著 者 ジョセフ・ノックス
翻訳者 池田 真紀子
出 版 新潮社 2021年8月
単行本 640ページ
初 読 2022年2月1日
ISBN-10 4102401539
ISBN-13 978-4102401538
読書メーター
さあ、この帯の煽りが正しいかどうか、確かめる時がやってきましたよ。・・・・・でも、「笑う死体」を読んだ後となっては、すでに確信している。この本は、帯の煽りを超えてくるに違いない!
今作でも、エイダンには四方八方から不運と悲運が押し寄せてくる。
同僚が犠牲になった事件。
その捜査を強要する非道な上司。
事件の真の標的は自分かもしれない、という不安。
悲惨な事件。護られなかった被害者。
身勝手な人間たち。
自分を監視し、行動を縛る謎の存在。
突然寄せられた、生き別れの母の情報。
そして、腐れ縁、ゼイン・カーヴァー。
ラストはもう、ずるいよ。ここまでエイダンの一人称で語ってきたくせに、ラスト一章だけが三人称だなんて思えないよ。憑きものが墜ちたみたいなサティとバディを組むナオミ、そして愛すべき“妹”の結晶みたいなアン。それゆえに、エイダンの不在が切なすぎる。
エイダン。生きているよね?キミは生きているよね??と、繰り返さずにはいられないラストだ。パスポートと大金とドストエフスキーを持って逃げて、顎を治して整形でもなんでもして、世界のどこかで生きていてほしい。こんな奴が幸せにならないなんてダメだ。いや、幸せにならなくてもいい。平穏を知ってほしい。アンがとてつもなく可愛く思えるのは、エイダンの目を通して見ているから。エイダンのその素朴で真摯な愛情が愛おしい。エイダンが守ろうとしたものが、ちゃんと護られてほしい。あととりあえずパーズは氏ね。
むしろ、続編でもう一度、エイダンに逢いたい。お願い。生きていて。 あと、とりあえずパーズは氏ね。
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