読んだ本の数:10
読んだページ数:3855
ナイス数:1245
フォー・ユア・プレジャー (講談社文庫)の感想
若。わか。辞め警の斎藤が、今は山内練の腹心の部下に収まって練を若と呼ぶ。若頭だから「若」なんだろうけど、なんか、斎藤の愛というか思慕が溢れてるんだよな。だけど、その男、心は他の辞め警のものなんだぜ?脇のはずの斎藤の慕情がなんとも切ない。結局、保育園園長で凄腕探偵なハナちゃんが活躍するこの話は、美形で傷ついてて壊れてて、ケタケタと笑って平気で残酷な振る舞いをするあの男の物語、なんだよな。だから、ここには登場しない麻生さんよ、つまらないプライドは捨ててさっさと練に連れ添ってやれよぉ、と思っちまうのだ。
読了日:08月30日 著者:柴田 よしき
BADON(6) (ビッグガンガンコミックス)の感想
今回は大きな事件も起きず、少しずつ深まる人間関係と、ささやかなお節介と。頼まれごとが少々気になるが、それは次巻におあずけで。
読了日:08月28日 著者:オノ・ナツメ
フォー・ディア・ライフ (講談社文庫)の感想
分かる人にしか分からん話で恐縮だが、あえて「ぼくらの気持」でなくこの本を手に取ったのにこのネタかよ!なハナちゃんシリーズ一冊目。新宿の裏町で無認可保育園の雇われ園長をするハナちゃん、給料をもらうどころか裏稼業で稼いだ金を園の赤字補填につぎ込む、心優しい探偵である。おなじみ美形の極悪ヤクザの若頭との因縁が「契約書」になったところで、シリーズ続行確定!小さな土地には違いないだろうが、それでも新宿の繁華街近くで4000万円は破格だろうな。練の分かりにくい温情で股間を揉みしだかれるハナちゃんには同情しかない(笑)
読了日:08月25日 著者:柴田 よしき
新装版 ぼくらの時代 (講談社文庫)の感想
なるほど「推理文壇」なるものがあったのか。その「文壇」に、超新星のごとくデビューした薫サンのデビュー作。江戸川乱歩賞にふさわしく、若く瑞々しいのに熟れている。薫サンの傑作。と、いうか薫サンのこれが絶頂期なんじゃないのか?ここからゆっくりと凋落していくのが薫サンの生涯だったのか、と思うと切なくもある。ここで、担当編集やら、出版社やらが丁寧に育ててくれていたならば、早書きだけでなく、じっくりと書く作法を躾けてくれていたならば、どれほどの作家になったろうか、と考えるのも詮無いもの。とにかく、これは良作、名作。
読了日:08月19日 著者:栗本 薫
身も心も <伊集院大介のアドリブ > (講談社文庫)の感想
栗本薫後期の作品にしては、きちんと「読める」作品に仕上がっているのは、おそらく伊集院大介シリーズのスタイルがすでに確立していたからだろう。伊集院大介本とは言え、大部分は矢代俊一をひたすら語っている。この厚さの本なのに、大した事件は起こらない。肝心の謎解きも俊一が「分かった!」だし。「朝日のあたる家」を何とか書き終え、薫サンがやおいキャラに変貌したお気に入りの矢代俊一を前面に押し出し、「お乗り換え」を図った一作だとみる。しかしそのダシにつかわれた伊集院大介のファンは、ちょっと収まらないんじゃないかな?
読了日:08月14日 著者:栗本 薫
猫に知られるなかれ (ハルキ文庫)の感想
戦後の混乱期に、緒方竹虎が早期の日本の主権回復を目指しGHQに協力するかたちで秘密組織であるCATを創設し、戦後の混乱に喘ぐ日本をさらなる混迷に導く旧軍部(極右)やソ連共産党の工作員(極左)の排除に動く。そんなCATにスカウトされた旧陸軍の諜報員や、元憲兵。ほどよくアクションで程良く切ない。戦後すぐの東京の情景が目に浮かぶ。遠く離れた過去のようで、まだ、75年“しか”経っていない。歴史は地続きでつながっている。それにしても、よくぞあの焼け野原から復興したものだ。
読了日:08月11日 著者:深町 秋生
警官の道の感想
しまった。夜が明けてきたぞ。読み友さんオススメの『クローゼット』から読む。おっと、そこでカミングアウトですか。こういう勢いのほうが、かえって受け止められやすいかも。頑張れ!(深町秋生『クローゼット』)でも、冒頭の『上級国民』(葉真中顕)の衝撃がけっこうきた。なんか、ディーヴァーの短編集読んだ時の愕然を思い出した。呉勝浩氏の『Vに捧げる行進』シュールすぎて、だれもレビューで触れていないのに思わず失笑。そうだよね。私もどうしようかと思って他の人のレビュー確認しにいったもん。レミングを連想したけど。
読了日:08月07日 著者:呉 勝浩,下村 敦史,長浦 京,中山 七里,葉真中 顕,深町 秋生,柚月裕子
ゴルゴタ (徳間文庫)の感想
ともかくも、なんとも複雑な気持ちにさせられた。真田よ、アンタは絶対に間違ってる。だけど何がどう間違ってるのか、読んでいる自分が混乱してくる。バカも愚か者も含めての世の中だ。駄目な連中の酷い行いもなにも、清濁併せ呑むのが人の世のあり方なんだよ。でもそんな理屈が、幼い時に目の前で両親を殺された孤独な男がやっと得た家族が、なんの理由もなく殺されてしまった絶望に通用するか?決して怒らせてはいけない男を怒らせてしまった。眠れる竜を起こしてしまった。そんな話。ゴルゴタの丘の喩えは大げさに過ぎるかもしれないけど。
読了日:08月06日 著者:深見 真
ヴァイス 麻布警察署刑事課潜入捜査 (角川文庫)の感想
潜入捜査ってそーいうことかいっ!Kindleアンリミで、紙本入手前に読了。えらく早く読めたが紙本じゃないので厚みがよくわからん。真っ黒な汚職警官ものだが、一番黒い仙石が、ありえないくらいの爽やか系。仙石は名前が一緒なもので「ボールルームにようこそ」の仙石サンの絵 で、脳内にコミックの紙面が広がる。拷問がエグいとか怖いとかのレビューも散見されるが、無問題。「俺は、子どもへの暴力は許さない」 一冊目では仙石の過去や背景はちらとも明かされていないので、非常に気になる。これは追いかけるでしょ。面白いもん。オススメ
読了日:08月04日 著者:深見 真
ヘルドッグス 地獄の犬たち (角川文庫)の感想
ううーむ。深町さん、鬼門かも。並み居る深町さんファンに申し訳ないことに。べつに暴力描写とかは全然問題ない。余裕で許容範囲内。しかし、これだけの猛烈なストーリーにリアリティを与えるための人物描写があと一息ってところかなあ。とくにヤクザさん方が薄っぺらい気がして。あと、暴力団組織のあれこれとかが説明がましくて、中盤に差し掛かるまえに気持ちが砕けた。個人的には、こいつを“アジアを又にかける孤高の殺し屋出月梧郎の壮絶な前日譚”ってことにして、梧郎主人公のハードボイルド小説を読みたい。
読了日:08月02日 著者:深町 秋生
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