原 題 「HIDDEN IN PLAIN SIGHT」2020年
著 者 ジェフリー・アーチャー
翻訳者 戸田 裕之
出 版 ハーパーコリンズ・ジャパン 2021年12月
文 庫 464ページ
初 読 2021年11月10日
読書メーター
ISBN-10 459601860X
ISBN-13 978-4596018601
12月17日発売の先読みプルーフ版を申し込んだら、ハーパーコリンズ・ジャパンから送っていただきました。申し込み者は全員当選したとのこと、ハーパーコリンズは太っ腹です。
お礼に、もちろん発売日に、買いますよ!だって、表紙が素敵ですから!
というわけなのでレビューも先出しです。できるだけネタバレ無しでいきたいと思います。
われらがウィリアムは、昇進の最初の一歩を決め、晴れて捜査巡査部長になっています。いわゆる「部長刑事」というやつです。そうそう、リーバスもシリーズスタートのころは部長刑事でした。ロンドン警視庁(スコットランドヤード)の階級組織については、デボラ・クロンビーの「キンケイド警視シリーズ」で紹介したので、そちらをご照覧ください。
刑事部(Criminal Investigation Department)所属の警察官は、階級名の前に”Detective”(=刑事)が付くので、それを生真面目に訳すと“捜査巡査部長”になります。英語だとDetective Sergeantで、だから略称「サージ」。ここから警視総監までは、あと9階級ほどもある。一冊につき1回昇進するとしたら、あと9作 もかかってしまう計算です。途中いくつか端折るにしても、御大、無事最後まで辿り着いてくれるだろうか?一読者としては、応援するしかない。なにしろ、ウォーウィックは「警視総監になる」とアナウンス済みなので、途中なにが起ころうが予定調和のうち。想定がつかないのは御大の寿命だけなのだ。さあ、次の巻も読ませてくださいな。と天に祈る、というか心から応援する。
そんな訳だから、内容については、ね。どうせ面白いんでしょ、どーせ、ウィリアムがすくすくと成長するんでしょ、と、ちょっと斜に構えたレビューを書いてやろうと手ぐすね引いていたらば。
今回、ウィリアムは昇進の結果新たに麻薬特捜班に配属、、、、のはずなのだが、前回の美術骨董捜査班の看板を付け替えただけで、構成メンバーも替わらず、指揮官もホーク警視正がそのまま続投。ってところに一抹の安直さを感じないでもないけどさ。ま、それはいい。良いチームを解散するに及ばず、という警視総監の意見には、私も賛成だ。その上、今度は宿敵フォークナーを麻薬の線から追いつめることに。
そして、読み終わって叫ぶよね。「だから、見えない敵はどこにいるんだぁ!!」と。
フェルメール『レースを編む女』
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次巻では、ウィリアムは警部補になっているらしいが、それよりもなによりも、この巻ラストの問題にどう落とし前を付けるのか、そこが気になって仕方ない。今後の展開にまったく予想がつかない。正座してまっていますので、よろしくお願いします。ハーパーBOOKS。
なお、蛇足ながら、この巻では、仕事以外でもウィリアムは大きな人生の転機を2回(いや、3回かも?)を迎えます。それはもちろん、夫になること。そしてなんと双子のパパにまでなってしまう!
美術とも縁がきれた訳ではなく、名画絡みの事件もまだまだ続きそう。
一生に一度と思い定めたウィリアムの結婚式に、捨て身の嫌がらせをかますフォークナーとはもはや宿敵というより腐れ縁に近い様相を呈している。こちらもどうなって行くやら、目が離せません。
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