2026年1月1日木曜日

2026謹賀新年 昨年の反省と今年の目標的なこと

 明けましておめでとうございます。


 どうにも、新しい年が来た、という感慨が持てないまま、1月1日が終わろうとしている。
 新年って、こんなに、ぼやーっとはっきりとしないものだったっけ?と頭の中が「?」で一杯だ。
 もちろん、新しい年の訪れになにか変化があったはずもなく、私の感覚が鈍ったというか、貧したというか。単に疲れた、とも言うか。


 昨年は色々とありました。それはもう、言うまでもなく、母のこととか母のこととか母のこととかね。まるまる3年間、通いで母の介護(というか見守りというか、後見というか、家事援助というか。)を行い、母の日常生活が滞りなく進むようにまさに黒子のように動いてきた。それでももはや安全な生活の維持は困難、と見定めて、短期間ではあるが同居に踏み切り(というか自分の家との二重生活だったけど)、グループホームの見学から入居までを進めた。母がGHに入居したあと、家の中を一気に片付けたのは良いが、一週間の過重な労働で右肘が腱鞘炎になった。すでに3ヶ月が経過しているが、まだ完治していない。

 母の家は、私にとっては父の思い出の方が強い。
 ほとんど家から出ること無く父が過ごしてきた居間は、応接セットのソファがボロボロになり、父の大切にしていたオーディオセットはスピーカーのウレタンが劣化して崩れていた。
 母は家の中をいじられるのを嫌がったので、母が居るうちはできなかったが、母の施設入居後、真っ先にやったのが、応接セットの修理と、スピーカーの修理だった。
 それぞれ、一ヶ月ほどで修理先から戻ってきて、室内は父の生前の姿をすこし取り戻した。

 父のスピーカーは、それなりに良いものだったようで、修理から戻ってきてから、父の秘蔵のレコードを掛けてうっとりしている。

 母は認知症高齢者グループホームで落ち着いて過ごしている。たまに面会にいくが、自分の家のことを気にする様子はあるものの、「帰りたい」とは思わないらしい。こんなにもGHの環境に馴染んでくれると、こちらとしてはちょっと拍子抜けするくらいであるが、これも施設が穏やかに生活を支えてくれるからだろうと感謝している。

 もちろん、こうなってもらえるように、入居に当たってはかなり細かいディティールまで作り込んだのだから、頑張った甲斐があった、と思ってもいいんだよな。自画自賛ではあるけれど。

 そんなこんなが2025年だった。

 そうそう、もう一つ。

 母の家・・・ということは私が育った団地なんだが、そこで暮らしてる中学校時代からの友人との交誼が復活した。彼女も自宅でお母様の介護をしていて、お互いに情報交換したり、励まし合ったり、飲んだり喰ったり(笑)、会う時間の無いときにはSNSで他愛のないやり取りをしたり。お互いに、内にこもりがちな介護のあれこれをオープンにしあうっていうのは、必要だと思った。なんかねえ、「私はがんばってるぞ」「頑張ってて偉いねえ」とお互いに言い合うだけでも、荷が軽くなる、というか、許されてる感があるというかね。
 あと、友人と再会・・・・に端を発して、ウイスキーを飲む楽しみを覚えた。これは特記しておかないと。

 そんな2025年だったのだけど、読書の面では、日本産ファンタジーで年が明け、乾石智子氏の作品を読み、そこから、自分のファンタジーの原点と思ってル=グウィンに至ったものの、そこで力尽きた感がある。

 ル=グウィンの作品については、散々レビューを書いたのでもはやお腹いっぱいではあるが、正直、子供心の憧憬のまま、置いておけばよかったかもなあ、と思わないでもない。

 素晴らしい作家であることには全然異論はないけれど、まとめて読んだら食傷した。なんだかどれも似ている様な気がするんだよなあ。まだ全作品は読めていないし、もの凄く楽しみにしていたのに、昨年翻訳が発行されたゲド戦記のシリーズ最終巻「火明かり」は結局通読できていない。もっとも収録されている論文部分については、国立国会図書館からコピーを取り寄せてすでにレビュー済みだけど。

 ル=グウィンの作品はジェンダー論と切っても切り離せないのだ、とは理解したが、ジェンダーとは、その人の文化・環境・生育によって人の数だけあって、ル=グウィンのジェンダー観に関しては、それはそれは重いものを感じるとは言っても、それは所詮は「私のものではない」という感じもとても強かった。白人の、アメリカ人の、キリスト教文化圏の、知識人階級の、彼女の生きた時代の、彼女の家庭と生活環境と彼女自身の性格や感じ方に由来する固有のジェンダーであって、私は彼女を理解しようと努めることはできても、まるっと受けとめることはできない。そんな感じだ。そういう、大きな時代的、社会的、構造的なものであっても極めて個人的なものでもあるものを、「ジェンダー論」として取り扱うことの難しさに、この道の研究者はどうやって取り組んでいるんだろう、という別の関心も湧いたが、そこにはまだ突っ込んでいっていない。

 さて翻って、2026年は、どんな目標を立てようか。

 唐突だけど、そろそろ真剣に早期退職を検討したい。とは思うのだ。

 なにしろ、読みたい本が多すぎる。現在、私の読書ペースは多くても年に100冊がいいところ。自分の積ん読だけでも1500冊を越え、父が遺した文学全集まで加えたら、とてもじゃないが、生きているうちに読み切れると思えない。
 母が元気に動き回っていたのは、せいぜいが70代までだった。あと何年読書余命があるか、母がボケるのを目の当たりにしたものだから、そんなことを考えてしまう。

 あちこち痛んできた自分の体のメンテナンスもしたい。健康を維持するための運動もしたい。なにより、ちゃんと食事をして、適切に入浴をして、きちんと睡眠を取って、という当たり前の生活を取り戻したいし、全然できていない英語の勉強もしたい。

 今年読みたい本のリストアップはもうするのはやめた。

 どうせ、その通りには読まん。
 だが、積ん読は減らしたい。なんとしても減らしたい。

 2026年。とりあえず、目指すのは、健康増進と読書。

 ウクライナとパレスチナに平和が訪れ、日本近海で戦争が起きませんように。

2025年12月の読書メーター

12月は、とにかくも『聖なる黒夜』の続刊『海は灰色』の刊行に尽きる。
2025年として総括すべきことは多々あれど、ひとますはコレ。

12月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:3477
ナイス数:363

王国物語 6 (ヤングジャンプコミックス)王国物語 6 (ヤングジャンプコミックス)感想
まるでクリムトの絵のような美しい表紙に惹かれて衝動買い。これは、1巻から読まねばならぬ。
読了日:12月31日 著者:中村 明日美子


幼女戦記 (33) (角川コミックス・エース)幼女戦記 (33) (角川コミックス・エース)感想
もはや何がなんだか良く分からなくなってきているが。最初のころからの戦友ショーンズ中尉がついに戦場の空に散る(文字通り)メアリーがどうしても鼻につく。この子キライだわ。あんなに一生懸命なのになぜかしらね???
読了日:12月31日 著者:東條 チカ

RIKO ‐女神の永遠‐ (角川文庫)RIKO ‐女神の永遠‐ (角川文庫)感想
これが、2025年最後のレビューになるかな。『海は灰色』刊行記念で再読祭り。再読から数年へて程良く内容を忘れていたので楽しく読めた。が、やっぱり要所要所で差し込まれるリコの独白がけっこうキツい。リコを強姦する野郎の理屈はクソだが、そこを乗り越えて、というか踏みしだいていくリコという女のたくましさよ。終盤の展開といい、ちょっと情緒で仕事しすぎだ。とにかく最初から最後まで情念がでろでろしている本でした。そういえばそうだった。
読了日:12月26日 著者:柴田 よしき

初雪 海は灰色 第一部初雪 海は灰色 第一部感想
私は練ちゃん贔屓なもんで、麻生龍太郎ははっきりいって憎々しく思っていたのだが、この作品を読んでそんな気分も霧散した。2人の腐れ縁はこれからも切っても切れないし、龍太郎にとって、今生きている練は、汚泥の中で健気に咲き続けている小さな花なのか、と思ったら、ついうっかり、龍太郎の練を愛しく思う気持ちに移入してしまった。今作、例の練の事件に深く切り込むのかと思いきや、鄙びた温泉街を舞台にした純推理小説仕立て。しかし、事件に絡む人間模様は幾重にも糸が絡まり、宿命というか運命というか、人の世の苦しさが滲んでいた。
読了日:12月21日 著者:柴田 よしき

スモークブルーの雨のち晴れ 8 (フルールコミックス)スモークブルーの雨のち晴れ 8 (フルールコミックス)感想
ついに新しい「我が家」を手に入れた2人。家は、そこに生活があってこそ。お父さんちがきっと無難な新築住宅になったんだろうな、と思うと私は残念なんだけど、当事者は前向きに受け止めていて良かったなーと思う。なんとなくおじさんになったことを意識させられるアレコレが身につまされるのが、なんっていうか、ちょっとせつないです。
読了日:12月20日 著者:波真田かもめ

Veil (7)熱するブルー (リュエルコミックス)Veil (7)熱するブルー (リュエルコミックス)感想
絵が綺麗で、なんとなく買い続けてる作品。最初の頃からはすこし雰囲気が変わってきたかも? でも、2人の恋の気分を味わえればそれでよし。
読了日:12月19日 著者:コテリ



5人の王 III (Daria Series)5人の王 III (Daria Series)
読了日:12月13日 著者:恵庭
5人の王 II (Daria Series)5人の王 II (Daria Series)
読了日:12月13日 著者:恵庭
5人の王 (Daria Series)5人の王 (Daria Series)
読了日:12月13日 著者:恵庭
5人の王 5 (ダリアコミックス)5人の王 5 (ダリアコミックス)
読了日:12月13日 著者:絵歩
5人の王 4 (ダリアコミックス)5人の王 4 (ダリアコミックス)
読了日:12月13日 著者:絵歩
5人の王 3 (ダリアコミックス)5人の王 3 (ダリアコミックス)
読了日:12月13日 著者:絵歩,恵庭



5人の王 2 (ダリアコミックス)5人の王 2 (ダリアコミックス)感想
原作とコミックとどのくらい違うのかな、と思ったけどほぼ同じ。そんなに描写は省略されていないようだ。2巻は、声を失ったセージが能力を発現させ、緑の王になっていた妹が戴冠を前に死に、王の証のティンクチャーがセージに引き継がれるまで。セージがこれから王として何を成していくのかは、次巻以降。
読了日:12月13日 著者:絵歩,恵庭

5人の王 1 (Dariaコミックス)5人の王 1 (Dariaコミックス)感想
絵柄が好みで、コミックシーモアのオススメから試し読み→DL→紙本で。小説とコミカライズ、どっちを読み進めようかと迷い、結局同時進行で突破。BL+王国ファンタジー。読み進むと、タイムリープSFものっぽくなる。主人公が子供ってこともあるが、とにかくバタバタしていて忙しない。可愛いんだけどね。コミック一巻目は、まだまだ謎いっぱい。5人の王(4人になってるけど)の役どころも今ひとつまだ判らない。
読了日:12月13日 著者:絵歩,恵庭

2025年12月21日日曜日

ウイスキー08 カナディアンクラブ


 私の大好きなM/Mのジョシュ・ラニヨン「殺しのアートシリーズ」のサム・ケネディが好きで、恋人のジェイソンがこき下ろしながらも、恋人の為に常備している〈カナディアン・クラブ〉、一体どんな味だ、とドキドキしながら買ってみたけど、私は好きだな〜♪
 最初に飲んだのは一番安いやつで、あ、これは好きだな。と思った。その印象が強かったせいか、頑張って買った12年の方は、それほどピンとこなかったのだけど、なんというか癖がなくて飲みやすい。飲み口がマイルドなので、炭酸で割ると特徴が無さすぎるような気もする。むしろロックなんかの方が良いのかも。とはいえ、さすがにロックはきついので、今度ハーフソーダあたりで試してみようと思う。

0573 初雪 海は灰色 第一部

書 名 「初雪 海は灰色 第一部 」
著 者 柴田 よしき      
出 版 角川書店 2025年12月
文 庫 288ページ
初 読 2025年12月20日
ISBN-10 4041169135
ISBN-13 978-4041169131
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/132244150

 待って、待って、待って、待ち続けた待望の続刊。
 「聖なる黒夜」から「私立探偵・麻生龍太郎」を経て、道を分かったはずの麻生と練が、再び語らう。

 「聖なる黒夜」を読んで頭ん中がうわーーーーーっとなって、続き!続き!こいつらこれからどうなっていくんだ〜〜〜とネットを徘徊し、柴田よしきさんが続話をWEBで連載していたことは知ることができたが、その時点で、もう「海は灰色」はWEBから下げられていて、愛読者のブログなどでおぼろげに輪郭が分かるだけの、まぼろしの作品と化していた。いつかは、いつかは刊行されるに違いない、と思って待ち続けてはや〇年。このたびついに刊行され、やっと手にとることが叶った『聖なる黒夜』続刊である。

 てっきり、練のあの事件の真相を追う話だと思い込んでいたんだが、出だしはなんと、龍太郎の逃げた奥さんを探す旅だった。そこに練が乱入、その上2人が滞在する鄙びた温泉街で殺人事件と傷害事件が起こる。正統派な推理小説仕立てながら、根城の新宿を離れて身軽な風情な練と、前科がついて、裏街道をとぼとぼと行くしかなくなった龍太郎が、一緒に同じ事件を追う、という、なんというか、『聖黒』ファンにとっては、ボーナストラックみたいな、なんだか時期的にはクリスマスプレゼントみたいな作品であった。
 私は練ちゃん贔屓なもんで、麻生龍太郎ははっきりいって憎々しく思っていたのだが、なんかこの作品を読んでそんな気分も霧散した。2人の腐れ縁はこれからも切っても切れないし、龍太郎にとって、今生きている練は、暴風雨の後に一輪健気に咲き続けている小さな花なのか、と思ったら、ついうっかり、龍太郎の練を愛しく思う気持ちに移入してしまったよ。練は「練」なのだけど、なんとなく泥の中に咲く「蓮」を連想した。

 練にとっては、龍太郎は練の過去も現在も等しく知っているほぼ唯一の存在なんだな、と考えると、練の龍太郎に対する執着も分かるような気がする。練の胸に止まっているウスバシロチョウの意味も、そもそもそこにウスバシロチョウを彫っていることだって、知っているのは龍太郎以外に誰がいるのか。そういや、作中で練が温泉に入るくだりで、練が背中に彫りモンがあるような記述だったが、練って背中に何かしょってたっけ?どうにも思い出せない。『聖黒』の細部の記憶がだいぶおぼろげになったところで、『RIKO』から刊行順に読み直すのも乙かもしれんな。

 このほとんど救いのないような練・龍の2人がこれからどうなっていくのかは、続刊を待つしかない。ちなみに続刊の発行は、26年12月、つまり1年後だそう。またまた長いな〜〜〜。いっそのこと揃ってから一気読みしたいくらいだが、読者はこの本を待ってたんだ!という心意気を示すためにも、予約で買いました。ついでに、Kindle版も購入したので、2冊買いだ。それくらい応援している。続刊をあと1年、待ちます。なお、作者様のXによれば、この作品は3部作になるそうだ。そして、第二部以降は大幅なリライトになると。はい。お待ちしております。『海は灰色』刊行してくれてありがとう!

2025年12月14日日曜日

ウイスキー07 デュワーズ ジャパニーズスムース 8年


第一印象は、口当たりの甘さ。そして素敵な香り。
店頭では「ジャパニーズウイスキーではありません」と注意書きがしてあった。お店で見かけて、試してみたくてムズムズしていたのだが、ワイルドターキーを飲みきったので、自宅用に購入。

スコッチの名品デュワーズを、日本産のミズナラの樽で熟成させたんだそう。

かなり気に入った。今のところ、ブッシュミルズ15年に次ぐ二番手。他のデュワーズも試してみようと思う。

0572 抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える― 新書 –

書 名 「抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える― 新書 」
著 者 箕岡真子
出 版 三省堂書店/創英社 2022年6月
文 庫 148ページ
初 読 2025年11月05日
ISBN-10 4879231444
ISBN-13 978-4879231444
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/131283560


著者の箕岡 真子 (みのおか まさこ) さんについて
 日本臨床倫理学会総務担当理事
 東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野客員研究員
 箕岡医院院長
【主な研究領域】終末期医療ケアの倫理・高齢者の介護倫理・認知症ケアの倫理


 認知症の母の在宅での見守り介護をまるまる3年間続け、母の施設入所の見極めや施設探しをするにあたり自分の判断を知見で底上げしたい、と思って手に取った数冊のうちの一冊。
 この本は、医療や看護の領域の臨床医、研究者、教育者である著者が、おそらくは医療分野の読者(学生?)に向けて平易に書かれた著作で、その向きの勉強には役に立つのだろうが、現に介護に向き合う家族にとって役に立つか、というと、まあ、ほぼ役に立たない本ではありました。・・・・目的外使用?って感じなので、文句いう筋合いではないです。

「患者の意志の尊重」というテーマに、これまでの医療界や医療者がどのように向き合ってきたのか、という点では、歴史的経緯やターニングポイントになった事件などがまとめてあって、いい勉強になった。

 タイトルの「抜け殻仮説」というのは、「認知症患者は脳神経細胞の病理学的変成によって人格は変化・崩壊し、“抜け殻”になってしまう」という考え(偏見)のこと。

 認知症患者は崩壊した自我の残滓を留めているのではなく、認知症になった後も一貫した「自我」を持っていることを認め、しかし、認知症であるがゆえに、本人の選択や判断による自己決定=自律は困難となっていく。それをどのように援助していくのか、ということについて、この本では「自律」の再定義を行いつつ、考察している。

 医療ケアに選択における意志決定について、これまでは本人に「意志決定能力がある」状態、すなわち
 ① 自分で選択して意思表明できる。
 ② 治療などに関する情報が理解出来る。
 ③ それを選択した場合、それが自分にどのような結果をもたらすのかを認識できる。
 ④ 決定内容が自分の価値観や治療目的と一致していること 

 の4つの構成要素を満たしている状態においてのみ、本人が自分のこと(治療方針や処遇方針について)自己決定できる、とし、そうでない状態においては、家族などの近親者が「代理決定」を行うという二択となっている、という現状をまず確認する。その上で、現実的には「本人による意志決定」(自律)から「家族による代理決定」の間には大きなグレーゾーンが広がっていること、これまで目が向けられていなかったこのグレーゾーン上にも、本人による自己決定が可能な領域が存在することを指摘する。
 そして、家族など周囲の人間が適切に本人の意志決定を支援すれば、より本人の自己決定の幅を広げることが可能で、ここで「自律」の概念を広げ、これまでの狭義の自律=個別的自律から、“他者の援助によって実現される自律”を広義の自律=関係性的自律に拡大することを提案する。
 これによって、「自己決定」と「代理判断」の間にあったグレーゾーンも、本人の意志に基づく「自律」的な決定が可能になる。

 この場合、本人の意志を知り、それを延長する形で決定につなげる第三者の支援が必要になるが、本書ではそれが可能な人について「本人が最も信頼できる「人」」であると言う。その第三者は自己の利益ではなく、本人の意志や願望を尊重し、選択を行う必要がある。それは、本人を良く知っている人である必要があり、本人との豊かな関係性を事前に築いている人で、本人を愛し、共感できる人なのだと。そういう人の共感を通じて、認知症になった人も自律を延長できる。・・・まあ、この通りの文字で描かれているわけではないが、そういうことが論じられている。前段はともかく、ここまでくると、かなり馬鹿らしい感じがしてくる。

 認知症や深刻な病に陥った人を、心底大切に思っている家族がいれば、学者や医者が何を論じなくとも、その家族は、愛する人のために必死になって考え、最善を尽くすだろう。それは当たり前の光景であるが、かならずしも常にあるものでもない。私だって、べつに母と深い愛情で結ばれているとは思わんが、母の送ってきた人生に敬意を持ち、母の考え方や生き方を思い、できうるかぎり母の気持ちに添った選択をしたいと苦心した。が、全ての介護者がそうだというわけではない。むしろだからこそ、介護の社会化が必要なのだ。
 本人にとっての医療や介護をよりよいものにしていくことを考えようとするときに、それを「その人を愛する家族」に帰結しようとする馬鹿らしさにこの著者は気付かないのだろうか?

 この本において、例示される認知症のおじいちゃんを抱える家族において、主介護者である長男の妻は、おじいちゃんを深く愛して理解していたら、この家族が抱える介護の問題は解決されるのだろうか。そんなことはないだろう。

 この本は、サブタイトルのとおり、認知症の人の「自律」の概念を考える、というテーマに基づき、認知症の人の「自律」の概念について考えているが、考えた上で、なにか新しい視点に到達しているか、というとかなり疑問に感じる。認知症患者の自律と他律の間にもともと存在する家族の支援に、仰々しく「関係性的自律」と名付けただけだ。そして、「関係性的自律」が機能するために麗しい愛や理解が必要なのであれば、医療や介護の現実を変えることのためには、たいして役に立たないだろう。なぜなら、今もそれは、それがある場所では機能しているはずだからだ。
 

 

2025年12月6日土曜日

ウイスキー07 コーヴァルとハイブ(お酒の美術館)


〈お酒の美術館〉新宿紀伊國屋店に行く。目当てはバーボン。ワイルドターキーをほぼ飲みきったので、ちょっとお勉強。バーボンの「これは飲んどけってやつ」という大雑把なお願いで並べてもらったものの中から、KOVALを選ぶ。

コーヴァル シングルバレル スリーグレイン

選んだ理由は、瓶が気に入ったから(^^ゞ
香りよし。ちょっと強い印象。(アルコール度数ではなく。)ちょっと尖ったのどごしを感じて、なんとなく、男性的だな、と思う。ネットで検索するも、「スリーグレイン」が見当たらない。この味わいを、ウイスキーの世界ではどのように表現するのか、確認したかったんだけど。






二杯目は、〈ハイブ〉を選択。
こちらも美味しかった!



2025年12月5日金曜日

ウイスキー06 ワイルドターキー101


職場の友人さま(というか同僚?というか先輩?というか?)に、最近ウイスキーにハマってると話したら、プレゼントに頂いたワイルドターキー。バーボン。
すこしレモンを垂らしたりして頂いてます。

わりとシンプルな味だと思う。甘さはあまりない。ソーダよりはロックなんかでガツンと飲む方がたぶん絶対に美味しい。(だが、ウイスキーは好きでも酒に弱いので、ロックを飲むにはちょっと勇気がいる。)

勉強不足で相変わらず、ウイスキーを語る語彙が足りない。精進せねば。

ウイスキー05 JURA


読書メーターの読み友さんからオススメいただいたJURA。こちらは、〈アイル オブ ジュラ バーボンカスク〉。ブッシュミルズ15年ほどの印象はないけど、普通に美味しいです。

ボトルとグラスの写真を美しく撮れないかと試行錯誤していたら、こんな感じになりました。ソーダ割ですけど、ちょうどいいハイボールグラスが無かったもので、ロックグラスになみなみ。

2025年12月2日火曜日

2025年11月の読書メーター

11月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2072
ナイス数:387


捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようですの感想
3巻を読んだ勢いで、最初から読み直し。何回読んでも面白い。なんならWEBの方でも、最初から最後まで通し読みした。1巻オマケの、オーギュストが初めてエンカー地方を訪れたエピソードが好きだ。セドリックがだんだん絆されていくのもほのぼのと楽しい。
読了日:11月29日 著者:カレヤタミエ

捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです2捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです2感想
3巻を読んだ勢いで、1,2巻も通読。その勢いでWEBで最後まで読み切った。何回読んでも面白い。多分もう数回読んでる。メルフィーナの素が出てるところと、『公爵夫人』キャラを演じてるところのギャップも好きです。まだ1〜3巻で、マリアは登場せず、ひたすらメルフィーナの地盤づくりだが、隣国の皇太子セレーネが登場。セレーネを迎えに来た隣国大使に引導を渡すところが大好きなんだけど、それは4巻を待たねばならぬ。
読了日:11月29日 著者:カレヤタミエ

捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです3捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです3感想
「なろう」ですでに既読だが、本としてまとまって読むのも面白い。3巻目は、ちょっとシリアスめ?夫人の取り組みとしては、蒸留酒、携帯用ストーブ、トラバサミなど? 蒸留酒の抽出とかトラバサミの製作などは、知識や概念だけで一発成功!ってのはちょっと安易な気もするけど、まあ面白いからいいか、って感じね。公爵側の戦いや事情もだんだんと明らかになってきて、ああもう、はやくあなた方が相思相愛になるのを読みたいワ、と思う。4巻は来春の刊行が決まっていて嬉しいです。
読了日:11月17日 著者:カレヤタミエ

ウイスキーを趣味にする~人気YouTuberが教えるウイスキーの楽しみ方ウイスキーを趣味にする~人気YouTuberが教えるウイスキーの楽しみ方感想
Kindleアンリミで。最近ウイスキー🥃にハマりつつあるので、お勉強。これまでの経験から,あまりスモーキーではなく、穀物の甘みが感じられるのが好きみたい。先日飲んだブッシュミルズ15年は感動的に美味かった!某M/Mの主人公がこき下ろしているカナディアンクラブはうまいと思うんだよな。
読了日:11月07日 著者:CROSSROAD LAB

アリアドネの声 (幻冬舎文庫 い 79-1)アリアドネの声 (幻冬舎文庫 い 79-1)感想
読み友さんの感想を読んで入手。舞台設定とか、人物描写とか、途中で引っ掛かりがあるんだけど、とりあえず最後まで読んでよかった!と言える。いやあそうきたか!こうまとめるのか!ある意味テクニシャンだね。とても面白かった。ちょっと文章が若いというか、言葉の選択の感覚が自分とはズレるなと思うところもあったけど、とりあえずこの結末は良き。
読了日:11月05日 著者:井上真偽

認知症は決断が10割 介護は、決断次第で天国にも地獄にも!認知症は決断が10割 介護は、決断次第で天国にも地獄にも!感想
認知症の介護を始めたばっかり、もしくは家族にその兆候を察知したばかりの方にお勧めする。平易でわかりやすく、ポイントを押さえて正確です。介護は力の入れどころを誤ると、自分も相手も家族も辛いことになる。避けられることは避けて、正しく対処することが、要介護者の幸せにも繋がる。
読了日:11月02日 著者:長谷川嘉哉

抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える―抜け殻仮説への挑戦―認知症の人の「自律」の概念を考える―感想
あくまでも、医療現場での、医療従事者に向けたテキスト。日々認知症の家族に向き合う介護者の悩みを解決できる本ではなかった。むしろ、医療と介護は似て非なるものだと再認識した。
読了日:11月02日 著者:箕岡真子

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