2021年9月1日水曜日

2021年8月の読書メーター


 毎年、8月は第二次大戦やナチス、ホロコースト関係などを少しは読もうと思っているのだけど、今年はヴァクスからの流れから脱せず8月を終了。本当は扶桑社の新刊『ベイジルの戦争』を8月最後に読み終える予定だったのだが、数日前、突然ナンプレにハマったせいで読了ならず。(反省)
 アンドリュー・ヴァクスはハードカバーを合わせてあと4冊。8月はなんといっても『さよならシリアルキラー』シリーズを読めたのが自分的には大収穫でした。面白かった!
 読書の秋は今日から。9月はいきなり面白そうな新刊が目白押しで、目が白黒(笑)
 新刊を読みつつ、中断しているボッシュシリーズをそろそろ再開したい。

8月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:3274
ナイス数:1311

セーフハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫)セーフハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
今回はバークのところに、昔のムショ仲間が厄介事を持ち込んでくる。重罪で前科二犯の通称ハークは、ちょっと思慮の足りない男ではあるが、義理人情に厚いいい漢。調査に乗り出したバークにある女、クリスタル・ベスが接触してくる。クリスタル・ベスは、DV女性のための隠れ家「セーフハウス」を運営しており、この組織に庇護された女性と自分自身を守るために、ある男との対決を強いられており、その助っ人としてバークに白羽の矢を立てたのだ。そこにもう一つ、白人至上主義者(ネオナチ)の秘密結社への潜入捜査、という筋書きが絡んでくる。
読了日:08月27日 著者:アンドリュー ヴァクス
ブラック・ラグーン (12) (サンデーGXコミックス)ブラック・ラグーン (12) (サンデーGXコミックス)感想
あああ、張のアニキの丸顔が懐かしい!バラライカさんもご健勝でいらっしゃる。シスター達が出てこないのがやや寂しいが、今回は5人娘がロアナプラに殴り込みだ。自称ホワイトカラーなロックは相変わらず黒い。久しぶりなんで顔見せ興行っぽいところもあるが、なかなかにいいところで、待て次回!
読了日:08月23日 著者:広江 礼威
ゼロの誘い (ハヤカワ・ミステリ文庫)ゼロの誘い (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
ゼロは死。ゼロ地点は自殺するときに魂が落ちていく場所。狩りに子どもを巻き込んで殺してしまったバークの精神は、それ以来死に近いところにいる。そんなとき、身辺で起こる連続自殺に怖れを抱いた若者ランディがバークに助けを求める。バークは真相を探るためにコネティカットに向かうが、そこで出会ったファンシイとチャームは奇妙な関係の双子の姉妹だった。ランディやファンシイを助ける過程で、バークも次第に力強さを取り戻していく。人は他者のために無心に行動することによってでしか癒やされないし、救われない。そんな真理を感じる一冊。
読了日:08月15日 著者:アンドリュー ヴァクス
もう耳は貸さない (創元推理文庫)もう耳は貸さない (創元推理文庫)感想
秀逸。バックの老いはシビアで身につまされる。夫婦それぞれの老化と病への向き合いかた、過去に逮捕したシリアルキラーの身勝手な冤罪の訴えに乗ってバックを巻き込もうとする体制批判論者との対立。便乗する死刑廃止論。孫のテキーラはバックの盾になってジャーナリストと立ち合い、なかなかの切れ者ぶりを発揮。なんだこいつ、格好良い。つくづくと人間は身勝手で醜悪ではあるが、バックがマイノリティながら市警で筋を通して(かなり行き過ぎもあったが)きた人生の歩みが、これまで3作の中で一番染みた。バック母、強し!
読了日:08月12日 著者:ダニエル・フリードマン
ラスト・ウィンター・マーダー (創元推理文庫)ラスト・ウィンター・マーダー (創元推理文庫)感想
母を助けるという妄執に突き動かされるジャズ。カラスたちという発想の真実味はどうなん?と思わないではないが。明かになる残酷な現実。コレはど真ん中。この本をヴァクスと同じ文脈で読むのが正しい読み方なのかどうかは知らんが世界は不平等で理不尽、それが凝縮したジャズの17年の人生。コニーパパとの会話が全てだ。「きみに言いたいのはかわいそうにということだ。かわいそうにな。ジャスパー」。想像の上をいく残酷な展開に唖然とするが、それでも殺さ(せ)なかったジャズ。七転八倒のストーリーの下に通底する思いはさすがのYAだと
読了日:08月07日 著者:バリー・ライガ
殺人者たちの王 (創元推理文庫)殺人者たちの王 (創元推理文庫)感想
〈ものまね師〉事件とビリーの脱獄から2ヶ月後。ジャズは過去に区切りをつけるために母の葬儀を執り行う。そのささやかな過去への抵抗にもかかわらず、今度はニューヨークからシリアルキラーの魔手が。NY市警とFBIの合同捜査本部が連続殺人犯捜査への協力をジャズに乞う。しかしシリアルキラーの狙いもそこにあった。ニューヨークの殺人鬼〈ハット・ドッグ・キラー〉と〈ものまね師〉とビリーの関係、ジャズを巻き込もうとしているのは誰なのか。そして、ジャズは瀕死の状態で監禁され、コニー、ハウイーもそれぞれ危機一髪。どうするんだ〜!
読了日:08月07日 著者:バリー・ライガ
運のいい日 (創元推理文庫)運のいい日 (創元推理文庫)感想
3部作の後にくる青少年3人の前日譚。ハウイーもコニーもめっちゃいい子だ。ジャズにとってハウイーはお月様。姿は変えれど必ずそこにいて、自分を照らしてくれるもの。ハロウィンの日に童貞喪失を図るが、その結果や如何に。 ジャズに演劇の才があるのは、ある意味当然だが、白い仮面のパントマイムは正直言ってかなり怖い。 老境に差し掛かりつつある保安官の平和な町で起こった連続殺人。犯人はまさかの地元住人。拳銃を突きだした先には13歳の少年ジャスパー。この日、ジャズの狂った世界が正しい世界に向けて崩壊。「かわいそうな子だ」
読了日:08月04日 著者:バリー・ライガ
さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)感想
めたくそに重い設定盛り盛りで、主人公が自殺しないのが信じられないレベル。124人を殺した殺人鬼を父に持ち、殺人者として洗脳されて育った主人公ジャズ、17才高校男児。自分の中のあらゆる感情や思考の動きが実は殺人衝動につながっているのではないかと疑わずにはいられない。父が逮捕されて以来小さな田舎町でできるだけ静かに暮らしてきたのに、突然起こる連続殺人。僕は犯人じゃない。だけど街の人は僕を疑うって決まっている。あと一滴でコップの縁から溢れそうな危機感なのに、なぜか10代の青春譚っぽい爽やかさを感じる不思議。
読了日:08月02日 著者:バリー・ライガ

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