2024年2月21日水曜日

0459 転迷―隠蔽捜査4― (新潮文庫)

書 名 「転迷―隠蔽捜査4―」
著 者 今野 敏    
出 版 新潮社 単行本初版2011年9月
        文庫本初版2014年4月
文 庫 426ページ
初 読 2024年2月18日
ISBN-10 4101321590
ISBN-13 978-4101321592
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/119077619

「胸騒ぎがする」

 平穏無事な大森署で、現場叩き上げの副署長が発する静かな言葉が嵐の到来を予告。
 その夜、管内で続いていた連続放火事件がついにボヤでは済まなくなって、住宅火災が発生。家は半焼、幸いにしてケガ人はなし。隣接の大井署管内では殺人事件で捜査本部が立ち上がり、大森署管内で起きたひき逃げは計画殺人の様相を呈してきて、本庁の交通捜査課が捜査に人員を差し出せ、と強要してきたのを突っぱねたら、大森署内に捜査本部を立ち上げられて、全面協力を余儀なくさせられた。カザフスタンに赴任していた娘の彼氏が赴任先で飛行機事故に巻き込まれたかもしれないという連絡に、普段はしないが伝手をつかって外務省の知人に確認を依頼したのは良いが、相手は国際情報官室の人間で、隣の殺人事件と自領の轢き逃げ殺人、両方とも被害者は外務省関係者。お互いに腹を探り合うハメになる。そうこうしている時に、泳がせ捜査の邪魔をされたと麻取が所長室に怒鳴り込み(笑) 。これをまとめていなせるのは流石に竜崎しかいないだろう。伝家の宝刀・正論突破で各方面の毒気を抜きつつ、錯綜する状況を整理し、いやだいやだと言いながらも、最後は刑事部長の陰謀と恨み節もかませつつ二つの捜査本部を仕切ることに。本庁の刑事部長(伊丹・同期)と、交通部長(一期下・階級は同格)に指図して動かし、情報を秘匿する外務省と警察庁の公安から情報の断片を引出し、麻取をいなしつつ捜査を進め、そして断片をつなぎ合わせて事件の核心を言い当てる。
 今作も、我らが竜崎は、自己の理想とする国家公務員の道をひたすらに進むのみである。

 それにしても、ドラクエ風の電子音楽をバックに

「りゅうざきはあたらしいぶきをてにいれた。ハンコだ」 
「ハンコをつかうとてきのこうげきりょくがはんぶんになる」 
 
というフレーズを思いついてしまい、頭にこびりついて離れない。

 あと、余談ながら
「公務員ですから、異動になれば、どこででも働きます」
という竜崎のセリフが気にいっている。
 実は、同じことを言ったことがあるんだよね。
「どこに行こうが、行った先で全力を尽くすのが公務員ですから」と・・・・・
私にも、竜崎の血がすこし流れているとうれしいな、と思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿