著 者 鈴峯紅也
出 版 徳間書店 2018年11月
文 庫 442ページ
初 読 2024年7月6日
ISBN-10 4198944091
ISBN-13 978-4198944094
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/121709215
前作が70年安保・大学紛争から、その後の左派過激派ゲリラにつながる物語とすれば、こちらは東南アジアのベトナム戦争、カンボジア紛争からかなり強引に引っ張ってきた話。
そもそも純也のキャラクターが荒唐無稽過ぎるのを楽しめるかどうかが勝負なこのシリーズではあるのだけど、カンボジア紛争のクメール・ルージュから、ブラックチェインに繋ぐのもえらく力業だ。おまけに犬塚の息子、啓太の心臓まで絡める。それってどうなのさ。
ちょっと安直だとは感じたよね。犬塚の人格を貶めてないか?と感じてしまったよ。人の金の八千万円でダーディーな臓器を「買った」犬塚・・・・ってちょっと受け入れ難い。
息子の命のために「自分の」人生は棒にふっても構わないと決めた犬塚ではあるが、息子の体内に“殺された”臓器を入れることまで良しとするとは思えない。途中まで、犬塚は「知らなかった」ことが前提の物語だと思っていた。だけど、犬塚がアングラの臓器コーディネーターと知ってかつヤクザと関係していたって話では、前提条件が変わってしまう。
そんなわけで、この巻は、ワタシ的にはとてもいただけない出来でありました。
だが、まあラストの数ページで「持っていかれた」感はある。
そこで登場するのか!
「ホヤ」のくだりは伏線だとは思ったけど、日本の国内にグルメなフランス人を満足させるフレッシュチーズがどうしても思い浮かばなかったため、半信半疑だったのよ。
純也があまりにもつれないので、ついに近くにまで出没したか。
そして、爽やかなフレグランスを残して風の如く去って行くあたり、ああ、この流れでまた、ワタシは次巻に引っ張っていかれるのね、とここでも著者、鈴峯サンの「力業」を感じたのだった。
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