著 者 柴田 よしき
出 版 講談社 2001年10月
文 庫 496ページ
初 読 2022年8月22日
ISBN-10 4062733064
ISBN-13 978-4062733069
そのハナちゃんは、新宿の裏町の無認可保育園の雇われ園長で、新宿の夜の女達が預けにくる子どもたちを守るために孤軍奮闘している。保育園の経費を賄うために、睡眠時間を削って、あぶない探偵仕事を頼まれながら。
そのハナちゃんの経歴が、じつは警視庁の元刑事で、同僚を射殺して職を追われていたり、その保育園が、某暴力団の先の組長の妾だったおばあさんが経営するものだったり、その園の建物が乗ってる土地の所有権が、某イースト興業つう超絶ブラックで反社な会社に移って、美貌の睡眠薬中毒の社長(兼暴力団若頭)に土地の買い取りを巡って顔面蹴り上げられたり、とまあ、とにかくただ事ではない。
『聖なる黒夜』やその続編の短編では、まだ表社会と裏社会の狭間で揺れていた練も、ここでは、もはや真っ黒黒な正真正銘のヤクザである。だがしかし、その彼がチラ見せする優しさや弱さに、またそそられるのだ。ああもう、麻生さんなにやってんのよ。なんで一緒に闇落ちして、練を抱いてやんないのよぉぉぉぉぉ、という私の心の雄叫びを聴きやがれ(笑)
ハナちゃんの事件簿、ももちろん面白いのだが、それよりも、『聖黒』『RIKO』『ハナちゃん』で構成されているこの界隈の群像が面白い。某下町のうらぶれたビルに職住共用で悶々と悩みながら暮らす硬派でホモの元刑事の探偵やら、極悪非道な美形のヤクザやら、そしてかつて大物ヤクザの愛人だった美人の医者なんかが蠢いているのだ。あ、あと私は百々井さんが結構好きだな。で、それはさておき、ハナちゃんである。
子どもを預ける母たちから取る保育料だけでは到底園の経営は維持できないから、ハナちゃんは給料をもらうどころか、園の赤字補填のために探偵の裏稼業で稼ぐ日々。頼まれ仕事はヤクザの殴られ役に始まり、家出少女の捜索、家出少年の追跡・・・・だったはずなのに、なぜか厄介な事件に巻き込まれていく。だがそのネタがね。
いや、これは、もっぱらワタクシ事なんだが、栗本薫の「僕らの時代」を読んだ次に、あえて「僕らの気持」を読まずにこの本を手にとったのにこのネタかよ!・・・・と。いささかげんなりしたのは事実だ。
いや、ハナちゃん大好きです。おもしろいよ!オススメ!
だけど、ゲイの恋愛に、往年の大漫画家ネタに、コミケに二次・・・・と、なんかトッピング盛りすぎじゃねーか?????とも思ったのだ。もう、胸焼けしちゃう。ま、面白いんだからいいけどね!
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