原 題 「The Monet Murders: The Art of Murder Book 2 」2017年
著 者 ジョシュ・ラニヨン
翻 訳 者 冬斗 亜紀
イラスト 門野 葉一
出 版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫) 2019年12月
文 庫 441ページ
初 読 2022年2月5日
ISBN-10 4403560393
ISBN-13 978-4403560392
前作ラストでなんとかサムとデートの約束まではこぎ着けたジェイソンでしたが、その後友達以上・恋人未満でデートはまだ出来ておらず、2人の関係を繋ぐのは深夜の長電話、な遠距離関係をずっと続けていた模様。しかし、ロスで発生したアート・ディーラー殺人が、サムが追っていたシリアルキラー事件との関連を見せ、サムから、美術業界に詳しいジェイソンに名指しで協力依頼が。
大事な親族関係の社交上のパーティーをすっぽかしてタキシードの上にFBIジャケットを引っかけ、殺人現場にかけつけたジェイソンだったが、しかし、そこでのサムとの出会いはどうも心温まる感じではなく・・・・・
今作は、恋人だったはずなのに、友達だったはずなのに、夜な夜な電話で語り合っていたときには幸せだったハズなのに、どういうわけか対面ではサムにことさらに無視されているような気がするジェイソンがひたすら、困惑し、悩み続ける(笑)。
サムにはかつて、幼なじみであり、恋人でもあったイーサン(♂)が、シリアルキラーに残酷に殺された、という過去があったという。イーサンの死に報いるために、犯罪捜査に一生を捧げることを誓ったサムは、自分がどうにも恋愛向きな人間ではない、と深く自覚している。それなのに、ジェイソンに恋してしまって、サムなりに深く悩んだようで。自分の生き方の軌道修正を図るか、この恋を断ち切るか。サムが1人で決断していたのは後者。だが、その選択はジェイソンに混乱と苦悩をもたらした一方では、サム自身にも想像を絶する苦しさだった、、、、と。 この2人、体の相性はバッチリで、実のところ相思相愛。しかも、本当はサムの方がジェイソンにぞっこんなのだ。ついに感情に抗いきれず、愛し合う二人はとても素敵だ。 ついうっかり、こんな風に人に愛されてみたいもの、読者に思わせてしまう手練れが、ジョシュ・ラニヨンである。今回は、サムの生命の危機をジェイソンが救うことになり、遂に二人は、恋人同士に。
ラストはジェイソンの誕生日パーティー(笑)。弟を溺愛しているジェイソンの姉が企画するレストラン貸し切りの盛大なパーティーに、招待もされていないのに顔を出すサム・ケネディは、衆人環視の中での熱く甘いキスを繰り出すのだった。
ひと昔、ふた昔前のゲイものだと、こうはいかないよな、と羅川 真里茂氏の『ニューヨーク・ニューヨーク』とかを思い出しながら考える。今、世の中はこんなにオープンな世界になっているのだろうか。いつのまに? と驚いたりもする。それとも創作の中だけなのだろうか?いや、日本ですら同性パートナーが認められ、LGBT法が出来る時代になったのだから。
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