原 題 「The Big Sleep,」1939年
著 者 レイモンド・チャンドラー
翻訳者 双葉 十三郎
出 版 創元推理文庫 1959年8月
初 読 2018/07/13
一作目にしてこれ!富豪の老将軍の依頼は娘の一人に関わる恐喝事件。しかし、本当に老人の心を捉えていたのは、もう一人の娘の婿の消息だった。
マーロウが恐喝事件を探ると、意図しない殺人が起こっていき。。。
依頼されたわけではない娘婿を探すとも無く探すうちに、見えてくる一人ひとりの情と思惑。これだけワルが沢山いて、しかも嫌なやつがいない。真相は小さく空しく、解決策はない。ただ「大いなる眠り」を強く、優しい探偵が見つめる。
雨とスモッグを重く含んだ冷たく汚い濃霧に包まれるような、濃厚な読後感だった。古めの台詞が面白い。「モチだぜ」昔はナウくていなせな言葉だったんだね。拳銃を「パチンコ」と言っていた時代があったのか。「パチンコ」「はじき」「チャカ」の俗語の中ではいちばん古いとな。事件を解決する話、ではなく、世の無常とマーロウのかっこよさを堪能する話です。今時、こういう格好良さの男の話はなかなか書けないんじゃないかなあ、とも思う。
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