2024年5月5日日曜日

0482〜84 五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました1〜3 (Celicaノベルス)

書 名 「五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました」
著 者 須王 あや     
出 版  TOブックス 2023年7月
単行本(ソフトカバー)400ページ
初 読 2024年3月23日
ISBN-10 4866998911
ISBN-13 978-4866998916
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/119719650

「王弟殿下におかれましては、ご機嫌うるわしう・・・」
 なんと哀れな姫君。
 両親を失って、後ろ盾もなく、たった五歳で、十二歳も年上のディアナの王弟殿下に腰入れなどと・・・。 

 最初の3行で、掴みも最高です。一気に世界に引き込まれます。須王あやさん、文才あるわ。
 1000年前に竜王神が顕現して、当時の王女とともに国を興した大国ディアナ。その竜王陛下の直系子孫で、先祖返りみたいに竜王陛下に生き写しなのに、そのために義母である王太后に疎まれて、とかく生きにくさを抱えて生きてきた王弟殿下のフェリスと、その義母の「陰謀」でフェリスに輿入れすることになった隣国サリアの先王の娘レティシア。5歳と17歳の歳の差婚。歳の差は政略結婚にはありがちだとしても、流石に5歳の花嫁は規格外。おまけにその5歳の中の人は現代日本で27歳で事故死した娘で、17歳の王弟殿下の方は、竜王譲りの美貌と魔力と知性と幼少時からの苦労で老成しまくってる。そんな二重三重のミスマッチがきちんとこの歳の差カップルの中に収まって、レティシアの可愛さに氷と称される鉄壁のガードが崩れて笑い転げるフェリスの喜びや、そんなフェリスが大好きになったレティシアの幸福感が読者に伝染して、なんとも幸せな気持ちになる。いやこれ、かなりの拾い物です。

 初対面で、レティシアに優しくしてくれたフェリスに、

 いい人だ。
 私も、この優しい王弟殿下をお守りしよう。 

 と、心に誓うレティシア。やさしさが溢れて、泣きそうだ。


書 名 「五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました2」
著 者 須王 あや     
出 版  TOブックス 2023年11月
単行本(ソフトカバー)400ページ
初 読 2024年3月24日
ISBN-10 4866999969
ISBN-13  978-4866999968
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/119740245  

 街に流布された悪意ある噂が王太后の逆鱗にふれて、謹慎蟄居を命じられてしまったフェリス。国王陛下の差配でその日のうちに謹慎蟄居は撤回されるも、これを機に、とレティシアを伴って自領にひっこんだ。おりしもフェリスの自領のシュヴァリエは特産の薔薇の盛りで「薔薇祭」が開催され、土地の人々が敬愛する領主の婚姻で祝祭ムードに溢れている。
 そのフェリスのお膝元の街にも、なにやら異国の異分子が紛れ込み、不穏な策動が・・・
 ちょこっと黒フェリスが顔を出して荒事っぽいことも起こったりして、幸福感を扱いあぐねて笑いころげてるばかりでないのもよし。
 レティシアが奪われてしまった愛馬を取り戻せたこともよし。
 この巻も、優しさと労わりと愛情と真心にあふれてます。

書 名 「五歳で、竜の王弟殿下の花嫁になりました3」
著 者 須王 あや     
出 版  TOブックス  2024年5月
単行本(ソフトカバー)400ページ
初 読 2024年5月3日
ISBN-10 4867941719
ISBN-13 978-4867941713
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/120499141

3巻目発売。もはや私の心の包帯と化しているこのお話。
 今作はレティシアの幸福を阻まんとする母国サリアの叔母王妃が、よくない企みを発動する。レティシアの愛馬のサイファをサリアに迎えにきたフェリスに対面したサリア王妃は、ろくな知識もないままに厄介者の冷や飯食いの王弟だと思い込んでいたフェリスが、美形で有能な王子だと知る。とたんにレティシアに与えるのが惜しくなって、自分の娘とレティシアの交換を画策。だがしかし、この悪い策謀に対して、伴侶をこよなく愛するディアナ王家の気質を遺憾なく発揮しているフェリス様の怒りが爆発。

「それを書面にせよ。そちの裏切りを、サリアとディアナに知らしめよ。書けぬと言うなら、首は落として、腕だけ残して、腕に命じる」

 もう、このセリフに惚れ惚れしましてん。「腕だけ残して、腕に命じる」ですよ!冷酷これに極まれり。これもまたフェリス様の本性の一部ですよ! 首を落とした後、腕一本だけ残す間に残った部分はきっと粉砕されちゃうんだ。とか書いてないことまで想像してその黒さにぞくぞくしますわ。
 この巻、レティシアの前では優しい白猫をかぶってるフェリスの黒い面も堪能できる。白フェリス?と黒フェリスの塩梅が絶妙です。須王あやさん、上手いよな〜と思いながらしっかり緩急を堪能。なお、男前?な王太后様がすんばらしかった。見直したよ。

何と了見のおかしなサリアの王室よ。  

そもそもディアナの王弟相手に、現王女でなく、やっかい者の姫を寄越そうなんて政治センスのない王室だ。 

もともと常識がないのであろう。 

「……どのみち、もうフェリスはあの娘を気に入った。ディアナの王族が誰かを気に入ったら、それを奪うことなど、サリアの王妃ごときに出来ぬ」

 日頃、なにかと目障りな恋敵の息子に嫌がらせの手を緩めない王太后様だが、さすがの生粋のディアナ娘は、ディアナ王族の特質を見切っている。そして、ディアナの王家としての気概も見せる。フェリスに対してはかなり変な行動をとりがちだが、きちんと賢い王族でもあるところに、初めて高感度がアップした。

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