2024年3月27日水曜日

0474 警視庁公安J (徳間文庫)

書 名 「警視庁公安J 」
著 者 鈴峯紅也
出 版 徳間書店 2015年12月
文 庫 517ページ
初 読 2024年3月21日
ISBN-10 4198940517
ISBN-13 978-4198940515
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/11979734  

 いくらなんでも芝居がかりすぎてないか、とか文章が気障で気恥ずかしいの一歩手前、とか思わないでもないが、こういう本はファンタジーが入ったフィクションと割切って、入り込んでしまえば無問題なはず! 日本人にあるまじき特異な経歴と身元(曰く「華麗なる一族」)故に警視庁公安で「飼い殺し」司令が出ている「J」こと小日向純也のアクション&アドベンチャー。いたるところで多用される「◯◯にして△△」という表現が鼻につくったらないが、それもこれも作者の個性と思うべし。
 PTSDやPTGの設定も、あんまり純也の個性に現実感を持たせることには成功してないような気がするし、6歳から10歳を戦場でっていうのもどうかと思う。傭兵部隊とは言え、先進国フランスの部隊がそんな子供引き回してていいのか?アリなのか? せめてティーンエイジャーくらいまで戦場で過ごした設定のほうがよかったんじゃあ・・・・とか、色々、いろいろ注文をつけたくなる。だけど、10歳というのは日本に帰国して感動秘話的にマスコミ受けして、かつ家族と再統合をはかることができる年齢としてはギリギリかも。そもそもリアリティを追求している小説じゃないし、そこにこだわっちゃうのは、正しくない。
 で、とにかくいろいろ飲み込んで、とりあえず面白い。ちゃんとエンタメとして成立している。荒唐無稽だしかなり際どいけど。だけど、もろもろ凌駕して、きちんと面白い。日本を舞台にしてここまでスカッっとスケールが大きい小説もあまりない。
 繰り返して言うが、面白いです。
 設定が荒唐無稽な反面、時代背景とか歴史公証的なところ、題材はちょっとアンタッチャブルではあるけれど堅実で、そこがまた面白いと思う。
 女性の描きかたは、どうもいまいち。多分におっさん臭い嗜好を感じる。それに犯人に全部語らせちゃうのも好みではないんだけど。
 でもまあ、面白いし、続きは全部読むでしょ。

 ところで純也の部下が鳥居と犬塚と猿丸・・・・鳥と犬と猿ってコレ桃太郎か? 
 なるほど、腰のきびだんご(純也の私財)で取り込まれて、正義の桃太郎と一緒に鬼退治をする話なのね(笑)
 きび団子ならぬ、大金さえあれば何とかなる。(笑)BMWのクーペが何台壊れようが、帝都(帝国)ホテルのエントランスが大破しようが、ほとんどポケットマネーで公安を運用しようが。『隠蔽捜査』シリーズを踏破した後にこっちを読むと、価値観が真逆で変な笑いがこみ上げてくるよ。いや〜小説って、ホントに何でもできて面白いですねって思います。

登場人物の中では、純也に指を落とされた猿丸さんと、春子お祖母様が好き。

あ、だけとちょっと気になったのは。

それは「公文書偽造」ではなく「有印私文書偽造」ではないだろうか。
あと、金相場は3000円/キロではなく多分/gだと・・・

忘備メモ・純也の部下兼見張り役(元)
 鳥居洋輔(メイさん)
 犬塚健二(シノさん)
 猿丸俊彦(セリさん)

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