2021年5月25日火曜日

0272 サンドマン・スリムと天使の街 (ハヤカワ文庫FT)

書 名 「サンドマン・スリムと天使の街」 
原 題 「SANDMANN SLIM 」2009年
著 者 リチャード・キャドリー 
翻訳者 川野 靖子 
出 版 ハヤカワ文庫 2009年11月 
初 読 2021年5月15日 
文 庫 480ページ 
ISBN-10 4150205051 
ISBN-13 978-4150205058
 ここのところ、キアヌ・リーブス主演映画を追っかけていて『コンスタンティン』を何回か繰り返して観た。ロサンジェルス、天使と悪魔の抗争、地獄から生還した男、というわけで、『サンドマン・スリムと天使の街』である。念の為、誤解のないように書いておくが、別に原作ではない。なんとなくステージ立てが似ているので、イメージの連続性があってよいよな、と。

 魔法使いが普通の人間に交じって普通に生活しているロス。「魔術師」と「魔法使い」の使い分け。魔術師は、身に備わった魔力はないけど呪文を使いこなして魔術を使うもの、魔法使いは天性の魔力を持つもの、かな? ハリー・ポッターは魔法使いではなくて魔術師だっていうのがよく解らないけど。で、生粋の魔法使いのスタークは、仲間に裏切られて生きたまま地獄に落とされる。そこで、生身の人間を面白がった悪魔どものおもちゃにされ、切られ焼かれなぶられながらも生き抜き(そしてなぜか不死性を獲得し)、11年後のロスに生還。そして、自分を裏切ったかつての仲間達を復讐の為皆殺しに・・・・・、というのが、物語のお膳立て。ローレルキャニオンやら、マルホランド・ドライブやら、ハリウッド大通りやら、ボッシュやC&Pでおなじみの地名がそこここに。近くにコールの探偵事務所や自宅だってありそうな地理ではあるが、ここは魔都ロサンジェルスである。魔法陣やら、聖遺物やら、魔法アイテムに、悪魔の武器。地獄の闘技場や炎の宮殿や水の宮殿の情景は是非とも映像で見たいぞ。
 スタークは不死ではあるものの、ちゃんと痛みを感じたり傷ついたりはするところがミソ。読み手の嗜虐趣味をほどほどに満たしてくれる。地獄に落ちても生きてたりするので、生死の際が今ひとつ、よくわからないけど。
 

 この手の話を読んだり観たりして一番困惑するのが、「神」がちっとも偉大に思えないこと。天使もしかり。悪魔も天使も人間も、神までが何やら生臭くて、超常感が無いのはなぜだろう? コレを書いたキリスト教文化圏の世界観をつい分析したくなるが、コレはそういう話ではない。頭を空っぽにして楽しむべし!

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