2018年10月27日土曜日

0146 EQMM90年代ベスト・ミステリー 夜汽車はバビロンへ

書 名 「EQMM90年代ベスト・ミステリー 夜汽車はバビロンへ」 
出 版 扶桑社 (2000/9/1) 
初 読 2018/10/27 

 レズニック&グラビアンスキ!いい!も〜、色男+いい男+ネコ‘sって最高の組み合わせじゃまいか。短編でも長編読んだくらいのインパクトある。紹介してくれた読み友さんありがとう!

 文庫タイトルになってるブラッドベリの「夜汽車はバビロンへ」は主人公がジタバタしてるけどどうもパッとしない。あとヴァクスの短編は主人公が悪すぎで胸くそ悪いぞ。ラストの「ルミナリア〜」は、ばーさんの平穏な生活がどうなってしまうのか気が気ではなかったが、いやはや。年寄り怖い。

 〈各短編にコメント〉
1 ホールインツー 短編読んでるのを忘れてドキドキしてたら一瞬で終わった。 

2 引きまわし 悪辣なやり口が胸糞だ!

3 銀幕のスター 夢想の世界でフワフワしてるので気が気ではなかったが。そうだよね、女ってこういう風に強くなれる生き物。 

4 名もなき墓 まがう事なきハードボイルド!ヴェイル格好いいぜ。 長編が気になる。 

5 衣装 ・・・すごい面白かった。だけどこれもミステリなのかな?

6石の家の悲劇 この時代だからこその作品。

7追憶 〈追憶〉と名付けられた宝石と人間模様。追憶は美しいか切ないと相場が決まってるが、必ずしも真実ではない。自分に都合のよい過去の思いでにとらわれるよりは前を向け、と若者を諭すジャーナリストの女教授が気持ち良い。

8この葬儀取りやめ サイコーに面白い。レースに出場する犬が中毒しないことを祈る。 

9キリストの涙 由緒正しい冒険譚。多分著者の小説のスピンアウトだと思うが、邦訳はされてないっぽい。残念。

・・・・・・2年前に読んだアンソロジーだが、コメントを読んでもさっぱり内容が思い出せない。私の記憶って。。。。

2018年10月24日水曜日

0145 殺しのグレイテスト・ヒッツ

書 名 「殺しのグレイテスト・ヒッツ」 
著 者 ロバート・J. ランディージ (編集) 
翻訳者 田口 俊樹 
出 版 早川書房 (2007/1/1) 
初 読 2018/10/24 


 1 いきなりケラーの”殺し間違い”「ケラーのカルマ」で始まる本書。いや増すワクワク。しかしケラーさん、再読にもかかわらず、相変わらずじわじわくるなあ。

2 「隠れた条件」 
殺し屋?なのか?

 3 「クォリーの運」
殺しちゃえば良かったのに。。。

4「怒りの帰郷」はまずまず・・・・・だが、ここまで読んで殺しが足りん!と思うワタシは血に飢えているのか? 

5「ミスディレクション」
タイトルとお膳立てに裏読みしすぎてワクワクが不発に終わる。そこか〜。

6「スノウ・スノウ・スノウ」
これは長編でじっくり読みたい。

7「俺の魂に」
終わり方は何パターンかあったと思うが、、、、、惚れた♥️ 

8「カルマはドグマを撃つ」
殺し屋より一枚も二枚も上手。つまり殺し屋が三枚目なのはいただけない。やっぱり主役がカッコよくないとさ。 

9「最高に秀逸な計略」
うぬぼれが強い奴だな〜と思ったのだか。。。。

10「ドクター・サリヴァンの図書室」
この後どうなるのかが気になる。 

11「回顧展」
脳内で彼がパイクまたはジェントリーで再生可能。個人的にはパイク。

12「仕事に叶った道具」
面白かった。目的に叶った道具、つまりは道具選びが使い手の腕なわけだ。

13「売り出し中」
なぜ学校がモーテルの宣伝文句になるんだろう、と首をかしげる。が。それはさておきこれが殺し屋の宿命というものか。 

14「契約完了」
こういう話は好きだ。最後の一文はかえって蛇足かも。 

15 トリはディーヴァー「章と節」
なるほどね〜。だけどいつものディーヴァーに慣らされてる読者は要求水準も高いから・・・・なにはともあれ、ごちそう様でした。

2018年9月30日日曜日

0144 IQ

書 名 「IQ 」 
著 者 ジョー・イデ 
翻訳者 熊谷 千寿 
出 版 早川書房 (2018/6/19) 
初 読 2018/09/30 
 
「アイゼイアは怒りも感じていたが、何より感じたのは圧倒的な悲しみだった。」「赦されたわけではないかもしれないが、勘弁くらいはしてほしいね、とアイゼイアは思った。」

 底辺の、黒人、ギャングスタ、ドラッグ、クラックにまみれてメンツと金の為に他人を巻き込んで殺し合い、スラングとセックスまみれで汚泥のような。。。。。

 人生に抗えずに巻き込まれていくのに、なにこのさわやかさ。一冊丸々アイゼイアの若き苦悩の書だけど、面白いのはこれから!て感じが満々。これから兄を殺した犯人捜しが始まりそうだし、ドッドソンも可愛げがあるし。意外にも、料理で読める。ドッドソンのケイジャン料理が美味そう。『料理の鉄人』ってあっちでも放映してたのね(笑)
それにしても、今ブログにレビューを登録していて、これを読んだのが2年も前だということに、愕然としている。私、2年間なにをしていたのかな〜?

2018年9月15日土曜日

0142−43 完全記憶探偵エイモス・デッカー ラスト・マイル 上・下

書 名 「完全記憶探偵エイモス・デッカー ラスト・マイル 上」
     「完全記憶探偵エイモス・デッカー ラスト・マイル 下」 
著 者 デイヴィッド・バルダッチ 
翻訳者 関 麻衣子
出 版 竹書房 2018年6月 
 
 家族の殺害事件の真相を解明し事件に一応の区切りをつけたデッカーは、ボガートの要請に応えてFBIの民間人チームに加わる事にする。超絶な才能があるとはいえ、社会不適応気味なデッカーをカバーしてチームをまとめるボガートがこれまた好い人で。人が能力を発揮するためには、適材適所と緩衝材が必要なんだよなあ、と本筋とは関係ないところで感にいる。
 事件の方は、デッカーの勘と強引な突っ込みでどんどん時間を遡り、真相に近づいてそうには見えるものの、まだまだ裏がありそう。
 予想を裏切るどんでん返しあり、してやったりなミスリードあり、ラストは爽やかに気持ちよく。この話には母の愛が通底してる。そして父強し。
 アメフト野郎共の巨体もかすむ存在感である。ちょっと突っ込みが足りない、というか悪い奴らが少し物足りないというか、組み合わせた一つ一つのエピソードが熟成してないっていうかなんだけど、十分面白い!域に達してる。それぞれのキャラが立っていて、お父ちゃんなんて主役張れるレベルでした。まだまだシリーズ続きそうだから、熟成は今後の課題って事で、次の翻訳も楽しみです。

2018年9月10日月曜日

0140−41 完全記憶探偵 上・下

書 名 「完全記憶探偵 上」「完全記憶探偵 下」 
著 者 デイヴィッド・バルダッチ
翻訳者 関 麻衣子 
出 版 竹書房 2016年12月 
初 読 2018/09/10 



 プロフットボールプレイヤーのエイモス・デッカー。危険タックルで負傷して、完全記憶と共感覚を持つようになる。
 幸せな家庭を築いていたのに、ある日、突然、それを奪われる。惨殺された家族の記憶が薄れることはない。そんな中、発生した事件が町を震撼させる。そして、浮かび上がってくるエイモスの家族の殺害との関連。

 エイモスが犯人と疑われるんじゃないかとヒヤヒヤしながら読む。 ライトな読み口だけど、内容は中々にハード。完全記憶を持つデッカーがあらゆる情報を記憶してから反芻して、真実を導き出す過程が面白い。最愛の妻と娘を殺されて、人生のすべてを失った男でもユーモアのカケラが残ってるのが救い、というか、むしろそれが彼を救ったのか?ともかくも面白かった。ベリンダが哀れだし、そんなに簡単に操作されちゃうものか、とも思うし、真の黒幕の方の描写が足りないような気もするけど、まあいいか、と。新たな仲間を得たエイモスの今後の活躍を期待する。

2018年8月29日水曜日

0138−39 暗殺者の潜入 上・下

書 名 「暗殺者の潜入 上」「暗殺者の潜入 下」 
原 題 「Agent in Place (Gray Man) 」2018年 
著 者 マーク・グリーニー 
翻訳者 伏見威蕃 
出 版 早川書房 2018年8月 
初 読 2018/08/29


 いきなり、ISISに捕まって処刑される直前、て描写から始まって、前代未聞の危機一髪状態のジェントリー。どうするんだおい。
 今回はCIAの汚れ仕事ではなくフリーランス。CIAの汚仕事の後なので自分の気持ちに適った仕事をして、ちっとは浮上したかったらしいコート。だからって泥沼シリアには行きたくはない。だけど無辜の女子供の命がかかってると言われては、例によって善人スイッチON!

 上巻は敵味方含めて状況説明が多くちょっとダルいが、シリア入りしてからの戦闘描写は流石。ジェントリーの技倆は戦場では隠れようもない。
【お気に入りのセリフ】
「友よ。きみは重大な人間不信に陥ってるよ」
「ああ、どうしてだろうと思っている」
 そりゃあもう。何故だろうね! 

 さて、下巻に入ってからは、 グレイマン無双。コート、やっぱり傭兵部隊が似合ってるね。この寂しがり屋さんは本当はチームが好きなんだよな、とほくそ笑む。
 そして、ここ一番の所では伝家の宝刀「ラングレー直通電話」&米軍全面支援。
 無双過ぎて何だかな〜と思わないでもないが、グレイマンが全力で事にあたれる環境整備って点では申し分ない。

 今回は、フランス人元諜報部員のヴァンさんも何だかな〜の一員。
 全部が全部、コートのお眼鏡に叶うわけもないが、1話で3も回コートを裏切るのは、余りにも危険行為です。命知らずにもほどがある。
 まあ、最後は頑張ったけどね。二度とコートとは仕事できないだろうね。

2018年8月21日火曜日

0137 赤毛のストレーガ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

書 名 「赤毛のストレーガ」 
原 題 「Strega」 1987年 
著 者 アンドリュー・ヴァクス 
翻訳者 佐々田 雅子 
出 版 早川書房 1995年1月 
初 読 2018/08/21 

  今回は性被害に遭った少年を助ける為にバークが奔走する。だけど、隠れた(いや、隠れてないかも)テーマは、幼少時の性虐待がどれだけその子ども(いずれは大人になる)の人格形成に酷い影響を残すか、という例をストレーガの姿を通して示すこと、かもしれない。
 異性関係を支配/被支配でしか捉えられず、自分の肉体を投げ出す事で相手を支配しようとする行動パターン。
 自分の価値をセックスにしか見いだせない。
 他人と信頼や愛情を交わすことができない。
 人間としての成熟を阻害され、幼児性が顕在化している一方で、虐げられたこと、助けてもらえなかった事への怒りがいつも自分の中に渦巻いている。

 ストレーガの存在がとても重い。でもふとした瞬間に癒される事もあるのが人間の不思議でもある。男の子を守って癒した事、信頼に値する人間に出会った事がストレーガの癒しになるといいと願う。そして一服の清涼剤のようなミシェルの存在が素晴らしい。あんな女になれたら良いのに。

2018年8月12日日曜日

0136 フラッド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

書 名 「フラッド」 
原 題 「Flood」 1985年 
著 者 アンドリュー・ヴァクス 
翻訳者 佐々田 雅子 
出 版 早川書房 1994年9月 
初 読 2018/08/12 

 シリーズ1冊目は、主人公バークや彼の仲間の微に入り細を穿つ描写が結構なボリューム。
 ニューヨーク最底辺の特異な連中が、自分の生きる隙間を守る為に蠢いている様が、時にリアルに時にはファンタジーのように語られる。
 書き込みが過ぎてかえってリアリティーが薄れているきらいもあるが、これだけ徹底してディティールを書き込まなくては「フィクション」にできなかったのだろう、と思う。

 ヴァクスは児童虐待専門の法律家で、その実態を世間に知らしめるためにフィクションの体裁で書いた。現実はもっと凄惨だろう。

 それはさておき、フィクションであるからには、バークとその仲間達がとても魅力的である。
 バークは強いのだか弱いのだかよく分からないが、自分なりのルールと矜持に従って、サヴァイバー特有の、危険を察知する独特の感性を頼りにニューヨークの底辺を泳いでいる。聾唖の武道の達人、短軀の黒人の自称「予言者」、知的な美人の男娼、そして『性交園』というとんでもない名前の中華料理屋を営む「ママ」。
 最後の作戦が愉快。あれをラストの仕上げに持ってくることで、「殺し」はバークの本来の仕事じゃないって示してるのかな、とちょっと思った。

2018年8月6日月曜日

0135 スターダスト (ローダンNEO 1)

書 名 「スターダスト (ローダンNEO 1)」 
著 者 フランク・ボルシュ 
翻訳者 柴田さとみ 
出 版 早川書房 2017年7月 
初 読 2018/08/06 
 
 言わずとしれた、ローダンシリーズのリブート。 ローダンNEO。本家ローダンも、グインサーガも早々にリタイアしてしまった私には、天啓か?今からなら頑張れるかもしれない。しかし、にしても、この本が刊行された時点で、すでに原作は150話を超えているとか。本家は3,000話に近くなっているとか。NEO、いっそのことダイジェストで良いんじゃないか?死ぬまでに終わるんだろうか? とはいえまずは面白いと思えるかどうか、だ。かなり懐疑的だったのだけど、クレストとのファーストコンタクトで、ローダンが知的生命体の持つであろう叡智について語ったところで、がっつり掴まれた。そして、地球への生還シーン、最後に目にした追尾ミサイルのマークは母国アメリカ国旗。エピローグで腕からアメリカ合衆国の旗をむしり取って捨てるローダン。国家主義・民族主義が染みついたおバカさんじゃないところが素敵じゃないか。異星人の乗組員がみんなゲームにハマって正体失ってる、とか、クレストの病気の治療が人間なら可能、とか、ちょっと荒唐無稽に過ぎる感じはするけど、ごりごりのハードSFじゃないわけだし、そこんところは大甘にみて。


2018年8月5日日曜日

0134 女王陛下の航宙艦

書 名 「女王陛下の航宙艦」 
原 題 「ARK ROIYAL」 2014年
著 者 クリストファー・ナトール 
翻訳者 月岡 小穂 
出 版 早川書房 2017年6月 
初 読 2018/08/05 
 
 取り敢えずこれだけは言うぞ。邦訳タイトルが良くない!原題は『Ark Royal』、HMS Ark Royal》はイギリス海軍伝統の空母の名称だ。であるから、この船も宇宙空母もしくは航宙母艦だが、そもそも原題タイトルはあえてHMSが付いていない、としか思えないのに、そこを敢えて「女王陛下の」、とやるとはどんな覚悟なのかと小一時間。イギリス海軍の(この場合には宇宙軍の)艦船にはすべてHMSが付くとおぼしいのに、全部に「女王陛下の」と枕詞を付ける気か?・・・・・、と店頭平積みを見た瞬間、またかよ、といささかウンザリしたにもかかわらず、つい買ってしまったのだったが・・・・・まあ、いいや。毒を吐くのはこれくらいにしておかないと。

ではさて、ストーリーですが。
酒が飲みたい。とにかく酒が飲みたい。ほぼアル中の飲んだくれの老艦長率いる老朽航宙母艦が人類の最後の望みの綱となる。人類は、突然の宇宙人の攻撃に立ち向かえるのか?という人類存亡の危機がイギリス風味のやや安穏とした口調で語られる
 現在の国際情勢をほぼそのままで、人類は外宇宙に進出している。だから宇宙軍も「地球軍」ではなくあくまでイギリス軍、ロシア軍、中国軍、、、、となって協調性がない。
 そんな中メキシココロニーやロシアコロニーが宇宙人の攻撃を受けて各軍協力を余儀なくされる。とはいえ、その当たりの描写はとことん乏しい。
 艦長の座を狙う気満々だったやり手若手のフィッツウィリアム副長は、当初の思惑こそ浅はかだったが、老艦長に仕えると覚悟を決めてからは有能で忠実な部下としての本領を発揮、艦長を支えて艦務に邁進。この辺りは、伝統だよなあ、と思う。部下の有能さと艦内の人間関係は気持ち良い。
 しかし、戦闘描写は冗長で行き当たりばったりの感がある。これはひょっとして、物語中に登場するおバカな従軍記者達並みに、自分が状況把握が出来ていないせいなのか?と疑惑が頭をもたげる。
 行く先々で予想された異星人からの反撃がなくその幸運に助けられるが、いくら人間常識の範囲外の敵が相手とはいえ、幸運すぎないか?続刊を読むかどうかはちょっと悩ましいところ。とはいえ、ファーストコンタクトものとして、言語も文化も思考様式も異質でまったく意思疎通もできない異星人と、戦争するにしても講和の道を模索するにしても、ありきたりな宇宙戦争でない話を読ませてほしいもの。
 このシリーズを9冊出すのなら、「栄光の旗のもとに」ユニオン宇宙軍戦記も続刊の出版をお願いしたい。それはもう。是非。
【一応の覚え書き】
 なぜか同時期一斉に、宇宙戦記もの、3部作の1巻目がハヤカワから刊行。
『栄光の旗のもとに』『暗黒の艦隊』『女王陛下の航宙艦』
 この、アークロイヤルは、艦長のキャラが、『暗黒の艦隊』ジャクソン艦長とかぶる。副長フィッツウィリアムと『栄光の〜』の艦長マックス・ロビショーがもろキャラ被り。艦隊行動については、彷徨える艦隊と被る。まあ、それぞれの本を読んだ順番に影響されているのだが、総じて、『女王陛下の航宙艦』が「何かに似ている」という印象を抱く。それでも、個人的には面白ければ良いので、よろしく頼みたい。(何をだ?)