2022年2月11日金曜日

0326 フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫)

書  名 「フェア・ゲーム」  
原  題 「Fair Game」2019年 
著  者 ジョシュ・ラニヨン 
翻  訳  者 冬斗 亜紀 
出  版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫)  2013年2月 
文  庫 448ページ 
初  読 2022年2月8日 
ISBN-10  4403560113
ISBN-13  978-4403560118
 いままで、あえて近づかなかった禁断の境地(?)。日本だとこざっぱりしたBL系だが、米国版のペーパーバックの表紙はなんつーか、オスの体臭が匂ってきそうなギラギラしたゲイ物だ。カノ国ではM/Mっていうジャンルに分類されるらしい。ハーレクインのホモセクシャル版かな?

 にしてもだ。この作家さん、ミステリ作家としてかなりの手練れだと思う。捜査もの、バディ物としてかなりの出来だ。面白い。ミステリの骨格がしっかりしているし、FBIや市警の面々、主人公をとりまく人々、脇まで登場人物のキャラが立っている。舞台となるワシントン州シアトルとその周辺の描写も良い。それになにより主人公の二人が魅力的だ。先に読んだジェイソン/サムとはまた二人の関係性が違ってるのも飽きが来なくて良い。

 裁判所での銃乱射犯を追い、犯人を射殺したものの、自分は膝を撃ち抜かれてFBI退職を余儀なくされたエリオットは、痛む足を労りながら大学で教鞭を執っていた。そんな彼の身辺で学生の失踪事件が発生し、その親からFBIとの連絡役を頼まれる。しかし相手のFBI特別捜査官は、かつて負傷し、過酷な治療と再起不能の失意の中にいたエリオットを捨てた男だった?
 やがて、当初はFBIも自殺と見做した失踪事件は連続殺人事件に発展、エリオットが標的にされて。
 ・・・キャラ立ても舞台もストーリーも十分読み応えがあるが、そこはなにしろM/Mって事で、エリオットのツンデレぶりと、ぶきっちょなタッカーの真っ直ぐな愛情の行き違いが滅法楽しい。 何しろ二人とも生真面目。
 この作者の本は、書店のBLコーナー(コミックスの隣だ。)にあるわけだが、ストレートの濡れ濡れ本はちゃんと小説棚にあるのに、差別じゃね?と思ったりもする。うん。この本は、ミステリとしても、ロマン・ポルノとしても、ちゃんと小説棚に並ぶ資格があると思うよ。なにを持って資格というのか私にもわかならいけど。

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