2021年1月4日月曜日

0244 ぼくのお姉さん (偕成社)

書 名  「ぼくのお姉さん」 
著 者  丘 修三 
出 版  偕成社  2002年9月  
初 読  2018年6月17日 
単行本  186ページ 
ISBN-10  4036524100 
ISBN-13  978-4036524105

 第一話の「ぼくのお姉さん」で、お姉ちゃんのひろちゃんが初めてのお給料で封筒を出すシーン、涙がこみ上げた。
 ダウン症という障害を得て生まれたひろちゃんを17歳になるまで一生懸命に守り育ててきた家族の、そこまで積み重ねてきた時間の重さ、大切さ。
 でも、この本を読んで思ったことがある。自分の思ったことを、口にできない。正しいと思ったことを行動できない。悪いと思っているのに謝れない。これだって、生きていく上では「障害」ではないか。
 障害は、知恵が遅れていること、しゃべれないこと、歩けないこと、だけではない。人が自分の心のままに、穏やかに、正しく、幸せに生きていくうえで邪魔をするものはすべて「障害」だし、そういう意味では人はみな大なり小なりの障害を抱えている。
 この本に出てくる、嘘をついてしまう子、いじめてしまう子、いじめをもっと弱いものに転嫁してしまう子、みんな苦しい心を抱えている。
 この本で出てくる子の中で、多分一番しあわせをたくさん感じているのはひろちゃんじゃないだろうか。人の「しあわせ」とはなんだろう、ということを考えずにはいられない。 

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