2025年8月24日日曜日

番外 ウォルドルフ人形の本

書 名 「ウォルドルフ人形の本」
著 者 カーリン ニューシュツ (著), 佐々木 奈々子 (翻訳)    
出 版 文化出版局 1986年10月
大型本 87ページ
初 読 2001年頃
ISBN-10 4579103378
ISBN-13 978-4579103379
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/129864514

 第一子を出産した産院のOG会で、「赤ちゃん会」というのがあり、出産日が近かった仲間が月1回の会合で仲良くなって、そのうちのお一人で手芸が得意な友人を講師役に、みんなで赤ちゃんのファーストフレンド・・・・最初に与えるお人形として、「ウォルドルフ人形」を作ったのが、かれこれ25年前だ。

 一体目の男の子の人形は、彼女の懇切丁寧な指導で作成したが、その後、お洋服を作成するために、この本を購入。第二子出産を機に、もう一体(女の子の人形)を作った。

 材料は、当時吉祥寺の東急の裏手にあった「おばあちゃんの玉手箱」という自然派育児ののおもちゃや素材や絵本を取り扱っていたお店で購入。よく覚えていないが、この本もそのお店で買ったかもしれない。
 当時、吉祥寺は、この「おばあちゃんの玉手箱」の他にも、「ニキティキ」などの木のおもちゃのお店などがあって、しょっちゅう通っていたな。あと荻窪には津川雅彦さんの「グランパパ」の店舗があって、こちらも大好きだった。

 さて、このウォルドルフ人形、男の子の方は、息子が人形のお手々をあむあむしゃぶったり、娘が生まれてからは、二体とも娘のおもちゃになっていたが、娘が幼少のころ、なにを思ったか、人形を散髪!・・・・いや、いいんだよ。このお人形は、そういうことしてもOKだ。だが、ちょっと髪の毛長めで優しい雰囲気だった男の子は、丸刈りになっちゃったのだった。(/_;)

 いつか、きちんと髪の毛をもう一度生やしてあげよう、と想い続けて十数年。思い立ってこのお人形用の手紡ぎのウール毛糸を買おう!とお店を探したが、「おばあちゃんの玉手箱」は閉店してなくなっており、しかし代わりに、以前は表参道にあった「クレヨンハウス」が吉祥寺に移転してきていたので、こちらで注文することができた。

 しかし、せっかく毛糸を入手したのにそこで力尽き。
 なかなか、お人形を洗って、痛んだお洋服も修繕して、お人形の虫食いも直して、髪の毛を植えて・・・・・という一連の作業に着手する気力と時間がなく、さらに五年以上は放置。

 ここに至って、いつやるの?今でしょ!! とやっと、やっと、お人形の手入れに着手した。

 昨日、自宅から母の家に、お人形と素材をまるっと持ち込み、今日は朝からお人形をエマール風呂に入れ! お洋服を洗い! しみ抜きし! 干して乾かして、修繕して!
 イマココ。
洗って、ベランダの室外機の上で日光浴(乾燥)今日の天気は良く乾くぞ

スナップを付け直し、伸びた袖口のゴムを取り替え、細かい綻びも縫い直し

 ウォルドルフ人形は、表は綿ジャージー、中綿は羊毛。髪の毛も手紡ぎウールなので、きちんと保管しないと虫に喰われる。この子達も、ムスメが構わなくなってからはずっと放置だったので、何カ所か虫に喰われてしまった。そこも修繕しないと。

 きちんと髪の毛を植え終わったら、また写真をアップするよ。

2025年8月20日水曜日

介護日記的な・・・その24 まさに日記的な。

 介護同居の状況となって、はや2週間。この間、なにをやっていたかというと、ひたすら環境整備と食事の世話。
 これまでの通い介護では、私がいるときは、基本母もいたので、あまり大胆な片付けは出来なかった。しかし、私がまるっと休暇を取っているので、母がデイサービスに行っている間は母宅に私独りになる。で、なにができるかというと、不要品と古いもの処分だ!

 とりあえず、これまではさわれなかった、古くなりすぎた調味料。カビの生えてるみりんとか。 (^_^;) 
 なんか味が変わってるような気がする10年以上前の開封済みの醤油とか、絶対酸化してるだろうと確信できる、使いかけのサラダオイルとか!賞味期限が、’21.〇.〇って表示になてる削り節とか!
 とりあえず、これから私が自分で食事の支度をするために、調味料を一新。
 合わせて、大量にあるタッパウェアも点検。・・・・・なんだか、プラスチックが劣化してベタベタしているし。かと思うと硬化して割れる(崩れる)やつもあるし。とりあえず、捨てる。
 かわりに、パイレックスの保存容器をいくつか購入。
 煮物を作ったり、作ったものを保存できるよう、最低限のものを更新した。

 毎日の食事はこんな感じ。

〈いつかの昼食〉
ご飯、豚の角煮(セブンプレミアム)・ほうれん草添え、厚焼き卵(ヨーカドーの惣菜)、ミ二餡餅、キュウリとミョウガの浅漬け
———ヨーカドーの惣菜のキュウリの漬物は良く食べるくせして、私が漬けたやつは、喰いが悪い。くそ。あとは、ぜんぶお惣菜かレトルトパウチ。

〈いつかの夕食〉
炊き込みご飯。キュウリとミョウガの浅漬け、えびとブロッコリーの塩炒め。
———あまりに食が細いので、せめていろいろな食材を食べてほしくて、ご飯を炊き込みにした。これはお茶碗に盛った分は食べてくれた。あとはそれぞれ、半分くらい残された。

〈昨日の朝食〉
炊き込みご飯。キュウリの浅漬け。厚焼き卵。ポテトサラダ。
———イトーヨーカドーの惣菜(厚焼き卵とポテトサラダ)は比較的良く食べる。なんとなく負けた感がある。
 そのほかにも、焼き鮭とか、それを薄味の出汁醤油に漬けたものとか作ってみたが、だいたい他人が作ったもの(スーパーの味でないもの)は、警戒してあまり食べない。

〈今日の夕食〉
肉じゃがを作った! いろいろと子供返りしているので、味覚も子供向けで良いのではないかと。ミョウガとかキライになってしまったみたいだしな。これは当たりで、とりあえず器に盛った分は食べてくれた。(ちなみに、右の写真は私の側の食事なので、母の方は、おかずの盛りはもっと少なめ)
 肉じゃがは、自宅で作る量の1/4だ。(笑)
 これくらいだと、時間も手間もすごく少なくて楽。
 だがしかし、今日食べない分を保存容器にいれて冷蔵庫にしまっておいたら、しばらくして母がそれを取り出し、「これ、お前が持ってきたの?」と不審顔。この人、人が作ったものは置いておいても自分では食べない。「古くなっていて気持ち悪い」という。
 この3年間、試行錯誤して、結局イトーヨーカドーの惣菜なら食べる、に落ち着いていたのだが、まあ、私が配膳する分には、大丈夫でしょう!(ただし捨てられないようにしないとね。)

 それにしても、あれこれ工夫して料理してみても、「不味い」とか平気で言うし、毎回、ヨーカドーの惣菜に負けるのは、いささか心折れるものがある。(まだ2週間だけど。)ちなみに、味付けは決して不味くないと思うんだよ。
 まあ、認知症相手に闘っても、ましてやヨーカドーの惣菜と闘っても詮無いので、結局食事はヨーカドー頼りに戻りつつある。

2025年8月17日日曜日

0563 好きだと言って、月まで行って (モノクローム・ロマンス文庫)

書 名 「好きだと言って、月まで行って」
原 題 「To the MOON and BACK」2023年
著 者 N.R.ウォーカー
翻訳者 冬斗 亜紀
出 版 新書館 2024年11月
文 庫 400ページ
初 読 2025年8月17日
ISBN-10 4403560598
ISBN-13 978-4403560590
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/129720163


 N.R.ウォーカーは、オーストラリアのゲイロマンス作家さん。初読み。翻訳は安定の冬斗亜紀さん。とても読みやすい。
 主人公の一人、ギデオン(ゲイ/シングルパパ/失恋直後/ヒゲのいい男/高学歴・高収入)の背景とか、もう一人の主人公トビー(ゲイ/イタリア系オーストラリア移民の家系/高学歴のプロのナニー(超有能))の背景とか、オーストラリアのLGBTQの様子とか、育児に関わる社会制度とか、ストーリーの背後にぎっしり詰め込まれているものがあって、これを全部読み解けたらかなり深いな、と思うけど、単純に不器用男2人がモダモダ恋に落ちるロマンスとして、十分に楽しい。
 出だしこそ、ヒゲのタフガイが慣れない子育てでおたおたしている話かと思ったが、この「ヒゲのタフガイ」が思いのほか繊細で、むしろ女性的(っていうか、こういう性格描写の語彙がどうしても性的役割分担を色濃く反映しているのは、なんか良い形容詞がないものか)なのが、ミスマッチで面白い(というか、これをミスマッチと感じる感性がそもそも性差に対する意識が固定化しているよな)というか。
 読んでいると、さりげなく、固定化したジェンダー意識に揺さぶりをかけられているようで、なんか意識の柔軟体操しているみたいで良いよな、と思う。日本の社会でLGBTQが社会権を得たのって、BLもそれなりに大きな役割を果たしていると思うのよね。

 ストーリーは、突然シングルパパになってしまって困惑・疲労困憊している男のところに、超有能な男性ナニーがやってきて、あっというまに生活改善して、あっというまに恋に落ちる、というまあ、ありがちな感じなんだけど、その恋に落ちる過程や、2人の心理描写がとてもとても良い。早くに親を亡くして親の愛情に飢えていたギデオンが、トビーの大家族に心温められながらも、寂しく感じる描写なんかもすごく素敵だ。も〜〜〜あんたたち両思いなんだから、もっとシャッキリしなさい!と言いたくなるが、この、これまで自分が世の中的に慣れ親しんできた男性性とは、性質を異にしたナイーブな優しさ全開の2人に、なんだか未来への希望を感じちゃう。・・・・とちょっと壮大な感じの感想になってしまった。
 あと、雇用関係や雇用契約に対する意識がはっきりしているなあ、と思う。さすが、ジョブ型雇用の欧米社会。権利—義務関係を明確にさせようとする意識がここまで恋愛の足を引っ張るって、日本人的な感覚だとあまりないのでは。そういう意味でも、「もだもだしすぎだ!」とうっかり感じてしまうかもしれないが、きっと当人たちにとっては、そして彼等の文化規範の中では、独立した個人として、とても大切なことなのだ。

 以下は余談だが、先日、子育て仲間だった友人と呑みながら話をしていて、なぜかBLの話になり、友人は「BLは女の子の健全な成長に必要なのよ!」(ちょっと細部はうろ覚え)と力説していて、私もなるほどなあ、と思ったのよ。
 男女の恋愛物語を読んだり見たりしたら、女の子は女性側に移入せざるを得ない。“女性らしい”感じ方、“女性らしい”振る舞い、女性としての性的役割を、作品のを通じてすり込まれる。私はそれが苦手で、恋愛小説はあまり読まないのだけど、BLならば、キャラクターのどちらに移入しても可だし、それこそニュートラルに、若干は客観的に、恋愛を疑似体験できる。なにをどう感じるかを(精神的にも、肉体的にも!)強制されることはない。自己を確立する時期の思春期の女の子にとって、BLは成長のための梯子になり得るのかもしれない。

2025年8月16日土曜日

介護日記的な・・・その23 食欲がないはずなのに、まさかの満腹

 これまで週2回だったのが、毎日・毎食になって、何を母に食べさせるか悩ましい。

 母は、しばらく前から、咳が続いていたが、だんだん胸の奥に絡むような咳になってきたため、せっかく日中動くことができるのだし、と昨日内科に連れて行った。気管支炎とか誤嚥性肺炎なんかも心配していたのだが、診察の結果は「上気道炎」つまりのど風邪。それは良かったのだが、体調が落ちているせいか、食が進まず、今日も、朝食も昼食も残されてしまった。

 それに加えて今日は精神科(認知症外来)の受診もあったので、さすがに疲れたのか、午後にかなりしっかりめに昼寝。昼食も遅めだったし、そのあと昼寝ではお腹もすかないだろうと、夕食時間も遅め設定で買い物にでかけたら。
 なんと、私が買い物に出ている間に、冷蔵庫に置いてあったおまんじゅうを3個、食べられてしまった。

 本人は食べたそばから忘れるから、夕食の時には、「なんだかお腹が空いていないのよね・・・」と食欲がないことをアピール。そりゃそうだろう。小さいとはいえあんこの詰まったまんじゅうを3個食べれば血糖値も上がるし、食事は入らんだろうよ。

 夕食が遅くなってはいけない、という教訓を思い出したよ。そうそう。ちょっと買い物に出るのが遅くなると、その間に小腹が空いて、間食されてしまうのだった。以前もやられたのに、すっかり忘れていた。気を付けなければ。
 
食事の用意ったって、この程度よ

2025年8月14日木曜日

介護日記的な・・・その22  とりあえず、近況報告を。

 6月末頃から、母の認知症が進んできたかな、と思い始め、結局それは気のせいではなく、この三年間、超低空飛行とはいえなんとか維持してきた母の独居も、もはやこれまで、と観念した。(私が)
 
 とにかく、きちんとご飯が食べられないのはダメだ。

 母が独りでいるときに口にするのは、木村屋の蒸しケーキやミカンだけになってしまった。そういえばカットパインも食べたかも。・・・・って、全然食事の足しにはならない。

 体重が少し落ちた。

 言葉が拙くなり、聞く力も読む力もガクンと落ちた。確認行動が酷くなって、寝る前の戸締まりや電源の確認が延々終わらないので(確認したそばから忘れるから、エンドレスになってしまう。)入眠に影響がでてきた。
 極めつけは先日の「焦げ臭い」事案。結局原因不明なんだけど、電子レンジの中も焦げ臭かったので、きっとここで何かがお焦げになったんでしょう。ちなみに先日購入したばかりの、オーブン機能などない、単機能レンジ。あたためスタートしかできないやつ。いったい何をどうチンしたら、お焦げになるんだろう。謎だ。

 初めは、もう一回ホームヘルパーの導入にチャレンジして、朝夕の食事の世話をお任せすることができれば、何とかなるのでは、と思ったのだが、一週間一緒にいてみて、そうではないと気付いた。見守りは常に必要。見守るだけだとしてもだ。

 とうとう、母を一人にできない日がやってきたのだ。

 その日が来てしまえば、案外、決断はすんなりつくものだ。というか選択肢がないので、決断というよりは諦念に近い。しかし、この決断を、私は自分の家族にちゃんと相談したろうか、と思うと反省すべきところがあるなあ。

 職場には介護休暇の取得を相談し申請し、そして周囲に協力を仰ぎ(迷惑をかけ、ともいう)、長期の休暇に入ることとなった。期間は「母が施設に入るまで。」

 グループホームは一ヶ月前に申し込みしてある。しかし、まだ待機順は繰り上がっていない模様だ。あと2ヶ月、3ヶ月で入所できるだろうか。
 
 母はデイサービスには通っているので、母がデイに行っている間は、時間があるといえばある。テレワークとの組み合わせも検討できる。しかし、フルタイム稼働は無理。
 デイに送り出すのが9時半。戻ってくるのが17時。その間に、家事や買い物を済ませる必要もある。自分の自宅は別にあるので、そちらにいる家族も完全放置はできない。実家から職場までは2時間弱かかるので、どう工夫しても通勤は無理。それは早々にあきらめた。なにしろ、やったとしても私の体力が続かないのは明らか。夜間に起こされることもあるので、昼寝も必要になりそう。(だが、してみたら夢見が悪くて閉口した。)

 そんなわけで介護休暇に入った訳だが、盲点が一つあった。母がデイサービスに出かけた後の家の中の静けさがもはや暴力的だった。一日目で早々に私のメンタルが参った。

 なにしろあまりにも静かだったのだ。近隣も静かで、集合住宅なのに近所の人の気配が皆無。なんだか世界中に自分しかいないような気がしてきて、「自分はいったい何をしているんだろう?」となんだか存在の根源が揺らぐような気分になって、ずんずん落ち込んだ。これでは早々に鬱になる。

 かなりの危機感を感じたのだが、そんな私の孤独を慰めてくれるアイテムを思い出したので、急遽入手に走った。
 右の写真のデスクオーナーメントは日本ディスプレイ工業の「amaoto」という製品。光発電で台座に仕込まれた電磁石で重りがゆらゆら、そのゆらゆらに台座の中のハンマーが反応して、これも台座の中に仕込まれたベルを叩く。こん、カラン、ろん、ててん、リン、ろらん。
 実はこの製品、新宿のブックファーストの文具売り場に展示されているのを、8年位前から知っていた。ずーーーと、この店舗に行くたびに、心落ちつく音色に耳を傾けていた。
 ただ、絶対に猫との同居は無理だと思ってたんだよね。入手することはないと思っていた。しかし、母宅に猫はいない! まあ、母がちょっかい出す可能性は大いにあるが・・・・

 かなり値も張るし、結構な買い物だったのだが、しかし、効果は絶大。今も、この「雨音」に慰められながら、この文章を書いている。
 ・・・・ついでにいえば、母はいま、夕食の後の台所の片付け中で、ずーっとエンドレスに独り言を言っている。これは、、、なんだっけ? ああやだ、これは・・・こうですよ。そしてぇ、これは。えい。やあ。よいしょ。よいしょ。ええと、これはどこだっけ。どこですか?  そしたら、そしたら〜、ええと、これか。そしたらこれですか。やんなっちゃうなあ、もう。・・・・・ごしごし、がさごそ、がちゃがちゃ・・・・

 母は、食事の支度はできないけど、食器洗いは辛うじてできる。片付け魔なので、台所の始末もする。(食器は洗い直しが必要な場合が多い。)実況中継的に、ひたすら独り言を言いながら。とにかく、一見とてもキレイに片付けるが、片付け方はめちゃくちゃなので、母が寝てから、全部戸棚を開いて、場所を直すのだけど。でも出来ることはできるだけやらせたいので、母にやってもらっている。
 これすら、最近は食後にやらない時も増えてきた。母が自力で動いているうちが花だよなあ・・・と、寝たきり介護や、下の世話なども想像して、ちょっと遠い目になる。

 あと、おなじ団地内で、同じく実母さんの介護をしている友人と宅飲みした。介護情報の交換は建前で、とにかく話して、飲んで、ストレス発散。これ大事よ?

 左の青いラベルのスパークリングワインは、友人が持ってきてくれたヤツ。花火のラベルが素敵なカヴァ。右は私が自宅から持参したなんと厚岸ウイスキー〈花ぐわし〉。夫が頂いたものを、有り難く頂戴した。
 まあ、介護を大変がっても鬱になるので、今できる楽しいことを探そう。そうしよう。

2025年8月13日水曜日

0562 コーンウォールに死す

書 名 「コーンウォールに死す」 
原 題 「A DEATH IN CORNWALL」2024年
著 者 ダニエル・シルヴァ    
翻訳者 山本 やよい    
出 版 ハーパーコリンズ・ジャパン 2025年6月
文 庫 600ページ
初 読 2025年8月12日
ISBN-10 4596572216
ISBN-13 978-4596572219
読書メーター 
https://bookmeter.com/reviews/129618910 

 パレスチナの惨状で、この作品に対していささかの幻滅が伴っていないといったら嘘になる。
 ダニエル・シルヴァも、絶妙なタイミングでガブリエルを引退させたもんだ、と皮肉っぽくなったりもする。
 でも、ガブリエルが魅力的なことには変わりない。
 前作よりも大人しめで、スキャンダルも陰謀も、最近のこのシリーズからしたら、小ぶりではある。だが毎作、ワロージャと戦争するわけにもいくまいよ。それに(何回も書くが)ガブリエルはもはや70台半ばである。これも何回も書いてるが、ボッシュと同い年だからね。
 それにしては、ガブリエルは異様なくらいに頑健である。今回も殴り倒されてボコボコにされてるが、骨折の一つもせずに、ちゃんと生還。まあ、ジャンプヒーロー並みの生命力だよな。(笑)

 そんなこのシリーズも、今作で24作目。ガブリエルは73歳。双子達は8歳。
 娘のアイリーンは環境問題に敏感で、グレダちゃんみたいになりつつある。
 息子でガブリエルに激似のラファエルは、その才能を美術ではなく、数学方面に発揮しており、ガブリエルはラファエルに絵に興味を持ってもらいたいとの切望を隠しもしていない。
 今回は、前作でガブリエルが修復したゴッホが、イギリスのコートールド美術館でお披露目されるあたりからスタート。ガブリエルの携帯に、コーンウォールに住む旧知の人物からの連絡が入る。・・・・・改めて、振り出しに戻って考えれば、正直いって地元の(ローカルな)殺人事件にすぎないことで、ピール青年(元少年)がガブリエルに連絡を入れることが、一番あり得ないんじゃないか、と思わないでもない。この点が今作一番の無理筋。それ以降は、いつも通りのガブリエルである。

 殺されたのは、女性の美術史家。連続殺人の犠牲者に見せかけた殺人の背景に浮かび上がったのが、かつてユダヤ人が所有していたピカソ作の女性の肖像画。その来歴は、ナチス占領下のフランスで起こったユダヤ人の災禍で所有者から違法に詐取されたもの。この絵を発見した良心的な美術史家が惨殺されたことで、ガブリエルが調査に乗り出す。

 巨額絵画を隠れみのにした資金洗浄と絵画のブラックマーケットは、このシリーズで繰り返しテーマになっているもの。おなじみのガブリエルの模造絵画の作成風景も、今作はあっさり目ながら、読者の楽しみの一つ。話はどんどん流転して、結局英国の首相候補の野心とその妻の欲望に帰結し、犯罪行為に犯罪行為で対抗する手段ゆえに、あちこち結果オーライで、犯罪者は真っ当な法の裁きによることなく、社会的リンチの餌食になった。

 まあ、一時ほどの盛り上がりはないにせよ、ガブリエル・アロンのファンとしては、彼がとりあえず元気でいてくれれば、と思う。ガブリエルが不幸になる姿は絶対に見たくない。 もはや、彼の年齢的にも、シリーズ的にも、毎作がボーナストラックみたいなもんなので、今作もその点では十分に満足に値する。・・・・・ていうか、面白かったよ! ちょっと冗長かな、と思わないでもないけど、全部が全部、ガブリエルで満ちてるから、それだけで読む価値アリでした。
 ガブリエルがコーンウォールに三度目の拠点をもつことになったのも良し。地元住民から愛されているのも良し。
 以前のガンワロー岬のヴィラは、惨劇の舞台になっちゃってたからね。

 巻末の著者ノートは必読。ダニエル・シルヴァが作品を通じて言いたいことは、ここに凝縮している。世界の富の不均衡。貧しいものはより貧しく、富めるものは、いっそう富を集積。その金はどこにあって、何をしているのか。世界はどこに向かっているのか。
 世界の歪んで濁った姿がガブリエルを通じてプリズムを通った光のように分光し、人々の目により分かり安く提示されているように感じる。

美術修復師ガブリエル・アロン シリーズ

ガブリエル・アロンについての考察はこちら(年表付きです。)

『告解』でガブリエルが手がけている
祭壇画 サン・ザッカリア教会

1【報復という名の芸術】(The Kill Artist 2000年)
1999年。 1,991年1月にガブリエルがウィーンで幼い息子を失ってから9年近くが過ぎていた。シャムロンに逢うのは事件のあとテルアビブで〈オフィス〉の仕事を辞めると伝えた時以来。ガブリエルが隠棲していたのは、イギリス、コーンウォールの海辺のコテージ。かつてはガブリエル専属の支援者(サイアン)だったイシャーウッドとは、本当の画商と絵画修復師の関係となっていた。そんなイシャーウッドからガブリエルの居場所を聞き出して、シャムロンが新たな「復讐」を携えてやってくる。それは、ウィーンでガブリエルの車に爆弾を仕掛け、彼から家族を奪った男への報復だった。
  
2000年頃? この作中で彼は50歳。スイス在住のある資産家が、ガブリエルに接触を図る。その男が秘匿していたのは、かつてナチスがユダヤ人から略奪しした絵画の数々だった。この絵画を巡り、ナチの残党との死闘が始まる。スイスが未だ隠し持つ、かつてのユダヤ人の財産。ヨーロッパ諸国とナチスとの関係は、歴史の暗部となって未だ各国にわだかまっている。ナチスはユダヤ人の財産を奪った、というアロンに対して、ユダヤ人はパレスチナ人から土地を奪った。動産より不動産の方が罪が重い、と論じるスイス人。ユダヤ人とユダヤ人国家にまつわる問題は一筋縄でいくものではないが、だからといってナチスの罪が薄れるわけではない。それに協力した人間の罪も、である。

2001年冬 ガブリエル51歳になったばかり。ベネツィアのサン・ザッカリア教会で祭壇画の修復を手がけていると、シャムロンからの呼び出しが。かつての盟友がドイツで殺害された。調査を始めると、今度はガブリエルが何者かに追跡される。親友だったベンジャミンが追っていたのは、第二次対戦時のナチスとヴァチカンの関係だった。法王庁とローマ・カトリックの権威を至上とするヴァチカンの秘密組織が、ガブリエルと彼が掴んだ証拠を抹殺しようとする。時を同じくして新教皇は、ユダヤ人との和解のための一歩を踏み出そうとしていた。教皇にも危険が迫り、ガブリエルは新教皇を守るために接触を図る。 
 
『さらば死都ウィーン』で
修復を手がけている祭壇画
サン・ジョヴァンニ・クリソストモ教会
ジョバンニ・ベッリーニ作
『聖クリストフォロス,聖ヒエロニムスと
ツールーズの聖ルイス


時期的には2002年か2003年、またしても冬。雪のちらつくウイーンは、ガブリエルにとっては不吉の象徴。親友であり、戦友のエリ・ラヴォンがウイーンで運営していた戦争犯罪調査事務所が爆破される。スタッフは死亡、エリは重体。ガブリエルは追跡調査を開始するが、すぐに命を狙われることになる。エリが追っていたのは、身分を偽装してオーストリアで社会的にも大成功を収めていた元SS将校。その男の成功の原資となったのはユダヤ人から略奪された資産であり、また、その男はガブリエルの母とも因縁があった。ガブリエルは、ヤド・ヴァシェムに残された母の証言書を読み、初めて母の苦難と向き合うことに。

5(Prince of Fire 2005年)未訳
ガブリエルに関する秘密文書が暴露され、ヴェネツィアにいられなくなったガブリエルはキアラを伴いやむを得ずイスラエルに帰国する。キアラとの生活を準備するが、イギリスの病院に入院させていたリーアが誘拐されて・・・・・。紆余曲折ありキアラが1人でヴェネツィアに去る。
 
6(The Messenger 2006年)未訳
ローマ法王パウロ7世がテロの標的に。ガブリエルが法王を守る。法王の計らい(?)でベネツィアにキアラを訪れ、関係復活。『教皇のスパイ』で触れているエピソードがこれ。
 
7(The Secret Servant 2007年)未訳

8(Moscow Rules 2008年)未訳
ガブリエルがモスクワに潜入。 
 
9(The Defector 2009年)未訳

10(The Rembrandt Affair 2010年)未訳

11(Portrait of a Spy 2011年)未訳
サウジアラビアに潜入。サウジ人女性ナディアを救出しようとするが、2人とも砂漠で殺されそうになる。結局ナディアが死に、ガブリエルは重傷。その後サウジ秘密警察に捕らえられ、過酷な尋問を受けて傷を悪化さる。米国CIAの介入で解放されるが、女性の死に責任を感じて深刻なPTSDを患い、イギリス・コーンウォールでキアラとアリに見守られて静養する。このときガブリエルを案じたサラ・バンクロフトの依頼でナディアの肖像画を描き、この絵を契機に精神的に復調するのだが、この絵がMoMA美術館のナディアコレクションの入り口に展示されている。これが、『過去からの密使』の下敷きとなっているエピソード。
12 (The Fallen Angel 2012年)未訳

13 (The English Girl 2013年)未訳

 2014年春〜秋  ガブリエル64歳。キアラは妊娠中。ガブリエルは、カラビニエリの美術班、フェラーリ将軍の依頼により盗難にあったカラヴァッジョの《キリストの降誕》を探すため、盗難絵画のコレクターを釣る餌として、ゴッホの《ひまわり》を盗み出す。しかし、《ひまわり》の盗品売買の相手を追跡するうち、盗難絵画がシリアの独裁者の隠し財産の形成に利用されていることが分かり、事態は一転する。ガブリエル個人の請負仕事が、オフィスの大プロジェクトに展開。標的はシリアの独裁者の財産である。一連の事件終了後、ゴッホ美術館に盗まれた《ひまわり》が戻ってくるが、なぜか手入れをされて盗難前より状態が良くなっていた、ということだ。 

 2014年秋〜冬  亡者のゲームの三日後から。 
 キアラの妊娠後期から出産まで。ガブリエルがロシアの策略で爆弾テロの標的にされる。
 怪我の詳細の記載はないが全身打撲くらいはありそう。 一週間程度で復活している。ロシアが手先に利用したのは、英国人暗殺者との因縁も深い、IRA爆弾テロ犯だった。そしてこの男は、ガブリエルの家族を犠牲にしたウイーンの爆弾テロにも深い関わりが。MI6からの請負仕事だった事件が、復讐の色を濃厚に帯び、事態は逼迫する。今回は絵画修復のシーンはないが、事件終了後、出産間近なキアラが待つエルサレムに帰還し、自宅の子供部屋の壁にダニの顔を模した天使の絵を描いて涙ぐむガブリエルの姿が切ない。

 2015年4月〜12月 ※2015年のISISの戦闘についてと、気候変動抑制に関する協定(パリ協定 2015年12月12日)が結ばれたことについて言及している。 ISISによるユダヤ人の組織を狙った大規模な爆弾テロがパリで起こり、ガブリエルはISISに潜入させる工作員とするため、フランス系ユダヤ人の女医ナタリーをリクルートする。前半はじっくりとスパイを養成するガブリエル。自分の子供時代のことを明かしながら、ナタリーとの信頼関係を築く。
 そして、潜入、テロ計画の始動。標的は、フランス大統領訪米中の合衆国だった。イスラエル、ヨルダン、フランス、イギリス、合衆国それぞれの諜報機関の長たちの協力関係も面白い。 この回でもガブリエルは爆弾テロの現場にいて被害にあう。 

 2016年2月〜11月 サラディンとの決戦。
 上巻冒頭で、エルサレムをイスラエルの首都と認め、「米国大使館」をテルアビブからエルサレムに移設する、 と発言した新しい米大統領の就任の話題があるが、トランプ就任は2017年1月なので、現実とは1年ずれた格好か。
 訪問していたフランス秘密情報部のビルが自動車爆弾で爆破される。間の悪い時に間の悪い場所に居合わせるのがガブリエルの得意技。このときの怪我は爆風とがれきの下敷きになって、肋骨数カ所を骨折、腰椎2か所にひび、重度の脳震盪で一週間ほどダウン。だが復讐の炎が痛みをおしてガブリエルを突き動かす。そして、サラディンをおびき出す作戦が始動。  
 サラディンの収入源である麻薬取引をヨーロッパ側で仕切る男を攻略し、サラディンに繋がる細い道をこじ開ける。米国からの横やりを排除しつつ、CIA、MI6、フランス治安総局と協働し、作戦を遂行。このあたりのガブリエルの政治力も見物。さりげなく出てくるウージ・ナヴォトもなかなか渋い。そしてサハラでサラディンを追いつめるが、サラディンは欧米のどこかに潜伏しているテロリストに攻撃を命じた後だった。

 2017年1月頃? 前作の爆弾テロの際の負傷の後遺症?で痛む腰をさすりながらのガブリエル登場である。おかげで若作りのガブリエルもだいぶ歳相応に見えてきた。良い記憶のあまりないウィーンでの作戦。例によって陣頭指揮を執っていたが、目の前で亡命させる予定だったロシアのスパイが殺害されてしまう。その上その場にガブリエルが居合わせたことを隠し撮り写真でマスコミにリークされて窮地に立たされる。
 怒り心頭、恨み骨髄のガブリエルはそこから怒濤の諜報戦に突入するが、判明したのは、宿敵を絡め取ろうとするロシアの策謀が二重三重に張り巡らされていたこと、そしてある伝説の二重スパイの存在だった。 

 12歳の少女(サウジ皇太子の娘)が誘拐され、その父である皇太子が、敵であるはずのガブリエルに捜索と奪還を依頼する。中東との融和の糸口になれば、という思いと、ただ、何の罪もない少女を助けたいという思いで、捜索に協力するガブリエルだが、目の前で少女は爆殺されてしまう。少女の殺害とその父の失脚の裏にロシアの影を見たガブリエルは、復讐の反撃に出る。 
 戦いはガブリエルの勝利に終わるが、少女を助けることができなかった悔恨がガブリエルを苦しめる。サウジ皇太子によるカショギ記者謀殺事件をモチーフに、ロシア、イギリスを絡めたシルヴァ風の一流のエスピオナージ 。

2019年11月。長官に就任して以来、腰を負傷して自宅で療養した数日以外は一日も休まず働いていたガブリエルを見かねて、キアラが休暇を手配する。(なんと首相にまで手を回して!)旅行カバンを用意していたキアラに、「出て行くのかい?」と真顔で尋ねるガブリエル! 休暇の行き先はキアラの両親が暮らすヴェネツィア、仕事ひとすじで余暇の過ごし方など知らないガブリエルの為に、修復する絵まで用意する周到ぶり。そこに、ガブリエルの庇護者でもあった教皇パウロ7世崩御のニュースが。この時点で、彼の任期は2年と1ヶ月。 

21【報復のカルテット】(The Cellist 2021年)
 2020年3月〜2021年4月。世界はcovid(新型コロナウイルス)に支配されている。 
 アロン家は人が多く、ロックダウン中のエルサレム市街の自宅から、故郷のイズレエル谷のラマト・ダヴィドに程近いナハラルに仮住まいしてコロナを避けている。双子たちは田舎暮らしで逞しく成長中。ガブリエルは新しく入手したガルフストリームに現金を詰め込み、人工呼吸器や検査薬や、医療用防護衣を世界中で買い付けて、国内の病院に配布。政治家への転身の準備か・・・との世間の噂も。そんな噂は歯牙にもかけず、ガブリエルはオフィスで諜報戦の陣頭指揮も執っている。そんな折、ガブリエルと旧知のイギリス在住のロシア人富豪が毒殺され、ガブリエルはおなじみMI6のケラーと動き出した。

22 【謀略のカンバス】(Portrait of an Unknown Woman 2022年)
 2021年12月〜。ガブリエルはついにオフィス長官を引退し、長年にわたる諜報の世界から身を引いた。カラビニエリのフェラーリ将軍の庇護のある古巣ヴェネツィアに家族と居を構え、キアラはティアボロの美術修復会社の経営に参画し、子ども達は地元の小学校に通っている。キアラの配慮の行き届いた落ち着いた生活で長年の疲労や苦悩が少しづつ薄れ、彼が本来の笑顔やユーモアを取り戻しつつあるころ、旧友のイシャーウッドが、ある絵画売買絡みのトラブルに巻き込まれる。穏やかな日常に少々退屈しつつあったガブリエルは、キアラの赦しをえて調査にのりだす。
 2022年秋〜。ベネツィアで絵画修復に携わり、悠々自適・・・のはずのガブリエルは、またもフェラーリ将軍の訪問を受け、ある名画の鑑定を依頼される。しかし、有名なゴッホの盗難名画の横には、空の額縁とキャンバスを失った木枠があり。そのサイズから、ガブリエルはその絵が、これも盗まれたフェルメールだと直感する。フェラーリからの依頼を受け、絵画の追跡に乗り出すも、ロシアの暗殺者、南アフリカの核開発、そして宿敵ウラジーミル・ウラジーミロヴィッチの手先だった男・・・と、話は転がる雪だるまのよう膨らんでいく。 

 前作の直後から。2023年1月〜。コーンウォールで「斧男」といわれる連続殺人犯によると思われる殺人事件があり、かつてのティモシー・ピール少年(現在ではデヴォン&コーンウォール警察の刑事部の巡査部長になっている)が捜査に当たることに。ティモシーはある種の直感から、たまたまロンドンに滞在していたガブリエルに連絡を取る。そこから、巨匠絵画のブラックマーケットをめぐる怒濤と流転の展開に。イギリス政界を脅かす陰謀を、ガブリエルが執念で暴く。

ガブリエル・アロン来歴《美術修復師ガブリエル・アロンシリーズ》(2025.8.13更新)


《大天使ガブリエル》

 イスラエルの復讐の天使 ガブリエル・アロン
 ダニエル・シルヴァによる、美術修復師にしてイスラエル諜報機関の暗殺工作員(キドン)であり、やがては諜報機関、内部の人間の呼ぶところの〈オフィス〉の長官となるシリーズの主人公、ドイツ系ユダヤ人。
 画家として非凡な才能があったが、ドイツ語を母語とし複数のヨーロッパ言語に堪能だった彼は暗殺工作員として活動することを半ば強いられ、22歳で最初の暗殺を実行する。その後も極限の中で暗殺を重ね、結果として、絵を描く才能は損なわれてしまう。その後、ベネツィアで絵画修復師として修行を積み、独立後はこれを隠れ蓑にヨーロッパで工作員としての活動を継続することになる。

 容姿の形容は、身長175cmくらいで平均以下、自転車選手のような引き締まった体躯、暗色の髪はこめかみに白髪が交じり、知性を感じさせる広い額、面長の顔、目はアーモンド型で不自然なほど鮮やかな緑の瞳、高い頬骨、木彫りのような鋭い鼻の線、細い顎。ちなみに、私の脳内では、キアヌ・リーブスが近い。目の色以外はぴったりだと思っている。もし映画化されることがあるなら、主演は彼でお願いしたい。(正し、身長差はいかんともしがたいが。)

 犬が嫌い。(キアラに言わせると野生動物全般と相性が最悪らしい。たぶんガブリエルも動物に劣らずワガママだからだろうな。)
 ガブリエルの犬嫌いはスパイ業界では有名な話らしく、部下のミハイルによれば、犬とガブリエルは「ガソリンとライターのように危険な組み合わせ」なんだとか。元々好きではなかったらしいが、『イングリッシュ・アサシン』で逃走中にアルザス犬(=ジャーマン・シェパード)と闘う羽目になり、左腕を噛み砕かれたことがあって、以来、犬族全般に対して極めて険悪な感情を持っていると推察される。

 性格はやや神経質で寡黙で暗い。時間を掛けることも待つことも厭わないが、待たされることはあまり好きではない。待たされてイライラすると物や人に当たりちらすこともあり。情緒に乏しく傲慢で冷酷とは少年期の彼に与えられた評価だが、感情表現があまり豊かでないだけで、内実は愛情深く、恩義に厚い。

「・・・石灰岩の建物と、松の香りと、冬の冷たい風雨を愛している。教会と、巡礼の人々と、安息日に車を運転する彼をどなりつける超正統派ユダヤ教徒を愛している。旧市街の市場でアラブ人の露店の前を通り過ぎるとき、彼らの守護聖人たるテロリストを何人も排除してきたのが彼であることを知っているかのように、みんなが警戒の視線を向けてくるが、そんなアラブ人のことすらガブリエルは愛している。信心深い暮らしを送っているわけではないが、旧市街のユダヤ人地区に入って、嘆きの壁のどっしりした石組みの前に立つのを愛している。パレスチナと広いアラブ世界とのあいだに永続的な平和を確保するため、縄張りをめぐる譲歩を受け入れてはいるが、本音を言うなら、嘆きの壁だけは譲りたくないと思っている。エルサレムの中心部に国境が作られることが二度とあってはならないし、ユダヤ人が自分たちの聖地を訪れる許可を求めねばならないような事態を招くことも、二度とあってはならない。嘆きの壁は現在、イスラエルのものとなっている。この国が存在しなくなる日まで、そうありつづけるだろう。地中海沿岸のこの不安定な一帯で、いくつもの王国や帝国が冬の雨のごとく現れ、消えていった。現代によみがえったイスラエル王国もいずれは消えていくだろう。しかし、自分が生きているかぎり、そうはさせない。」ダニエル・シルヴァ. ブラック・ウィドウ 上  Kindle の位置No.945-957 


 普段はかなり無口で、几帳面で感情の起伏を表に出さないタイプだから、こんな想いを語られるとけっこう胸熱だ。  

以下作中から読み解く彼の来歴
 ※『ブラックウィドウ』を読んで、ガブリエルの生年を上方修正。1950年生まれだ。

◆ ガブリエル・アロンの家族の出身はドイツ、母方はベルリン。父方はミュンヘン。
 母方は一家全員がアウシュビッツに送られ、母のみ生還。母方祖父はヴィクトール・フランケルという名のドイツ印象派の高名な画家であったがアウシュビッツに到着した日に殺害されている。母も才能ある画家で、戦後イスラエルに逃れ、現代イスラエルを代表する抽象画家となったが、心を病み生涯アウシュビッツの記憶に苦しめられた。 父も腕に番号の入れ墨のあるアウシュビッツの生還者だ〔報復という名の芸術〕が、ハーパーブックス以降の巻では、ミュンヘン出身でユダヤ人虐殺が始まるまえにパレスチナに移住した、とされている。作品初期から設定が変わっているのか?それとも戦前のパレスチナへの移住者だが、捕らわれてアウシュビッツに送られるような経緯があったのか? いずれにせよ、ガブリエルは母から芸術家としての才能と、両親からアウシュビッツを生き抜いた強靱で不屈な精神を受け継いだ。
◆ ガブリエルは1950年(の多分冬。11月か12月頃)に、イスラエルのイズレル渓谷にあるラマト・ダヴィドという農業を中心とする入植地で生まれた。〔ブラック・ウィドウ〕
◆    1967年 父が第三次中東戦争(六日間戦争)で死亡。〔ブラック・ウィドウ〕
◆ 1968年 父の死の1年後、母が癌で死亡。〔イングリッシュ・アサシン〕
◆ 兵役(イスラエルのユダヤ教徒は男女とも皆兵。男子は18歳から36ヶ月の兵役を務める。 )ののち、ベツァレル美術学校(ベツァレル美術デザイン学院)に入学。イスラエルの学生は兵役があるため、普通大学に入学した時点で21歳くらいのはずだが、アロンは1972年に暗殺者となったとき20歳、との記載。〔英国のスパイ〕 若干計算が合わない気がしたが、『ブラック・ウィドウ』では「ミュンヘンオリンピックの後、22歳で復讐の天使になった」とのエリ・ラヴォンの言葉があり。そうであれば、1950年生まれで、ハリー・ボッシュと同じ歳(笑)である。これだと、計算があう。というわけで、ざっと年齢を修正。
◆ 在学中に最初の妻、リーアと結婚。
◆ パリに1年留学していた、との記載あり。〔報復という名の芸術〕
 留学、とはいうものの留学生の身分を偽装に利用して暗殺工作を展開するためだった可能性もある。
◆ 1972年のミュンヘンオリンピック事件(ブラックセプテンバー事件)直後の9月、ガブリエルの語学力、兵役時の銃器を扱う才能、偽装に使える画才等を見込んだシャムロンが彼を強引にスカウトし、シャムロン麾下の暗殺工作員(キドン)となる。〔イングリッシュ・アサシン〕 この時22歳。〔ブラック・ウィドウ〕その後3年間にわたって、ブラックセプテンバー事件への報復作戦である「神の怒り作戦」に従事。
◆ ブラックセプテンバー事件の実行犯・関係者12名を暗殺(銃殺もしくは爆殺)して「神の怒り作戦」におけるガブリエルの任務は終了する。ガブリエルはそのうち6名を直接殺害した、とされている。その際、ブラックセプテンバー事件の犠牲になったイスラエル選手団11名の報復として、可能な限り一人につき11発の銃弾を撃ち込んだ。これは、この後もガブリエルの暗殺のスタイルとなっている。
◆暗殺した6人の内のひとりが、マハムンド・アル=ホウラニだった。この男の弟のタリク・アル=ホウラニが、兄を殺された復讐のため後にガブリエルの妻子を爆殺する。〔報復という名の芸術〕
◆ ガブリエルは、3年間作戦に従事したのちイスラエルに帰還し、改めて画家としての活動を再開しようとしたが、キャンバスに向かうと自分が殺した相手の顔がちらついて、絵を描くことができなくなっていた。そこで、シャムロンの了解のもと、ベネツィアの美術修復士のもとに弟子入りし、絵画修復の道に入る。
◆ 1975年〜1977年頃までの3年間、ベネツィアで修行。
  絵画修復師として独り立ちした後は、この身分を隠れみのに、工作員としての活動を継続。
◆    1976年頃には、チューリッヒ在住のパレスチナ人劇作家、アリ・アブデル・ハミディを殺害。〔イングリッシュ・アサシン〕
◆ 1977年頃  シャムロンが修復師修行を終えたガブリエルをイシャーウッドに引き会わせる。
◆ 1988年頃 息子のダニエル・アロン誕生。(ガブリエルはこのとき38歳)
◆ 1988年4月のPLO幹部暗殺事件では、作戦に加わり、暗殺を実行している。
◆ 1991年1月 ウイーンでガブリエルの自動車に仕掛けられた爆弾により息子のダニ(当時2歳半)が死亡、妻リーアは全身大やけどを負い、精神に異常をきたす。〔報復という名の芸術〕
◆ 事件の後、ガブリエルは〈オフィス〉を辞め、イギリスのコーンウォール最南端のガンヴァロー海岸にあるコテージに隠棲。このコテージとアトリエは、こののち長い間彼の心の休息地となるが、『英国のスパイ』では殺戮の舞台となる。
◆ 1998〜1999年頃、イギリス・コーンウォールのヘルフォード川河口、ポート・ナヴァスの近くにあるコテージに移り住む。このコテージの隣家にピール少年が住んでおり、ガブリエルは亡くなった息子ダニエルと同じ歳のピールと交流する。〔報復という名の芸術〕
◆ 1998年頃は「この世界(諜報と暗殺)から遠ざかっていた」と本人の弁。〔英国のスパイ〕この頃はイシャーウッドからの絵画修復の依頼で生計を立て、精神病院に入院していたリーアの治療費を稼いでいた。
◆    1999年頃 シャムロンの要請で〈オフィス〉の現場に復帰。ニューヨークでパレスチナ人テロリスト(タリク・アル=ホウラニ)の銃撃を胸にうけて重傷。〔報復という名の芸術〕
◆ 2001年頃 ナチスによって奪われたユダヤ人が所有していた絵画を巡り、スイスの秘密組織に潜入するも捕らえられて拷問される。なお、この作戦の際、パリで爆弾テロの標的とされ、腕に大怪我もしている。(爆弾テロ1回目)〔イングリッシュアサシン〕
◆ 2001年〜2002年冬 サン・ザッカリア教会の祭壇画(ベッリーニ)の修復。
  盟友ベニがミュンヘンで謀殺される。
  ローマ教皇暗殺犯(ベニを殺した男)をバイクで追跡中転倒し重傷を負う。〔告解〕
◆ 2003年  聖クリストソモ教会の祭壇画(ベッリーニ)の修復。キアラとは恋仲になっている。SS将校であったラデックを捕らえてイスラエルに連行する。〔さらば死都ウィーン〕
【5作目から13作目 未読 ガブリエルがキアラと別れたりくっついたり、ローマ教皇を助けたり、ロシアに潜入して大怪我したり、サウジに潜入して捕まったり、イギリスの首相を助けたりしている。ああ、翻訳読みたい(泣)】
◆    2014年秋  サン・セバスティアーノ教会の祭壇画(ヴェロネーゼ)の修復。
◆ 2014年秋〜12月 英国人の殺し屋ケラーとともに元IRA爆弾テロリストとロシアのスパイを追う。ロンドンで爆弾テロの標的にされて負傷するが、この事件を逆手にとって死亡を装ってテロリストを追撃。
◆    2014年12月 妻キアラとの間に双子誕生。
  女の子をアイリーン(ガブリエルの母の名)、男の子をラファエル(ルネサンスの大画家より)と名付ける。〔ブラック・ウィドウ〕
  カラヴァッジョの祭壇画《キリストの降誕》の修復〔ブラック・ウィドウ〕
◆ 2015年4月〜ISISの爆弾テロ指導者〈サラディン〉を追う。この間、ワシントンで爆弾テロに巻き込まれる。〔ブラック・ウィドウ〕
◆ 2015年の末に 〈オフィス〉長官に就任(65歳)。双子1歳の誕生日。サラディンの追跡を継続。パリのヴォクソール・クロスでまた爆弾テロにあう。〔ブラックウィドウー死線のサハラ〕

◆ 2019年11月 ローマ教皇パウロ7世逝去。双子は4歳で、もうすぐ5歳。ガブリエルは69歳になったところ。ガブリエルの旧友でもあるドナーティが、新教皇に選出される。〔教皇のスパイ〕

◆ 2020年3月 新型コロナの流行。アロン家はナハラルのバンガローに仮住まい。ガブリエルの旧友であるロンドン在住のロシア人富豪が毒殺される。
◆ 2021年1月6日 米国でトランプ支持者による議会議事堂襲撃。 1月20日 大統領就任式の直後にQアノン支持者によるガブリエル暗殺未遂。生死を分ける一週間、さらに2週間の集中治療ののち、ガブリエルはイスラエルに帰国。その後、復帰までにはさらに数ヶ月の静養を要した。〔報復のカルテット〕

◆ 2021年末 オフィス長官辞任。ヴェネティアでついに引退生活に入る。
◆ 2022年春 旧友のイシャーウッドが贋作絵画売買の詐欺に巻き込まれる。1枚の絵の所有者が殺害され、イシャーウッドも狙われるに及んで、ガブリエルが調査に乗り出す。結果、全世界を股に掛けた巨大絵画投資詐欺グループを壊滅に追い込む。〔謀略のカンバス〕
◆ 2022年秋 〈オフィス〉長官引退後、ヴェネティアで絵画修復に励むガブリエルにフェラーリ将軍が巨匠絵画の盗難事件を持ち込む。ガブリエルは調査を請け負うが、それがウクライナ戦争での核使用を目論むロシアの陰謀に繋がり、ガブリエルは再び〈オフィス〉のメンバーを集め諜報戦を指揮することに。〔償いのフェルメール〕
◆ 2023年1月 修復を手がけたゴッホのお披露目の式典のためにイギリス、コートールド美術館を訪れていたガブリエルに旧知のティモシー・ピールから一本の電話が。〈斧男〉と呼ばれた連続殺人犯による殺人に見せかけた美術史家の殺害から、第二次大戦中にフランス在住のユダヤ人から奪われたピカソの作品を知り、事件を追いかけるうちに、ガブリエルはイギリス政界を揺るがす陰謀を暴く。双子は8歳になっている。〔コーンウォールに死す〕

2025年8月6日水曜日

介護日記的な・・・その21 こげくさい。

 本日から、実質的な介護同居スタート。
 まあ、いつかこの日が来るとおもっていたし、実際、穏やかな始まりといって差し支えない。もっと、劇的に大変になる可能性もあった。とはいえ。

 昨日夜(母が寝た後)に母宅にやって来た。
 玄関を入ったとたんに、異臭に気付く。・・・・焦げ臭い。

 ひとまず荷物を置いてから、お焦げの匂いのみなもとを探す。
 まあ、何かを焦がしたんだろうよ。
 そして、きっと、一生懸命原状復帰した。だから、お焦げは影も形もない。匂いとしては、プラスチックやビニール系のイヤな臭いではない。むしろ、紙とか木とか、炭水化物やタンパク質。つまり食べ物だと思われる。
 まあ、電子レンジだろうな。なにかを加熱しすぎて焦がしたか、まさか、ガスでお湯を沸かすときにガスコンロ周りのなにかを燃やしたか?

 だけど、影も形もない。

 ごみ箱の中も確認。ひょっとして燃えかすとか、黒焦げたなにかとか。

 だけど、それらしきものはなく、匂いもしない。

 辛うじて、電子レンジの中は焦げ臭いような。だけど、内部のスス汚れとか、焼損といったものは見当たらず。

 結局は謎なんだけど、依然として、室内のそこはかとないお焦げ臭が、きっとなにかあったはずなのを告げている。

 ・・・・・まあ、つまりは、同居見守りに踏み切ったのは、決して早すぎではなかったということだ。精神科の先生には、そのうち電子レンジで発泡スチロール燃やすようになるから、独居は限界あるよ、とは言われていた。
 正直、発泡スチロールを発火させなかっただけで有り難い。(もっとも、うちの母は、食品トレーのまま食べ物を温める、とか、カップ麺を食べる、という食習慣自体がないので、発泡スチロール製品をレンジに入れる、というシーンはあまりないかもしれない。)

 なにしろ、集合住宅。他家に迷惑がかかる可能性はあってはならない。ボヤなんてもってのほか。こうなると、たまに自分の自宅に掃除やら様子見に一泊程度で帰ろうと思っていたことのほうが、難しくなるかもしれない。それはそれで、困るんだよなあ・・・・と、初日から悩ましい。

2025年8月3日日曜日

2025年7月の読書メーター

 ル=グウィンの『幻影の都市』読了が8月に少し入っちゃったけど、7月読了本があまりにも寂しかったのでちょっとズルして7月31日で読了登録した。6月後半からず〜〜〜〜〜っと読んでいたので良いよね!ということに。 
 ここしばらくル=グウィンを読んできたがここにきて息切れ。
 SFが面白くない(T-T)のだよ。なぜだ! ル=グウィンほどの大御所で、それこそ大御所のファンが沢山いる作家だと、「面白くない」というのもなんだかヘンな勇気が要る。
 うまく言えないのだが、ル=グウィンの作品て、アンドリュー・ワイエスの作品に似ていると思う。私はキリスト教的な厳格さとかは門外漢でよく判らないのだけど、文化的な桎梏というか、苦しさを感じてしまう。たぶん、ル=グウィンが抱えていたジェンダーとも繋がるものなのだと思う。
 と、同時に、最近は読みやすく、感情移入しやすい分かり安い本を好んで読んでいるな、とも思う。自分を甘やかしているせいか、ちょっとむずかしい本を読む努力が出来なくなってきているような。

 母の介護は、新たな局面に入った。
 自分でご飯を食べられないように(ADL的に食べられないのではなく、適切な食べ物を選んで食べることが出来なくなった。つまり、蒸しパンやお菓子やミカンしか食べなくなってしまった。)なったため、朝夕の食事の世話が必要に。それ以外は概ね自立しているので、そばに居てもあまりすることが無かったりするのだけど、なにかと見守りは必要。なにより、本人も不安だと思われる。そんなこんなで、しばらく介護休業を取ることに。これまで全力疾走してきた十数年(?)いやそれ以上。しばしのアイドリングで、自分の人生そのものも見直したいと思う今日この頃。・・・とはいえ、仕事を休んだ途端にガタッと落ちそうな気がしていてヤバい。

7月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:1148
ナイス数:390

幻影の都市 (ハヤカワ文庫SF)幻影の都市 (ハヤカワ文庫SF)感想
びっくりするほど楽しく読めなくて残念至極。ここまで読んだル・グウィンのSF、みな色調が似ているというか、人物が似てるというか、構成も物語の主要部分がグレートジャーニーというか。雄大な風景の描写は素晴らしいのだけど、それ、この話に必要?って感じちゃう。敵のシングが前半、中盤、後半で印象ががらりと変わるのとか、主人公が突然心理戦で優位に立つとか、面白い要素はたくさんあるのだけど、総体的にはつまらなかったな。ずっとル・グウィンを読み進めてきたけど、これ以上読める気がしないので、中断を自分に許すことにする。
読了日:07月31日 著者:アーシュラ K ル グィン

幻影の都市 (1981年) (サンリオSF文庫)幻影の都市 (1981年) (サンリオSF文庫)感想
感想はハヤカワ版の方に
読了日:07月31日 著者:アーシュラ・K.ル=グイン





はなれがたいけものはなれがたいけもの感想
読み友サンのレビューが流れてきて、ちょっと気になったのでAmazonで試し読みからのダウンロード。それなりに面白かった。「愛を知らない」主人公は、自分の行為を「愛」ゆえとは認知しない。これほどの愛情と献身を我が子に注ぎながら、自分は愛してなどいない、なぜなら愛を知らないから、と頑なで。現在全6冊出ているとのことだけど、とりあえず1巻で満足。ル=グウィンの『幻影の都市』が大ストッパーになっているので、他の本が読めると安心する。
読了日:07月27日 著者:八十庭 たづ

チェーザレ 破壊の創造者 特別編 二人の巨匠チェーザレ 破壊の創造者 特別編 二人の巨匠感想
ミケとダ・ヴィンチ。そして総領冬実の筆による、幻のアンギアーリの戦いの絵,そして成年になったチェーザレの肖像。ごく薄い本なのだが、胸がいっぱいになる。
読了日:07月26日 著者:惣領冬実







手ぬいで着物リメイク ゆったり心地よい服 (レディブティックシリーズno.8188)手ぬいで着物リメイク ゆったり心地よい服 (レディブティックシリーズno.8188)感想
Kindleアンリミで内容を確認し、作りたいのがあったので、紙本で入手。手縫い本だけど、実際作るとなったらミシンだな。だけど、そもそも着物って手縫いなのよね。和裁ができる人ならあっという間に縫えるんだろうなあ。(私はそもそも真っ直ぐな縫い目にならない(^^ゞ  この本は、いくつか気に入ったワンピースとジャンパースカートのデザインがあったので、ぜひ、時間ができたら制作したいと思っている。いつ・・・・・になるかは、想定不能。(遠い目)
読了日:07月08日 著者:高橋 恵美子

着物のリメイクを愉しむ 製図集 (レディブティックシリーズno.8543)着物のリメイクを愉しむ 製図集 (レディブティックシリーズno.8543)感想
Kindleアンリミ。製図がたくさん掲載されているのが嬉しい。だが、気に入ったデザインは僅少(これは、どのリメイク本も同じなんだけど)。Kindleだと製図は難しいので、いざ本当に作りたくなったら、紙本を求めようと思う。
読了日:07月08日 


軍人婿さんと大根嫁さん 6 (芳文社コミックス/FUZコミックス)軍人婿さんと大根嫁さん 6 (芳文社コミックス/FUZコミックス)感想
7月一冊目。本日発売。花ちゃんがすこし、人妻なお顔になった。カヨコさんの三角ご夫妻の馴れ初め。カヨコさんは、はっちゃけてるだけのオンナじゃなかった!あのカヨコさんの心を手中にした三角中尉はやはりスゴイと思ったのだった。
読了日:07月02日 著者:コマkoma

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