原 題 「The Hell You Say」2008年
著 者 ジョシュ・ラニヨン
翻 訳 者 冬斗 亜紀
出 版 新書館 (モノクローム・ロマンス文庫) 2015年2月
文 庫 497ページ
初 読 2022年2月18日
ISBN-10 4403560180
ISBN-13 978-4403560187
今回のテーマは悪魔崇拝。
悪魔に贄(人間の心臓)を捧げたと思しき連続殺人事件が発生してジェイクが捜査に当たっている。アドリアンの書店の店員のアンガスは店に度々入る呪いの電話に怯えきり、見かねたアドリアンは彼にボーナスを与えて逃がすが、そのためにかえって謎の悪魔教信者に恨まれて窮地に立たされる。
ジェイクの彼女が妊娠し、ノーマルの偽装を正装にすべくジェイクは彼女との結婚を決意し、アドリアンに告げる。
一方過保護な母リサも再婚する事になって、アドリアンには突然愛らしくもかしましい姉妹が3人も増えることに!
さてまずは、結婚後も関係を続けたそうな未練がましいジェイクを拒絶したアドリアンの矜持を誉めてあげたい。アドリアンに暴力を振るったジェイクはとりあえず地獄へ堕ちたまえ。 しかし、心底からジェイクを求めていたアドリアンにとっては、辛すぎる結末。こうなることを最初から予期し、あえて踏み込んだ関係を求めるでもジェイクを追い込むでもなく、ただ、ジェイクの気づきを願って穏やかな関係を守ってきたアドリアンの真心は踏みにじられてしまった。ジェイクに別れを告げたあと、交通事故を装った自殺の誘惑に駆られるアドリアンがかわいそうでならない。
まだ恋人未満のガイとのエピソードは次作におあずけだが、アドリアンの癒やしになってくれるだろうか?
それにしても、著者のジョシュ・ラニヨンの引出しの多いこと。
一作目は怨恨+ストーカー
二作目は西部の田舎の黄金伝説
三作目は悪魔崇拝、魔女(ウィッカン) そしてそれぞれのテーマに、ミステリ小説が絡んでくる。細かなウンチクがあちこちにぽろぽろと。これ、著者は楽しんで書いてるなあ、とこちらまで気持ちがほくほくする。
衝動的に、僕はビルトモアホテルへと車を向けた。サヴァンの広報担当兼マネージャーのボブ・フリードランダーがそこに滞在している。ビルトモアホテルは、歴史的建造物と言っていいだろう。一九二〇年代に建てられたこのホテルはこれまで数々の王や大統領や有名人をもてなしてきたが、僕が一番惹かれる点は、かのブラックダリアが最後に生きて目撃された場所だということだ。彼女はここから夜の中へ消え、いまだに解けない謎として、ロサンゼルスの歴史の一部となったのだった。今ではホテルのバーでブラックダリアという同名のカクテルも飲める。
〈追伸〉リサは鬱陶しい過干渉な母だろうが、息子を誇り高い人間に育てた素晴らしい人だと思うよ。
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