2018年8月6日月曜日

0135 スターダスト (ローダンNEO 1)

書 名 「スターダスト (ローダンNEO 1)」 
著 者 フランク・ボルシュ 
翻訳者 柴田さとみ 
出 版 早川書房 2017年7月 
初 読 2018/08/06 
 
 言わずとしれた、ローダンシリーズのリブート。 ローダンNEO。本家ローダンも、グインサーガも早々にリタイアしてしまった私には、天啓か?今からなら頑張れるかもしれない。しかし、にしても、この本が刊行された時点で、すでに原作は150話を超えているとか。本家は3,000話に近くなっているとか。NEO、いっそのことダイジェストで良いんじゃないか?死ぬまでに終わるんだろうか? とはいえまずは面白いと思えるかどうか、だ。かなり懐疑的だったのだけど、クレストとのファーストコンタクトで、ローダンが知的生命体の持つであろう叡智について語ったところで、がっつり掴まれた。そして、地球への生還シーン、最後に目にした追尾ミサイルのマークは母国アメリカ国旗。エピローグで腕からアメリカ合衆国の旗をむしり取って捨てるローダン。国家主義・民族主義が染みついたおバカさんじゃないところが素敵じゃないか。異星人の乗組員がみんなゲームにハマって正体失ってる、とか、クレストの病気の治療が人間なら可能、とか、ちょっと荒唐無稽に過ぎる感じはするけど、ごりごりのハードSFじゃないわけだし、そこんところは大甘にみて。


2018年8月5日日曜日

0134 女王陛下の航宙艦

書 名 「女王陛下の航宙艦」 
原 題 「ARK ROIYAL」 2014年
著 者 クリストファー・ナトール 
翻訳者 月岡 小穂 
出 版 早川書房 2017年6月 
初 読 2018/08/05 
 
 取り敢えずこれだけは言うぞ。邦訳タイトルが良くない!原題は『Ark Royal』、HMS Ark Royal》はイギリス海軍伝統の空母の名称だ。であるから、この船も宇宙空母もしくは航宙母艦だが、そもそも原題タイトルはあえてHMSが付いていない、としか思えないのに、そこを敢えて「女王陛下の」、とやるとはどんな覚悟なのかと小一時間。イギリス海軍の(この場合には宇宙軍の)艦船にはすべてHMSが付くとおぼしいのに、全部に「女王陛下の」と枕詞を付ける気か?・・・・・、と店頭平積みを見た瞬間、またかよ、といささかウンザリしたにもかかわらず、つい買ってしまったのだったが・・・・・まあ、いいや。毒を吐くのはこれくらいにしておかないと。

ではさて、ストーリーですが。
酒が飲みたい。とにかく酒が飲みたい。ほぼアル中の飲んだくれの老艦長率いる老朽航宙母艦が人類の最後の望みの綱となる。人類は、突然の宇宙人の攻撃に立ち向かえるのか?という人類存亡の危機がイギリス風味のやや安穏とした口調で語られる
 現在の国際情勢をほぼそのままで、人類は外宇宙に進出している。だから宇宙軍も「地球軍」ではなくあくまでイギリス軍、ロシア軍、中国軍、、、、となって協調性がない。
 そんな中メキシココロニーやロシアコロニーが宇宙人の攻撃を受けて各軍協力を余儀なくされる。とはいえ、その当たりの描写はとことん乏しい。
 艦長の座を狙う気満々だったやり手若手のフィッツウィリアム副長は、当初の思惑こそ浅はかだったが、老艦長に仕えると覚悟を決めてからは有能で忠実な部下としての本領を発揮、艦長を支えて艦務に邁進。この辺りは、伝統だよなあ、と思う。部下の有能さと艦内の人間関係は気持ち良い。
 しかし、戦闘描写は冗長で行き当たりばったりの感がある。これはひょっとして、物語中に登場するおバカな従軍記者達並みに、自分が状況把握が出来ていないせいなのか?と疑惑が頭をもたげる。
 行く先々で予想された異星人からの反撃がなくその幸運に助けられるが、いくら人間常識の範囲外の敵が相手とはいえ、幸運すぎないか?続刊を読むかどうかはちょっと悩ましいところ。とはいえ、ファーストコンタクトものとして、言語も文化も思考様式も異質でまったく意思疎通もできない異星人と、戦争するにしても講和の道を模索するにしても、ありきたりな宇宙戦争でない話を読ませてほしいもの。
 このシリーズを9冊出すのなら、「栄光の旗のもとに」ユニオン宇宙軍戦記も続刊の出版をお願いしたい。それはもう。是非。
【一応の覚え書き】
 なぜか同時期一斉に、宇宙戦記もの、3部作の1巻目がハヤカワから刊行。
『栄光の旗のもとに』『暗黒の艦隊』『女王陛下の航宙艦』
 この、アークロイヤルは、艦長のキャラが、『暗黒の艦隊』ジャクソン艦長とかぶる。副長フィッツウィリアムと『栄光の〜』の艦長マックス・ロビショーがもろキャラ被り。艦隊行動については、彷徨える艦隊と被る。まあ、それぞれの本を読んだ順番に影響されているのだが、総じて、『女王陛下の航宙艦』が「何かに似ている」という印象を抱く。それでも、個人的には面白ければ良いので、よろしく頼みたい。(何をだ?)


2018年7月31日火曜日

0133 長いお別れ

書 名 「長いお別れ」 
原 題 「The Long Goodbye,」1953年 
著 者 レイモンド・チャンドラー 
翻訳者 清水 俊二 
出 版 早川書房 1976年4月 
初 読 2018/07/31 

 心優しくも不器用な男達の友情。というよりはむしろ愛に近いような気すらする。
 最初の数章と最後の一章で凄く良い本を読んだような気になったが、中盤は冗長だし、アメリカ白人上流階級の排他的・退廃的・モラル崩壊してる様子が、弱冠不愉快ですらある。女3人のそれぞれの描写も、私の理解からは離れていてイライラ。
 マーロウもイライラしているが、そうか、友の死を巡る状況に実は怒っているのか。

 そんな上流連中に振り回されつつも閃きと執念で体を張り、友とその妻の死の真相に迫ろうとした結末は、無情だった。行き所のない静かな怒りと喪失感が読後もずっと胸に残る気がする。

2018年7月28日土曜日

0132 銀河英雄伝説  3 雌伏編

書 名 「銀河英雄伝説  3 雌伏編」 
著 者 田中芳樹 
出 版 創元SF文庫 《初版は徳間ノベルズ 1984年4月》 
初 読 1984年頃?   再 読 2018/07/28

 再読企画《銀英伝》  往年のファンとしては読み方がマニアックになるのは否めない。
 3巻で特筆すべきはこれ!「オーベルシュタインの犬」。 
 人名録に「オーベルシュタインの犬」「オーベルシュタインの犬の飼い主」とそれぞれ記載されても可笑しくないほどのインパクト。 
 あと一つはやはり「黄色いばらの花束」。 
 以来初読より30余年。定期的に衝動的に黄色いバラの花束を求めたくなる。例え花言葉が「嫉妬」であっても。 
 シュトライトとリュッケの副官コンビ結成もこの巻。シュトライトは好きだ。色々はしょってるがラストのミュラーの勇姿が光る。
「何だ、この犬は?」
「は、あの、閣下の愛犬ではございませんので?」
「ふむ、私の犬に見えるか」
「そうか、私の犬に見えるのか」。
 オーベといい、フェルナーといい、目的のためなら手段を選ばない現実主義者が私は好きだなあ。でも、こんな面もあるのよ。
 そしてキャゼルヌ先輩は、トリューニヒトの隠しようのない悪臭に隠れる致命的な毒に気付き始める。そうそう、査問会という不毛なイベントもあった。とにかく、嫉妬羨望で人が人の足を引っ張るのはかくも醜いものなのだ。
 そうだ、もう一つ思い出した。要塞をワープさせるんならいっそのことイゼルローンを飛び越えて同盟側出口に布陣出来なかったものか、と思うんですがね?一応イゼルローン回廊を飛び越える技術はまだないって設定なんですよね。だけど要塞を飛び越えるくらいは出来そうじゃないですか。 と、30年越しの疑問を口にしてみる。

2018年7月26日木曜日

0131 湖中の女

書 名 「湖中の女」 
原 題 「The Lady in the Lake」1943年
著 者 レイモンド・チャンドラー 
翻訳者 清水 俊二 
出 版 早川書房 1986年5月 
初 読 2018/07/26 

 これはすんなり読めて面白かった。
 最後の2行目までは本格ミステリー。最後の1行でハードボイルドになった感じです。どんでん返しも王道で好みでした。
 毎度ハラハラさせられるマーロウ、今回も後頭部を強打されて昏倒。毎回、後遺症もなく生きているのが不思議だ。パットンがいい味出してる。
 タイトルからもう、湖に女が沈んでいるのはお察しだし、あとは発見のタイミングと誰が沈んでいるのかの問題。
 そして身長・スタイル・髪の色や髪型が良く似ている女が二人、とくれば、どなたかも書かれていたけど、これはもう、入れ違いになっているに違いない。そこまで分かっていても、やっぱり謎解きが面白い、本格ミステリーな仕立てだった。でも、最後の1行できっちりハードボイルドに持ってくるところがさすがの巨匠。

2018年7月24日火曜日

0130 かわいい女

書 名 「かわいい女」 
原 題 「The Little Sister」 1949年 
著 者 レイモンド・チャンドラー 
翻訳者 清水 俊二 
出 版 創元推理文庫 1959年6月 
初 読 2018/07/24 

  読むのが長引いたせいか、自分が疲れていたせいか、ストーリーに没入出来ずやや辛い読書になってしまった。3人の女が代わる代わるマーロウに絡んでくるが、次々と出てくる登場人物との相関が複雑で、なかなか読み解けない。いちばん悪い(かわいい)女は誰?猫の目のように表情をかえる女達に、マーロウ共々翻弄された。もうちょっと余裕のあるときに再読したい本。それにしても毎度、なぜマーロウが殺されないのか不思議。タイトルの「かわいい女」は誰にとって?ラガーディ医師にとって、だったのか。もっとも、原タイトルはLittle Sisterだった。 「愛しき女」がムース・マロイにとってだったように。そういえば最初は「兄を探して」という兄思いの可愛い妹から始まったのだった。もっとも「手に負えない女」はみんな、マーロウにかかったら「かわいい女」に変換されるのかも??

2018年7月13日金曜日

0129 大いなる眠り

書 名 「大いなる眠り」 
原 題 「The Big Sleep,」1939年 
著 者 レイモンド・チャンドラー 
翻訳者 双葉 十三郎 
出 版 創元推理文庫 1959年8月 
初 読 2018/07/13 

このチャンドラーのシリーズは、東京創元社の「創元 夏のホンまつり @東神楽坂」でまとめて入手。良い買い物だった。そして良いイベントだった。

 チャンドラーの長編第一作。1939年の作である。
 一作目にしてこれ!富豪の老将軍の依頼は娘の一人に関わる恐喝事件。しかし、本当に老人の心を捉えていたのは、もう一人の娘の婿の消息だった。
 マーロウが恐喝事件を探ると、意図しない殺人が起こっていき。。。
 依頼されたわけではない娘婿を探すとも無く探すうちに、見えてくる一人ひとりの情と思惑。これだけワルが沢山いて、しかも嫌なやつがいない。真相は小さく空しく、解決策はない。ただ「大いなる眠り」を強く、優しい探偵が見つめる。
 雨とスモッグを重く含んだ冷たく汚い濃霧に包まれるような、濃厚な読後感だった。古めの台詞が面白い。「モチだぜ」昔はナウくていなせな言葉だったんだね。拳銃を「パチンコ」と言っていた時代があったのか。「パチンコ」「はじき」「チャカ」の俗語の中ではいちばん古いとな。事件を解決する話、ではなく、世の無常とマーロウのかっこよさを堪能する話です。今時、こういう格好良さの男の話はなかなか書けないんじゃないかなあ、とも思う。

2018年7月7日土曜日

0128 さらば愛しき女よ

書 名 「さらば愛しき女よ」 
原 題 「Farewell, My Lovely」1940年 
著 者 レイモンド・チャンドラー 
訳者 清水 俊二 
出 版 早川書房 1976年4月 
初 読 2018/07/07 

 ラストのマーロウとランドールの会話がもの悲しく胸に残る。これがハードボイルドか、と得心。男達は皆魅力的なのに、女はみんな猫が人間に化けてるみたいな造形だ(笑)。チャンドラーにとっても女は猫と同じくらい不可思議な生き物だったんだろう、と思うことにする。なので、アンの描写がイマイチなのは、仕方ない。翻訳のせいもあるかもしれな。古き良き時代の男の世界。1940年の作。本書は1976年ハヤカワ刊の清水俊二訳。言いたかないけど、この本が書かれたとき、日本は戦争真っ盛り、パールハーバーも目前。この時、日本はどんな世相だったのだったけ?と、およそこの本には関係ないことを思う。
 

2018年7月3日火曜日

0127 プレイバック

書 名 「プレイバック」 
原 題 「Playback」1958年 
著 者 レイモンド・チャンドラー 
翻訳者 清水 俊二 
出 版 早川書房 1977年8月 
初 読 2018/07/03 

 レイモンド・チャンドラー。
言わずとしれたハードボイルドの大家の作を初めて読む。
なのに、ついうっかり、最晩年の最後の長編から読んでしまった。 そのせいかどうかは判らないが、あまり謎解きには重きを置いていないようだ。テーマはフィリップ・マーロウの生き様。 トレンチコートの襟を立て、斜めに帽子を被ってそうな、まさにこれぞハードボイルド。
 「タフでなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない。」 冒頭の台詞をが全てを語っている。 

 事件は起こったような起きなかったような。
最初から最後までどことなくモヤモヤしているが、マーロウの生き様、という一点では書き切ってる。なぜ、そこまで女を守ろうとする?そこにやはり時代を感じる。  今時は、生きてる女は簡単には守らせてくれない。だからきっと死体にされてしまうのだろう、と最近のハードボイルドを思う。
 村上春樹氏の新訳版とも、読み比べしてみたい。


2018年6月30日土曜日

イアン・ランキン 作品一覧



発表

作品名

邦題

シリーズ

注記

1986

The Flood

1987

Knots and Crosses

紐と十字架

リーバス警部1

文庫

1988

Watchman

1991

Hide and Seek

影と陰

リーバス警部第2

文庫

1992

Tooth and Nail

リーバス警部第3

Strip Jack

リーバス警部第4

A Good Hanging and Other Stories

短編集

1993

Witch Hunt

ジャック・ハーヴェイ名義

The Black Book

リーバス警部第5

1994

Bleeding Hearts

ジャック・ハーヴェイ名義

Mortal Causes

リーバス警部第6

1995

Blood Hunt

ジャック・ハーヴェイ名義

1996

Let it Bleed

血の流れるままに

リーバス警部第7

文庫

1997

Black and Blue

黒と青

リーバス警部第8

文庫

1998

The Hanging Garden

首吊りの庭

リーバス警部第9

ポケミス

1999

Dead Souls

死せる魂

リーバス警部第10

ポケミス

2000

Set in Darkness

蹲る骨

リーバス警部第11

ポケミス

2001

The Falls

リーバス警部第12

ポケミス

2002

Resurrection Men

蘇る男

リーバス警部第13

ポケミス

Beggars Banquet

貧者の晩餐会

短編集

2003

A Question of Blood

血に問えば

リーバス警部第14

単行本

2004

Fleshmarket Close

獣と肉

リーバス警部第15

単行本

2005

Rebus's Scotland: A Personal Journey

2006

The Naming of the Dead

死者の名を読み上げよ

リーバス警部第16

ポケミス

2007

Exit Music

最後の音楽

リーバス警部第17

ポケミス

2008

Doors Open

2009

A Cool Head

The Complaints

監視対象

マルコム・フォックス第1

文庫

Dark Entries

2011

The Impossible Dead

偽りの果実

マルコム・フォックス第2

文庫

2012

Standing in Another Man's Grave

他人の墓の中に立ち

リーバス警部第18
マルコム・フォックス第3

ポケミス

2013

Saints of the Shadow Bible

寝た犬を起こすな

リーバス警部第19
マルコム・フォックス第4

ポケミス

2015

Even Dogs in the Wild

リーバス警部第20
マルコム・フォックス第5

2016

Rather Be the Devil

リーバス警部第21
マルコム・フォックス第6