2019年3月2日土曜日

0165 殺しのパレード

書 名 「殺しのパレード 」 
著 者 ローレンス・ブロック 
翻訳者 田口 俊樹
出 版 二見書房 (2007/11/27) 
初 読 2019/03/02 

 1人の殺しのために3人殺したケラーさん。すこし情緒不安定ぎみか?心配。

『鼻差のケラー』
 結局勝ったのはどっちなの!ギャンブルよりも深く切手収集にのめり込みつつあるケラーさんが、かなり心配になる。

『ケラーの適応能力』
 9.11はケラーさんの精神にも深い打撃を与えたようだ。なにもかも、以前とはちがうのだ。いよいよ情緒不安定なケラーさん。独り言が止まらなくなったので、話相手に犬のぬいぐるみを買う。さすがはケラーさん。てか心配でしょうがなくなる。でもじっくり落ち込んだあと、復活は一瞬だった。さすがはケラーさん。 高級住宅の玄関に防犯カメラが24時間で作動してる、、、なんてことは無いのか。なにしろ塀の警備がしっかりしているから、内部は油断で一杯なのかな。

 相変わらず、ケラーさんの事件には警察のけの字もなし。のどかである。

 そして、例によって表紙は違うと思う。ケラーさんは銃を使わないでしょ?

 ケラーも仕事が長くなってきて思うところが多くなり、ついターゲットに関心を持ってしまう。その結果仕事はイレギュラーな流れになり、だんだん危うくなってきて。いよいよ大転換点が近づいてきているようなフラグが不気味である。ドッグキラーのラストが切ない。

 母の記憶が蘇るバスケットゴール、切手収集家のターゲットとつい仲良くなってしまって・・・。切手収集家の最後を自分に重ねたのか、ドットに遺言までするケラーだが、ついに自分が稼業から抜けられないことを自覚する。

とにかく全編を通じて、ほのぼのよりも切なさが際立つ。

2019年2月27日水曜日

0164 帰郷戦線―爆走― (元海兵隊員ピーター・アッシュ・シリーズ)

書 名 「帰郷戦線―爆走― (元海兵隊員ピーター・アッシュ・シリーズ)」 
著 者 ニコラス・ペトリ 
翻訳者  田村 義進 
出 版 早川書房 (2018/9/5) 
初 読 2019/02/27 

 タイトルと表紙から、退役帰還兵がぼろいアメ車を駆ってガタピシと合衆国を暴走横断!て話だと思い込んでた(笑)。違った。

 むしろ、PTSDを煩う退役軍人の内省の書って感じです。面白い。そしてミンガスが楽しい。犬は正義、に一票。
 ダイナとどうにかなるんだろうと思ってたら、まさかの伏兵ルイスですか!そして、ルイスの正体はまだ知れず。

 最初から丁寧に描いていたミッデンは仲間に転じ、ジョシーはミッデンとピーターのどっちを選ぶんだ?と、まだまだ、続刊の刊行を待つしか無い。ミッデンの殺人が不問になっちゃうのはどうよ?と思わんでもない。それでいいのか、アメリカ??

 これは、続刊が出たら、読む。

2019年2月21日木曜日

0163 緊急工作員

書 名 「緊急工作員」 
著 者 ダニエル・ジャドスン 
翻訳者 真崎 義博 
出 版 早川書房 (2019/1/10) 
初 読 2019/02/21 

 ノンストップで面白かった。真の黒幕と直接対決以降が若干もやってる気もするし、動機と結果がアンバランスすぎるとか、特権的エリート階級の連中の合衆国万歳🇺🇸が鼻につく、とか、多少の突っ込みどころはあるものの、男どもがクールで滅法格好良いし、それぞれキャラが立ってるのが何より良い。ちょっと、設定やキャラクターの配置に、今後のシリーズ化の色気を感じて、それよりももっと、ストーリーを徹底的に仕上げてほしかった気もしないではないが。
続刊が出るのであれば、個人的には今回あんまり活躍できなかった元SASを次回作でも巻き込んで欲しいと思う。
登場人物の中ではキャリントンが渋くてイチオシ!

2019年2月16日土曜日

0162 悪魔の赤い右手  ー殺し屋を殺せ 2

書 名 「悪魔の赤い右手 ー殺し屋を殺せ 2」 
著 者 クリス・ホルム 
翻訳者 田口 俊樹 
出 版 早川書房 (2019/2/6) 
初 読 2019/02/16 

 だらだら読みだったせいかもしれんが、何時までも序盤のような感じのまま、気付けば終盤まで進んでしまい。
 いよいよ始まったか?ってところで敵がまさかの旧友とか、ベタ過ぎだ。コートみたく行き当たりばったりでも圧倒的不利を凌げる驚異の戦闘力があるわけでもなし、ヴィクターみたく「仕事の成果は段取りが9割(暗殺者編)」みたいな偏執的な周到さがあるわけでもない、どことなく素人っぽいヘンドリクス。
 うーん。丁寧に書かれた作品ではあるんだが、大化けを期待した自分の期待値が高すぎたか?でもまあ、ラスト50ページは十分面白かった。
 でもでも、オブライエンが気持ち悪い。捜査上の対立も、すぐに二人の痴話喧嘩になってぐずぐずベタベタ。レズだから、というのではなくて、とにかく公私混同甚だしいのがダメだ〜。前作でも感じたが、このレズ設定ホントに必要なのか?こういう細かいところからリアリティが削げていくんだよな〜。
 総じて漫画だったらこの程度でも面白く読めるのに、なまじ文章なだけに・・・・。ああ、全然褒めてない。でも、ラスト50ページは面白かったよ!この作品がイマイチなんじゃなくって、グレイマンとパーフェクトハンターがパーフェクト過ぎるんですよ。

2019年1月29日火曜日

0161 なぜ人と人は支え合うのか 「障害」から考える

書 名 「なぜ人と人は支え合うのか 「障害」から考える」 
著 者 渡辺 一史 
出 版 筑摩書房 (2018/12/6) 
初 読 2019/01/29 

 人の本質は、助け合って感謝の気持ちを交わしたり、もっと深いところで心を揺り動かされるところにある。人と人が助け合うためには、困っている人と助けてあげられる人の両方が必要で、その意味では人に助けてもらうしかない障害者も確かに世の中の役に立っているのだ。
 屋久島の縄文杉も富士山もそれはそれとしてただそこにあるだけ。それから生きる勇気をもらったり、神々しい美を感じたりするのは、人間の側の営み。人間の共感する力の発露である。
 障害者だって同じ。寝たきりの障害者を前にして、それが意思の疎通もできない無価値なものにじるというなら、それはそう感じる本人の共感力や人間性の欠如を告白するものでしかない。

 相模原のやまゆり園事件を導入に、障害者という存在を通じて人と人のあり方を問う。沢山の示唆があり、考えさせられた。

2019年1月19日土曜日

0160 [愛蔵版]いまはダメでも、きっとうまくいく。

書 名 「[愛蔵版]いまはダメでも、きっとうまくいく。」 
著 者 川北 義則 
出 版 PHP研究所 (2018/11/20) 
初 読 2019/01/19 

 職場のビルに入っているコンビニで、ついうっかり購入。マイナスの気持ちを前向きに切り替えるコツの1つ。なんでも「現在進行形で考える」。今お金に困っているとして、「自分は豊かだ」とは思えなくても「自分が豊かになりつつある」と考えることは出来る。好ましい未来の姿に向けて自分の理性と感情を一致させる。未来は今の積み重ね。苦しさを積み重ねても幸せには辿りつかない。

2019年1月3日木曜日

0159 寒い国から帰ってきたスパイ

書 名 「寒い国から帰ってきたスパイ」 
著 者 ジョン・ル・カレ 
翻訳者 宇野 利泰 
出 版 早川書房 (1978/5/1) 
初 読 2019/01/03 

 重く、痛切であり、非情である。
 大戦後の東西の分裂と冷戦の時代。
 東西ドイツの間に厚くて高いレンガとコンクリートと鉄条網の壁があった時代。今思えば冷戦がいつ熱い戦争になるかと、いつも背筋に冷たいものがあった時代でもあった。
 スイッチ1つで何、何万の命を奪う軍拡戦争の一方で、ひとりの人間が孤独に、人間性を削り合う諜報戦で暗躍する。
 ちょうど年末NHKで 「映像の世紀」の再放送をやっていて、ベルリンの壁をめぐる人々の攻防を、万感の思いで見た。 本書に登場する社会主義者達の教条主義的な決まり文句に、「主義」は人を救わないと改めて思う。

 「僕がこの小説で 、西欧自由主義国に示したかったもっとも重要で唯一のものは 、個人は思想よりも大切だという考え方です 。これを反共的な観念だとの一語で片付けてしまうのは 、怖ろしい誤りです 。どのような社会にあっても 、大衆の利益のために個人を犠牲にして顧みない思想ほど危険なものはありません 。」

 現在、自由主義が勝利を納めたというのはあまりに享楽的な考えで、社会主義の失敗は「社会主義」だから失敗したのではなく人間だから失敗したのだと考えてみる。
 「反共的な観念」だと片付けられたくないというカレに通じる。

 「僕は次のような逆説に興味を感じている 。西欧デモクラシ ーは一個の観念によって貫かれている 。個人はいかなる思想よりも価値の高い存在だとの考え方だ (コミュニズムはその正反対の見解を表明している ) 。この小説を書いた僕の意図は 、西欧デモクラシ ー体制防衛のために 、意識的にその主義を放棄した人々の群像を描くことにあった 」『主義』のあるところに人間の幸せはない。教育は『主義』を教え込む場ではなく、自由な思考を育む場でなければならない・・・・人間社会の営みについて、脱線しつつ考えつつ、の読書となったが、それもル・カレの望むところのような気がする。

2018年12月20日木曜日

0157−58 トランク・ミュージック 上・下

書 名 「トランク・ミュージック 上」「トランク・ミュージック 下」 
原 題 「Trunk Music」1997年 
著 者 マイクル・コナリー 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 扶桑社 (1998/6/1) 
初 読 2018/12/20 


 戻ってきたボッシュ。しかし、彼の女運の悪さがにじみ出るようなこの巻。
 有能な新上司(女性)、有能な新部下(女性)に恵まれ、嬉しくなったのもつかの間、悪運としかいいようのないかの女が再登場。なんでこんなのに未練抱いてるンだよ〜。あんたはちっとも悪くないぞ。なんだろ、世の女の不幸は全部自分のせい、みたいな腐れたロマンチシズムを感じるぞ。目を覚ませ!その女に近寄るな!

 なんていってもしょうがないか。なにしろ、今月発売の最新刊ではマディが大学生になってるんだからな〜。最新巻読みたいのをぐっとこらえて、刊行順。

 ボッシュは家を建て直してウッドローウィルソン・ドライブに戻っている。カーウェンガ・パス、マルホランドドライブなんて地名や道路名に血が騒ぐ。グーグルのストリートビューでウッドローウィルソン・ドライブを走って、ボッシュの家の場所に当たりをつける。(ついでに、コールの家も探してみる。)
 ハリウッド・ボウルから聞こえてくる音楽は、ボッシュの幼少時の思い出を喚起 する。
 それにしても、今回の殺人現場は、ボッシュの家から車で15分とかかるまい。殺人多発地帯である。

 だが、一番の事件は メイクラブがついに「愛を交わした」に進化したことだ!

 それにしても、いや〜今回もまた波乱万丈な事で。今回も失職すれすれでひやひや。これが自分の身に起こったら絶対鬱になる。やっぱりハリーはタフだ。
 後半、筋が込み入ってきてだんだん自分が理解できているのか分からなくなってきた。FBIリンデルは良い味出してる。そしてエレノア。だんだん良い女に思えてきた自分が、なんだか悔しい。いーや。あの女はダメなやつだ。私は騙されないぞ!

《追伸》 「ナイトホークスの複製画が欲しいのだけと壁と金がないの(T ^ T)

2018年12月14日金曜日

0155−56 ザ・ポエット 上・下

「ザ・ポエット 上」書 名 「ザ・ポエット 下」 
原 題 「THE POET 」1996年 
著 者 マイクル・コナリー 
翻訳者 古沢 嘉通 
出 版 扶桑社 (1997/10/1) 
初 読 2018/12/14 
 

マイクル・コナリー完全制覇計画 前半の壁。ここを超えないと先に進めない。
何しろコナリーは刊行順!がお約束。

 殺人事件を追う刑事であった双子の兄が死んだ。本当に自殺なのか?兄を失った新聞記者ジャック・マカヴォイが主人公のノンシリーズもの、とはいえレイチェルも登場し、何しろ犯人はポエットだし。上巻から登場している変質殺人者が犯人のわけなかろう。どこにいるんだ、真犯人。
 だがしかし。
 くぉんのクソ馬鹿野郎があああ!とジャックのスタンドプレーに激怒。とにかく主人公ジャックがどうにもいけ好かないが、きっとコナリーもいけ好かれる主人公を書こうと考えたわけじゃなかろうから、致し方ない。小児性愛者によると見られるばらばら殺人事件とその周辺で起こる警察官の「自殺」はどちらが主でどちらが従なのか。犯人は同じか別々か。怪しい登場人物は怪しすぎるのではなから除外。真犯人ポエットはだれだろう?

 忘れたと思っていた「メイクラブ」に「うんにゃ」も登場。こちらもいい加減にせい! 
 それにしてもいつも思うのだが、どうしてコナリー作品のヒロインはこうも魅力的で無いのだろう?いっそのこと、女なんて出さずに男臭くやればいいのに。

2018年12月7日金曜日

0154 夜明けのフロスト  ジャーロ傑作短編アンソロジー③

書 名 「夜明けのフロスト 」 
著 者 R・D・ウィングフィールド 
翻訳者 芹澤 恵 
出 版 光文社 (2005/12/8) 
初 読 2018/12/07 

 ダグ・アリンを求めて入手。そしてフロスト一気読み。こういうの、なんていうんだっけ、ミイラ取りが・・・、飛んで火に入る・・・、いや、毒をくらわば皿まで! お下品、お下劣、下ネタ満載、との読み友諸氏のレビューに手を出しあぐねていた御仁だが、いやはや、面白いじゃないか。もー、好きになってしまったよ。こういうおっさん大好きだ。こりゃ読むしかないね〜。そうして、また、積読山の標高は高くなる。