2022年6月2日木曜日

2022年5月の読書メーター

5月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3701
ナイス数:1586

朝日のあたる家〈2〉 (角川ルビー文庫)朝日のあたる家〈2〉 (角川ルビー文庫)感想
透ちゃんは情緒の人なのでそのときどきの自分の感情の動きが全部になっちゃう。なのでその都度、目の前にいる誰かがそのときの100%になってしまっても、彼の中では矛盾していないんだよな。巽さん、島津、亜美、雪子、それぞれに惜しみなく自分の思いを注ぐ透を、愛おしくも痛ましくも思う。透が“マリア様”である由縁。自分を守らず、そのときどきの思いを惜しまず相手に与えるから。それによって、自分が危険に晒されることなどには思いも至らず。ゆえに、ついに良の想いを捕まえて、自分は良の為だけに形づくられたんだ!と思ったとしても、おいおい、それじゃあ島津さんが気の毒じゃないか、とか考えてはいけない。なんとなれば島津が愛したのはそんな透だから。野々村は透と巽のことを風間に漏らし(←これが自分的には一番赦し難かった。)風間は遂に狂気の向こう側にリタイア。良の透に向けた想いが明かされ、透が昇天(もちろん比喩)。島津は亜美を連れてフランスへ。そして次巻から、“付き人”透の登場となる。ここまで、やおい展開はないが、ひたすら、いろんな人に頬を殴られている透ちゃんである。それじゃあ、マリア様じゃなくって、キリストだよ。と。
読了日:05月31日 著者:栗本 薫

ムーン・リヴァー (角川文庫)ムーン・リヴァー (角川文庫)感想
実際、短期間で数度目の読み返し。この展開に賛否はあれど、私はこの二人が好きだ。
読了日:05月30日 著者:栗本 薫



朝日のあたる家〈1〉 (角川ルビー文庫)朝日のあたる家〈1〉 (角川ルビー文庫)感想
かつて透を愛してくれた巽と同じ歳になった自分に、静かに驚いている透。相変わらずのジゴロだが最近は女相手。大物政治家の妻雪子は透を買い、その娘の亜美は透を追いかける。亜美が健康的で生命力に溢れていて、変温動物の透ちゃんが、岩場で日光浴するイグアナみたいに女の体温と生命力にぬくもってる感じがするのは決して気のせいじゃない。以前よりは自分が好きになり、気持ちも落ち着いている透だが、ある日、巽の墓の前で良と再開する。良は麻薬に溺れて、スターの座にも翳りが出てきていた。透の中に良への愛情と懸念が湧き上がってくる。
読了日:05月27日 著者:栗本 薫

透明な愛のうつわ (on BLUEコミックス)透明な愛のうつわ (on BLUEコミックス)感想
日曜日に書店で見つけ、透明感のあるきれいな表紙に心惹かれ、月曜日中気になって頭から離れなかったので、さきほど夜中に書店に買いに行った。設定が全ての異種婚姻譚的なやつ。登場人物全部それぞれちょっとだけうざったいような。でも絵も、ストーリーもとてもキレイだった。自分の心がささくれてなかったら、もっと素直に読めたんだろうなあ。
読了日:05月24日 著者:hitomi

宇宙兄弟(41) (モーニング KC)宇宙兄弟(41) (モーニング KC)感想
もーなんなの!(`ヘ´)。ヒビトに悪いことが起きそうで、ドキドキしっぱなしでしたよ! 兄ちゃんが付いているから大丈夫だと、41巻まで読者を連れてきてバッドドリームはさすがにないだろう、と自分に言い聞かせながら、読みました。もう、早く地球に帰っておいで・・・・・(母より←ウソ)
読了日:05月24日 著者:小山 宙哉

翼あるもの (下) (文春文庫 (290‐5))翼あるもの (下) (文春文庫 (290‐5))感想
透ちゃんが愛しい。切なすぎる。上巻がA面だとしたら下巻はB面。煌めくスター今西良のドラマ撮りを巡る騒動の裏に、影となった存在森田透と巽の秘められた愛情の物語。上巻がまったく共感できない風間のモノローグだったのでちょっとキツかったが、下巻は透視点なので、最初のページから、もう、胸が潰れる思いで読む。女性的な美しい顔や肢体に生まれた故に、子供の頃から好色の餌食になってきた透の抱える人間不信、それを強引に溶かした挙げ句の巽の背信、その巽を守るがための透の選択、すべてが哀しい。巽の死が語られないのも空恐ろしい。
読了日:05月22日 著者:栗本 薫

翼あるもの (上) (文春文庫 (290‐4))翼あるもの (上) (文春文庫 (290‐4))感想
○十年ぶりの再読。これは、風間視点の今西良への妄想の書。この本の中に良本人はどこにもいないのだ。偶像化され周囲の崇拝者から勝手にイメージを与えられたアイドルとなった青年の真実の姿やその思いが語られることはない。ひたすら周囲の身勝手な妄想とさや当てと嫉妬。その不毛なエネルギー量がもの凄い。当時のアイドル論、音楽論を反映した作品としても凄いものだったのだろうな。最後に劇的に破壊的な手段に出る良の胸の内を聞くことができるのは、『朝日のあたる家』までお預け。すでにグループを去っている森田透は名前のみ登場。
読了日:05月20日 著者:栗本 薫

所轄刑事・麻生龍太郎 (新潮文庫)所轄刑事・麻生龍太郎 (新潮文庫)感想
『RIKOシリーズ』『聖なる黒夜』の麻生龍太郎、駆け出しの所轄刑事時代の短編集。麻生の所属する高橋署、読み方は「たかばし」場所は江東区高橋で、現実世界では深川署。そして、思いのほかワンコ本だった。「早く行ってやらないとな。もし奴が本ボシなら、今ならまだ、刑事事件としては微罪だ。謝罪させてそれで被害者が納得すれば、送検しなくても済む。だがほおっておけばきっとエスカレートする。未来を棒に振る前に、止めてやろう」先輩の今津刑事の言葉が心底優しく聞こえる。後の山内練の事件の時の麻生の思いにも通底するものがある。
読了日:05月14日 著者:柴田 よしき

逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫 SFウ 15-4)逃亡テレメトリー: マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫 SFウ 15-4)感想
メンサーを(グレイクリス社から)守ることを至上命題とし、防御にかけては隙だらけのプリザベーション連合の治安システムと警備当局に終始イライラいらいらしています。弊機。(笑)おまけに不得意でめんどーくさい人間の対応もせざるを得ず、ストレス高め。例によって、冒頭からぼやきが止まりません。おまけに、弊機のプリザベーション・ステーションの中での立場を向上させる為にも、警備当局と協働して緊張関係を緩和すべき、と考えるメンサーの指示で、警備局と殺人事件の捜査協力をするはめになり、イライラ値も絶賛向上中(笑)。
読了日:05月09日 著者:マーサ・ウェルズ

キャバレー (角川文庫)キャバレー (角川文庫)感想
久しぶりに、明日の仕事の事も考えずに夢中で読み切った。初読はたぶん初版、1984年って。年はとりたくないもんだ。今にして読むと、矢代君が青いったら。。。若いったら。。。この歳になると、さすがに矢代の内心ポエムはちょっと恥ずかしくはある。ジャズの世界で生きるべく、生まれ育ちを捨てて、場末のキャバレーで人生修行中のサックス奏者矢代と、強面のヤクザの滝川の束の間の邂逅。きらめく才能と無知と若さ故の向こう見ずを、まるで壊れやすい宝物のように守ろうとする滝川。場末が場末らしく、ヤクザがヤクザらしかった時代。
読了日:05月06日 著者:栗本 薫

ムーン・リヴァー (角川文庫)ムーン・リヴァー (角川文庫)感想
言葉がない。こんな愛情があるのか、小説だからこそあり得るのか。栗本薫だからこそこんな小説を世に出せたのか。『翼あるもの』から30年、作中でも10年以上にはなるのだろうか。森田透を囲う島津の愛。今西良を愛しつつも島津も愛する透。嫉妬と欲情と妄執の果て、殺人に等しい行為でも壊すことのできない純愛。どろどろの愛欲まみれなのに、清らかで尊くすらある二人に言葉を失う。癌に冒された島津との最後の壮絶な時間と、島津を失った後の透の圧倒的な孤独。この喪失を抱えて透はこれからどのように生きていくのだろうか。
読了日:05月04日 著者:栗本 薫

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