原 題 「Icecapade」他 2010〜2017年
著 者 ジョシュ・ラニヨン
翻 訳 者 冬斗 亜紀
出 版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫) 2017年12月
文 庫 407ページ
初 読 2022年2月25日
読書メーター https://bookmeter.com/reviews/104746297 ISBN-10 4403560334
ISBN-13 978-4403560330
この表紙の雰囲気は、コミックの『Papa Told Me』のテイストを思い出す。そんな感じの暖かい幸福感。中身は、中〜短編3作と掌編2作。
では順に。
『氷の天使』 Icecapade 2010年
元泥棒のノエルとFBI特別捜査官ロバート・カフェ。ドロボーさんと刑事の関係でいえばキャッツアイみたいな?
クリスマス前のある日、今は引退して厩舎のオーナーとミステリ作家を兼業するノエルの元に、ロバートがやってくる。ロバートは引退した大泥棒のノエルを10年間追い続けていた。かつての犯行はすべて時効を迎えているノエルは、現れたロバートの目的に戸惑うが。。。。。追いつ追われつのスリルの中でいつしか惹かれ合っていた刑事とドロボーが10年後に再会する話。ノエルの引退にはある理由があった。まあ、BLっぽい・・・・というか二次創作っぽい雰囲気だが、ノエルの軽さ・・・・・いや、軽やかさは結構良い。
掌編の『Another Chriatmas』 Christmas Cade 10 Noel & Robert 2012年
『氷の天使』の1年後のお話。FBIをやめてノエルと暮らしているロバート。どうやら幸せな一年だったらしい。インフルエンザに罹って一時的に障害が悪化したノエルの号泣(T-T)が大変可愛いっす。
『欠けた景色』 In Plain Sight 2013年
FBI特別捜査官のナッシュとアイダホ州ベアレイク郡の地元警察官グレン、一目惚れ同志、運命の恋の行方。なんだかジョシュ・ラニヨンの宇宙では、FBI はゲイの宝庫(?)のようだな。
『Christmas in London』Christmas Cade 41 Adrien & Jake 2017年
こちらも掌編。『瞑い流れ』の後、晴れて(?)リサとビルの家族に公認となったジェイクと一緒にロンドンでクリスマス休暇を過ごすアドリアンだが、ジェイクとなかなか二人きりになれないフラストレーションがだんだん溜まって(笑)
『So This is Christmas』
家族より一足早く、二人きりのクリスマスを過ごすためにロンドンからロスに帰ったアドリアンとジェイク。しかしトラブルを吸い寄せる体質の?アドリアンの周りは、どうにも静まらない。
帰国するなり、アドリアンに代わってクローク&ダガー書店を守っていたナタリーとアンガスのまさかの濡れ場に踏み込んでしまう。友人(♂)の恋人(♂)は失踪し、ジェイクは人捜しに奔走しようとするアドリアンの健康を気遣って「首を突っ込むな」と言い続け(笑)。
ジェイクがいい男なんだよねえ、これが。力強さと冷静さと苛烈さと優しさの絶妙なブレンド。そしてアドリアンへ向ける絶対的な愛情。「お前は健康体だ。これまで俺が見てきた中で、今が一番元気だ。そのままでいてほしい。これからの五十年をお前とすごしたいからな。五十年、一緒にすごすつもりでいるからな。・・・・」・・・・なんか良いなあ。
カミングアウトしたジェイクを拒絶したジェイクの両親に対しては、怒りと嫌悪を募らすアドリアンだったが、ジェイク父からリオーダン家のニューイヤーパーティーに二人で招待される。リオーダンの両親も息子のカミングアウトに困惑し、苦しみながらも息子と和解しようと手を差し伸べようとしていることに気付いたアドリアンは、ジェイクと一緒にリオーダン家のニューイヤーパーティーに出向く。(というよりは、尻込みするジェイクを励まして。) ここからが、ジョシュ・ラニヨンの真骨頂。家族に囲まれて、だんだん気持ちがほぐれて肩や背中から力が抜けてくるジェイク、それを眺めてジェイクのために心から喜ぶアドリアン。愛情って言葉はこの二人の為にあるんじゃないだろうか、と思えてくる。そして、新年の2時。きっと何回も戻ってきて読むだろうなあ、この本。
そういえば名前だけちょこっと登場するゲイ作家のモリアリティさんは、別シリーズの主役。ホームズ&モリアリティシリーズの3巻に、クローク&ダガー書店でサイン会をするエピソードがあるそうだ。こちらのシリーズの翻訳もぜひ、お願いしたい。
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