2022年6月23日木曜日

0357 栗本薫・中島梓傑作電子全集28 【JUNE Ⅱ】Kindle版

書 名 「栗本薫・中島梓傑作電子全集28 【JUNE Ⅱ】Kindle版」
著 者 栗本 薫    
出 版 小学館   20199
ASIN ‏ : ‎  B07X9S8P31
収録作品
【小説】

 流星のサドル

 ムーン・リヴァー

 嘘は罪

 タンゴ・ロマンティック

 「セルロイド・ヒーロー』シリーズ 

【エッセイ】

 話題の人いんだびゅう

 特別座談会 そこが知りたい! あの人は今!

【未発表作品】

 リラのワルツ

【特別収録】

 トゥオネラの白鳥

【対談】

 スペシャル対談

【特別寄稿】

 中島さんとの思い出(後編)

【回想録】

 栗本薫との日々 二十八 今岡清

「栗本薫の育児日記」 二十八 山田良子

【付録1】「特別資料」七

「特別資料」二十八

 矢代俊一年譜 

【付録2】 単行本初版書影写真

【解題】 第二十八回解題


 『東京サーガ』の『嘘は罪』と未発表作品が掲載されている、ということで入手。
 まあ、お買い得である。『流星・・・』は未読(しかし、読み友さんのレビューを事前によんでいるので、手を出すのはためらわれる。)
 既読の『ムーン・リヴァー』はKindleアンリミだったので、損はなし。もともと『嘘は罪』は電子版も欲しかったので丁度良し。
 ざっと内容は以下のとおり。(多分)


■『流星のサドル』(結城滉×矢代俊一)
■『ムーン・リヴァー』(透と島津の最後の日々)
■『嘘は罪』(良を失った風間センセ復活の記)
■『タンゴ・ロマンティック』(おっさんずラブ。総務課長と人事課長アラフィフの恋?)
■『セルロイド・ヒーロー』シリーズ(AV男優克郎くんの純情と純愛。過酷なレイプAV撮影で人格を破壊されてしまったかっちゃんがアルジャーノン化する。)
■エッセイ『話題の人いんたびゅう』(矢代俊一のインタビューで、単なる著者のオナニープレイ)
■『特別座談会 そこが知りたい!あの人は今!』(良の刑期が執行猶予なしの2年4ヶ月であったことを知る。)
■未発表作品『リラのワルツ』(野々村の純情。『ムーン・リヴァー』冒頭で野々村が無謀にも暴力沙汰に飛び込んで肋骨骨折の怪我をしているが、それに到る話。透が賢者役で登場)
■『トゥオネラの白鳥』(矢代俊一×森田透+風間センセ=驚愕!)
■その他。


 『セルロイド・ヒーロー』、これが意外にも良かった自分に汗。
 『嘘は罪』でも『リラ』でも透のポジションは賢者。島津の元で良の出所を待つ透の描写がいよいよもって美しいのには満足だ。彼は、顎の下の目立たないところに顎骨折治療の手術痕があるんじゃないかと思うのだが、とくに言及はないので自分で勝手に想像する。

 大問題なのは、栗本薫の絶筆、『トゥオネラの白鳥』
 薫サンが自己を投影した「霧島安曇」という天才作家(♂・ゲイ、末期癌で在宅療養注)と矢代との対話?みたいな、自己陶酔、もしくは自己弁護感がふんぷんとする書き出しで、読み続けるのを激しくためらう。だがしかし、ここで驚愕の事実(?)

(爆)島津の死後、透がなんと、良には振られれ、矢代俊一を「落として」いる!?だと? 
   透が矢代の愛人だと!?
   しかも、透が矢代にベタ惚れしているだと?
   しかも、風間が矢代のマネージャーに収まって、矢代のお世話をしている!だと!?
 これはない。ヒドい。焚書もんだろ。これ。
 矢代俊一ネタの小説(電子書籍・同人誌)は読んでいないで、コレをよんじまったので、たった今まで安住していた街が突然ミサイルで爆撃を受けて崩壊したみたいな衝撃を受ける。
 あまりの衝撃で、自分の中の栗本薫ワールドの世界感がガラガラと崩壊していく。

 栗本薫。この人は、自分が死ぬにあたって、自分が世の中に投げ出した自分の作品世界に後ろ足で砂かけて去りたかったのだろうか?
 なにもかも、よごして、おしまいにしてしまいたかったのだろうか?
 それとも『セルロイド・ヒーロー』の克郎くんよろしく、いささか知能が低下してしまって、それに合わせて透や矢代も、低脳化してしまったのだろうか。

 『東京サーガ』の森田透ブランチだけは、とりあえず完読したいと思った自分の執念を心底恨めしく思った。
 Kindleだからと、『透』というキーワードで全編検索した自分の愚かさを呪った。あああああああ。

 念の為、カクヨムのうなぎさんの全著作レビューを読みに行ってきた。
『セルロイド・ヒーロー』については、予想通りの辛辣レビューに草ぼうぼう。『浪漫之友』創刊号〜6号あたりを参照のこと。あはは。わたし結構面白かったんだけどな。こういう単発話(話中全部で1年位)だと、時系列の矛盾を気にしないですむので気が楽。
 SEXを精神論風に語らないと気が済まない薫サンなのに、それなのに例えるのが殉教者(ジーザス)だとか聖母マリアだとかしかない発想の貧困さにこれまた草が生えるが。

 で、件の『トゥオネラの白鳥』は、同人誌なので、「レビュー対象外」とのこと。
 うなぎさんの、砂をかむようなカンジが伝わってくるような気が・・・・・・するよ。

 栗本薫。
 100冊書く、といって本当にだらだらと推敲もせずに文字を垂れ流した作家もどき。
 キラキラと輝く作品も含め、大量の活字(デジタルも含む)を世に出した人。
 そして、それはそれは沢山の読者を、その世界観に巻き込み、最後にぶち壊して瓦礫を残していった女・・・・・・。これは、災悪だと、思った。そして、このひとが残した文字という文字を、すべて世に公表して残しておこうと考えた信奉者は、ただの愚か者だと思う。(完)

(注)そのうち、もっと穏当かつ妥当な内容に書き改めるかもしれないが、とりあえず、今朝の衝撃を書き綴っておく。あくまでも個人の感想ですよ。あああ。

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