2021年5月6日木曜日

0267 接続戦闘分隊: 暗闇のパトロール (ハヤカワ文庫SF) 

書 名 「接続戦闘分隊」 
原 題 「THE RED  First Light」2013年 
著 者 リンダ・ナガタ 
翻訳者 中原  尚哉 
出 版 早川書房 2018年9月 
初 読 2021年5月6日
文 庫 553ページ 
ISBN-10 4150121982 
ISBN-13 978-4150121983

 近未来SF,というかもろサイバーパンク。生身の人間に感覚器官を拡張する機器を装着してネットワークに直接接続する強化兵士のユニット「リンクド・コンバット・スクワッドー接続戦闘分隊−」による戦い、と思いきや、そういう近未来ガジェットが当たり前となった軍隊でさらに進んだサイバネティクスが実験的に導入され、よりサイボーグに近くなった主人公。
 冒頭、アフリカの局地戦から、軍需産業の思惑に振り回されて重傷を負う主人公。負傷により、より進んだサイバネティクス義肢を装着することになり、治療—訓練—模擬戦・・・・・と進んだと思いきや、突然の小型核爆弾による同時多発テロの発生。アメリカは大混乱・・・・。しかしてその原因が、主人公シェリーの脳内をもハックしている通称「レッド」・・・クラウド上に存在している正体不明のハッキングソフトウェアの排除のための、民間軍需産業側の暴走・・・? とにかく斜面を転がる雪玉の如く、どんどん話が大きくなっていく。そして、なんと、完結しない! 米国では3部作として出版され、またしてもハヤカワ、一冊目しか翻訳出版していない模様だ。『栄光の旗のもとに』の二の舞。面白いだけに、中原氏の翻訳作品なだけに、残念、というか、もはやハヤカワが恨めしい。
 こちら読者の方は、もとは1冊のペーパーバックだったのを無理矢理上下巻、とか薄くて高い上中下巻なんかを、文句も言わずに買ってやってるじゃないか。それなら出版社だって、3部完結の本なら3部腹をくくって出してほしいよね。そんなわけで、この一冊では、まだまだ物語は端緒についたばかり、の風情です。これからどれだけストーリーが変容していくのか、想像持つきません。くっそー、続き読ませてくれよ。
 一つだけ。現代の自動車爆弾テロもイヤだが、それと同じ感覚で核爆弾テロが可能な世の中はもっとイヤだ。そんな世の中がこないよう、やはり核開発と核拡散は徹底的に管理すべきだと思う。


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