、という使い方はこっちのほうが正しいような気がするな。ってのはさておき、そう、これは有ってはならない。そんなことって!!と驚愕すること必至の第3巻。無情です。何が起こったのかは、ええ、どうぞ読んで下さい。
 今作は沢山の死者と自殺者が出るが、純也の「助ける」と「見送る」の境界線が那辺にあるのか、いまいちよくわからない。それと、今回も思ったのは純也はやはり父親似であること。この親子は良く似ている。似ているからこそ相容れないのか。主人公の存在にどこまで説得力を持たせられるか、が読んでいて興醒めするかしないかの境目。この作品の場合は、かなりの力業だけど、なんとかギリギリ、純也のリアリティを保っている。純也だけでなく、3人の部下や、師団長、その他の脇キャラもうまくキャラ立ちしているのが効いている。 
 さて、《冒頭その1》
 ダニエルからの電話、もしくはメール、または手紙。ひょっとしたらモノローグ。私はこういうはた迷惑な男は嫌いだが、純也の師であり、親兄弟にも勝る影響力を持った人間であることは間違いない。まだ終わらないこのシリーズのオーラスで、純也とダニエル・ガロアの対決を見ることになるのかならないのか。気になるところ。 
《冒頭その2》
  怪しげな中国人組織。名前の読み方を覚えられない自身があるので、とりあえずメモる。 
爺夫 イェフ 
一夫 イーフ 
二夫 アルフ 
三姫 サンジイ 
四夫 フウフ 
五夫 ウーフ 
六夫 リュウフ 
七姫 チージイ 
八夫 バーフ 
九夫 ジョウフ  
 今作は、中国の黒孩子がテーマ。戸籍を持たない闇の子が、どのように遇されてきたのか。中国共産党内の腐敗、人身売買・臓器売買、密漁・密輸、私兵集団、虚実ない交ぜ。これだけのことをやったらさすがに日本国内でも足が付くんじゃ? とくに妙齢の女性の誘拐は、さすがに無理があろう。だが、とにかく今作も面白かったのは間違いない。

 それにしても、純也が分室を出て、晴れて「表の部署」に配属になったり、警視正以上に昇進したりする日がいつか来るのだろうか、などと考えたりして。父親が政治家引退する時がきたら、、、かな? いつまでも日陰に置いておいたら、かえって アブナイ気がするんだけどな。

2024年4月4日木曜日

0475 警視庁公安J マークスマン (徳間文庫)

書 名 「警視庁公安J マークスマン 」 
著 者 鈴峯紅也
出 版 徳間書店 2016年5月
文 庫 396ページ
初 読 2024年3月31日
ISBN-10 4198941092
ISBN-13 978-4198941093
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/119912131 

 なんと純也の恋バナで終始した(?)初巻に続く2巻目も、組織の権力闘争の匂いがなんともきな臭いとはいえ、やはり表層は恋バナの風味が。ディズニーランドかよ!
 冒頭明かされる、純也の生い立ちの詳細。母が殺害され、純也が失われた経緯、その後のサウジアラビアの砂漠での、ベドウィンの一族との生活。そして族長の息子に連れられてわずか8歳での湾岸戦争参戦。純也が生活していた多国籍軍(?)キャンプへのイラク軍の攻撃、フランス人傭兵のダニエル・ガロアとの出会い、初めて銃を手にして戦闘。傭兵部隊に連れられて転戦したカンボジアでの矢崎との再会から、冷え切った親子の関係なんかも詳細に明かされて、なるほどなあ、と思う。初巻を読んだときの違和感はある程度は払拭された。
 だがしかし、戦場にいたのは11歳かそこらまでだった純也が、その後も武器操作・戦闘術の手腕を磨いているだけでなく、超一流のスナイパーの腕前もって果たして可能なのか? 体格だって、成長して変わるだろうし、どうやって訓練して、能力を維持したんだ。矢崎のところで鍛錬したっていっても、さすがに難しくないか? と、そのあたりはまあ、ファンタジーってことで不問に処すべきか。
 で、そこはさておき機龍警察、竜崎の隠蔽捜査シリーズに公安Jと読み継いできて、警察組織の内部のアレコレもそれぞれ作者・作品ごとに趣がある。もちろん色々でいいし、パラレルワールドみたいで楽しい。
 今回は「ゼロ」ならぬオーバー・ゼロ「OZ(オズ)」という公安の裏組織が登場。純也の父である小日向和臣総理大臣の暗殺未遂(=公安部長狙撃)、国内に入ったスナイパーの目的、日本各所でぶん回される陸自隊員(笑)など、動きがダイナミックでそこはかなり面白い。それに、矢崎サン。
 一緒に天幕立てて野営って、どれだけ猿を気に入ってるんだ(笑)。この人の行動力と行動パターンもかなり謎で天然で面白い。でも、天幕で寝るのが好きな陸将って、きっと部下に好かれるだろうな、と思う。

 で、さて。
 今作の事件をまとめると、(以下ネタバレ)
① 純也と公安部長に秘密を握られたと思ったヤクザが、蛇頭に二人の暗殺を依頼→第1のシュポ(Supperのハングル読み?)=蛇頭・・・なのに韓国人だってことに違和感はあるな。
②それを知ったダニエルが便乗して、第二のシュポに純也父(小日向首相)の暗殺を指令・・・理由は、純也を手元に取り戻したいと思ったから。
③さらにダニエルは第三のシュポに、作戦全体の攪乱と第二のシュポの監視及び失敗した場合の抹殺指令を与える。理由は、この男の能力を見定め、期待以上の成果をあげれば、仲間に引き込むつもりだったから。

 最初の狙撃で公安部長が負傷したとき、犯人の狙いが総理大臣だったのか、公安部長だったのか、で警察も見解が割れるが、思うに公安部長が標的だったのなら、部長を狙撃ポイントに誘導したエレナは、はっきりと黒。首相が標的で、本当にエレナが1100mの距離の狙撃を察知して首相を庇ったのだとしたら、エレナ自身の射手としての能力も極めて高いはず。・・・それを純也はディナーを賭けたゲームで確かめ、エレナの技倆はそこまででは無い、と判断。ならばエレナが首相を庇う行動をとれたのは、そもそも狙撃を知っていたから・・・なのでやっぱり黒。
 標的がどちらだったとしてもエレナは黒で、かつエレナ以外の狙撃手がいる。おまけに最初に確定されたシュポは体格からして“ハズレ”。ということは少なくとも、エレナ以外にも最低2人の敵がいる。いつものように、はにかんだような微笑を浮かべつつ、縦横に上司と部下と陸自を使い敵に揺さぶりをかけつつ、陰謀の輪郭を照らしだしていく。

 このシリーズは一話ごとに区切りがつくスタイルではなく、今作は〈カフェ〉事件が尾を引き、次作にはそれに加えてオズとの力比べやダニエルとの因縁も捩れていきそうだ。

2024年4月1日月曜日

2024年3月の読書メーター

 『警視庁公安J マークスマン』読書中で3月は終わった。
 年度末のくっそ忙しい時期にしては、小説10冊は頑張ったのではないか。『隠蔽捜査』竜崎シリーズ後半と、箸休め的な異世界転生ライトノベル、そして万を持して(?)公安Jに着手。
 職場のドタバタと、殺人的(いや過労死的)残業と、もろもろ合わせ、よく頑張った私。と自分を誉めてあげるべき? 読書は通勤、休み時間、風呂の中、ベッドの中で。相変わらず読むスピードより積むスピードの方が早いが、これ以上積ん読を増やさないよう、鋭意頑張りたい。


3月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:4008
ナイス数:770

警視庁公安J (徳間文庫)警視庁公安J (徳間文庫)感想
面白かった。 ◯◯にして××。多用されるこの表現が鼻につくったらなかったけど。(笑)多分にキザな文体がウザかったけど(笑)。荒唐無稽ではあるがこのテーマでこのエンタメが書けるのもすごい才能だと思った。その前に読んでいた竜崎シリーズとはまた対極を行く。いやあ小説って面白い。もちろん続刊も行きます。それにしても部下が鳥と犬と猿って、正義の桃太郎なのね。お腰の袋はお金で重そうだわ。
読了日:03月28日 著者:鈴峯紅也

五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました2五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました2感想
つづき♪ 相変わらずのラブラブふわふわ。ときどきホロリ。ちょっと荒事めいたことがあっても、なにしろ主人公王子様が最強チートなので、とくに危なげもなく。イチゴのお菓子が食べたくなる。
読了日:03月24日 著者:須王あや

五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました感想
Kindleアンリミにて。pixivでの拾いもの。有りがちな転生もの?(実際そうなんだけど)、タイトルだけなら、かつ、表紙を見ても普段なら絶対に拾わない系だけど、なにかひかれるものがあったんだな、と。いやなかなか。ほんわか・ふあふあ・ラブラブの年の差婚。絶対に裏切られないと安心して読める心の包帯系です。最近実生活が荒んでるので、こういうのを心が求めてるのかも。めいいっぱい充電しました。たまにはこういうのよいです。
読了日:03月23日 著者:須王あや

帝都争乱 サーベル警視庁(2) (ハルキ文庫 こ 3-51)帝都争乱 サーベル警視庁(2) (ハルキ文庫 こ 3-51)感想
警察小説?には違いないんだが、明治末期である。1905年日露戦争が終結し、日本は講和条約を締結。だがその内容は、誰にとっても満足できるものではなかった。特に一部の大物政治家と多くの民衆にとって。暴動が起き、時の首相桂太郎がやり玉に挙げられ、桂の妾のお鯉にも危険が及ぶ可能性があるため、警視庁第一課の件の面々は部長の直命で警護に出向く。捜査物というより、時代の空気感を読む。会議室が畳敷きで、あぐらで車座、というのが面白い。ラストはしてやられた!という感じで爽快。大陸の広くて乾いた空を思い描いた。
読了日:03月17日 著者:今野 敏

サーベル警視庁 (ハルキ文庫 こ 3-43)サーベル警視庁 (ハルキ文庫 こ 3-43)感想
鳥羽伏見の戦いから38年後の日本・東京。戊辰戦争を戦い抜いたサムライはその後東北に蟄居し、のちに東京に出て警視庁の警官となる。斎藤一改め藤田五郎。すでに警官も退職し、高等女子師範学校(現御茶ノ水女子大)の庶務会計係兼車番。女学生からは「庶務のおじいさん」と慕われる。そんな老人を絡めて、明治の頃の警視庁を舞台とした捜査もの。薩長が幅を利かす政府や軍部、一方で派閥争いに負けたもの、戦争に敗れたものもまた国を思う。ストーリーとしては弱いかな、と思うけど、歴史的関心が喚起される。
読了日:03月14日 著者:今野敏

フラジャイル(27) (アフタヌーンKC)フラジャイル(27) (アフタヌーンKC)感想
あれ・・・っ?もしかしてフラジャイルって、宮崎先生が自立したら完・・・・?そういや、宮崎先生が入門するところから始まったんだもんな?
読了日:03月09日 著者:恵 三朗

探花―隠蔽捜査9―探花―隠蔽捜査9―感想
東京を「海に面している」なんて思ってるようじゃあまだまだよな。と思う元横浜市民。今作でぼんくら八島が初登場。読む前はレビューを見て何があるのかとドキドキしたが、しょせんは竜崎の敵ではない。うまいこと竜崎の手の平の上で転がされてました。歯牙にもかけないとはまさにこのこと。清々しいです。あと、やはり阿久津が気に入ってしまった。もっとデレるのかと思いきや、筋金入りのツンで、なかなかデレない。そこが味わい深い。
読了日:03月06日 著者:今野 敏

一夜:隠蔽捜査10一夜:隠蔽捜査10感想
このシリーズ、ミステリ基調だと途端に失速するような気がする?捜査に絡んでくる小説家の梅林は作者さんなのかな?とも思うが、なんだか中途半端だし、殺人の動機が浅いし、人間の不可解さにもって行くのはちょっとは無理があるんじゃないかと思った。息子のことを相談しちゃう竜崎もどうよ? 捜査員が自分の家族構成などの個人情報を捜査関係者に漏らすのもいただけないし、職務上で得た人間関係にプライべートを相談するのもNGだ。こんなところで個人情報を漏らしていたら、家族の安全は守れない。自分の息子には自分で対応しようよ。
読了日:03月05日 著者:今野 敏

初陣―隠蔽捜査3.5― (新潮文庫)初陣―隠蔽捜査3.5― (新潮文庫)感想
スピンオフ的な短編集1冊目は伊丹目線で。幼馴染みの気になるアイツはブレない軸を持つがゆえに、本人は微動だにせずとも周囲が振り回される。とくに伊丹が勝手に右往左往(笑)するのが面白い。助けるよりは助けられる方が多いようだが、めげないのが伊丹の良いところだ。(笑)愛される三枚目キャラである。そんな伊丹に向けられる同期の竜崎の視線はややキツいが、いじめられた、という過去があっても憎みきれないのが伊丹という男なのだ。面白かった。
読了日:03月03日 著者:今野 敏

審議官: 隠蔽捜査9.5審議官: 隠蔽捜査9.5感想
神奈川県警刑事部の参事官2名。一人はキャリアの能面男阿久津警視正。もう一人は組織犯罪対策本部長を兼ねる平田清彦警視正ノンキャリア。この2人の反目をなんとかせよ、と県警本部長に「特命」された竜崎。竜崎は人間関係など基本意に介さないのだが、決して鈍ではない。人目も気にせず言い合いをしている2人の参事官を冷静に観察をするとこの二人、決して険悪ではないのかもしれない。竜崎の人間関係の考え方には私としても共感するところがある。その他、竜崎の腹芸「審議官」など読みどころ多し。 「俺は、人間関係には興味がないんだ」
読了日:03月03日 著者:今野 敏

清明 (新潮文庫)清明 (新潮文庫)感想
横浜・町田にステージを移し、竜崎神奈川県警刑事部長編?がスタート。中華街の雰囲気、神奈川県町田市と揶揄されたりもする町田の独特な土地柄が良く生かされている。個人的に一番ツボったのは、阿久津審議官(笑)「お戻りをお待ち申し上げております」「お帰りなさい。今日は、これからどうなさいますか?」「本当にごくろうさまでした」これもう、妻のセリフにしか聞こえない(笑)そつがなさ過ぎて最初は竜崎に大いに警戒されていたが、これからの二人のやり取りが楽しみでしょうがない。きっと野間崎理事官以上に楽しませてくれるだろう。
読了日:03月01日 著者:今野 敏

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