2023年5月21日日曜日

0425 機捜235 (光文社文庫)

書 名 「機捜235」
著 者 今野 敏    
出 版 光文社 単行本 2019年3月/文庫2022年4月
文 庫 312ページ
初 読 2023年5月20日
ISBN-10 4334793401
ISBN-13 978-4334793401
読書メーター  
  
 今野敏さん初読み。すごく読みやすくて、一日で読了できてしまった。面白かった。
 「機捜」機動捜査隊。覆面パトカーで都内を巡回し、事件が起きれば駆けつけて初動捜査を担う。刑事の花形、捜査一課を目指す若手のエリートコースの一つなのだそうだ。『機層235』とは“俺”こと機捜隊員の高丸と、そのバディがのる覆面パトカーのコールサイン。無線で呼び合うときに名乗るやつ。
 所属は警視庁第二機動捜査隊。渋谷署内の分駐所に所属する。最初読んでいて分駐所とはなんぞや、と思ったが、この機捜は警視庁所属なので、所轄の渋谷署にいても渋谷署の所属ではなく、あくまで本庁の分駐所という立場なんだな、と理解する。
 高丸は将来は捜査一課にも行きたいと意欲を燃やす元気な若手。バディを組んでいた気心のしれた同期が、生憎と任務中に怪我をして一時戦線を離脱し、その間新たに高丸のパートナーとして着任してきたのが、なんと定年間際の白髪頭のおっさん。
 冴えない・目立たないしょぼくれた中年の縞長は、階級もまだ若い高丸と同じ「巡査部長」。一体何なんだ!といぶかしいやら腹立たしいやらで困惑する高丸だったが、このおっさんが実はタダ者ではなかった、という、ある意味安定のバディもの。

 最初はギクシャクする凸凹バディだが、この縞長が犯人を見分ける「見当たり捜査」のプロフェッショナル。巡回の車中から、町中の雑踏にまぎれる指名手配犯を一目で見分ける。さすがに犯人を追いかけての全力疾走はきつくても、犯人と相対したときの、柔道3段、合気道5段の逮捕術は逸品。このおっさん、機捜でのキャリアは長い高丸も目を見張る(地味な)活躍を見せるのだ。
 高丸は縞長の現場の捜査員としての心意気に、縞長は高丸の熱意にそれぞれ感化されながら、信頼を深めていく短編連作。サクサク読めて面白いです。続刊も読みたいけど、文庫本化待ちだな。

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