著 者 今野 敏
出 版 新潮社 単行本初版2013年6月
文庫本初版2016年2月
文 庫 423ページ
初 読 2024年2月24日
ISBN-10 4101321604
ISBN-13 978-4101321608
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/119169728
誤字? 文庫本ではSTS。KindleではSIS。正しいのは多分SISだよね?(ほら、コレですよ→SIS 丹沢湖駐在 武田晴虎 (ハルキ文庫 な 13-7) ) というのはまあ、置いておいて。
原理原則と合理性の人、竜崎の采配が光る第5巻です。
今度は現職国会議員の誘拐・監禁事件。羽田から都内の議員事務所に車で向かったはずの議員が消息を絶ち、議員の運転手は、車の中で死体となって発見された。大森署には指揮本部が置かれ、やがて犯人が横須賀方面に潜伏していることが判明し、横須賀署内に前線本部を置くことになる。伊丹はその前線の指揮を竜崎にまかせる。なにしろ警視庁と神奈川県警は世に知られた犬猿の仲。なまじな人間が乗り込んだところで、まともに捜査協力が敷けるとは思えない。
現場の捜査一課長は現場からのたたき上げのノンキャリ。あからさまな反感を竜崎にぶつけてくる。しかし、竜崎のブレない指揮と、県警から警視庁に派遣されていた捜査員を上手く使うことで、だんだん県警捜査員の受け止めが変わってくる。
最後の突入作戦にSIT(警視庁の突入部隊)とSIS(神奈川県警のSITに相当する部隊)のどちらを使うかで伊丹と対立し、あくまで県警の部隊を使うと伊丹を突っぱねたあたりで、完全に神奈川県警側捜査員のハートをわしづかみ(笑)。
なんとか本日中に事件を解決させたい(といっている時点で23時45分)と言った竜崎に、SISの班長が言う。
「その願いを叶えてご覧にいれましょう」
くぅぅうううっ 痺れるねえ。
SITの下平のフォローをするのも、最後に県警本部長に因果を含めにいくのも、「責任と取る」っていうのはこういうことか、と。人間、なかなかここまで捨て身になれるものでもないけど、捨て身の覚悟を示すことで、開ける道もあるってことかと思う。
なんかもう、竜崎も、脇キャラも格好良くって、堪らん。
ラストのひねりもよい。事件の解決と、竜崎の危機も、うまく幕引きできたし、伊丹が破顔するのも目に浮かぶよう。ついでに長男邦彦君の受験も無事に終了。いやあ良かった。
0 件のコメント:
コメントを投稿